むくみとその対処法

皆さんは、むくみを経験したことはありますか?

長時間の立ち仕事で夕方に足がむくんでしまう冷え性でなかなかむくみが取れないお酒を飲みすぎたり塩分の高い食事をたくさん食べたりして翌朝に顔がむくんだ、などといったことはわりとよくあることではないでしょうか。

これらのように、むくみは体質や生活習慣が関わっていることが多く、自分自身でケアすることができるものがほとんどです。

しかし、中には病気が原因となっているむくみもありますので、むくみを感じた時にはその原因について一度考えてみましょう。

体液とは

人間の体の約60%は水分でできています。

例えば、体重が50kgの人であれば、そのうちの30kgは水分というわけです。

この水分は、決められた場所にあり、それぞれがお互いにバランスを取り合いながら重要な役割を担っています。

人間の体を作っている細胞は60兆個とも言われていますが、この細胞一つ一つにも水分が含まれ、そしてその細胞どうしのすき間も水分で満たされています。

細胞の中に含まれる水分「細胞内液」は体重の約40%を占め、そして細胞と細胞のあいだ(間質)にある水分「組織液(または間質液)」は体重の約15%を占めています。

そして、これらの細胞内の水分や細胞を取り囲む水分はじっとそこに溜まり続けているわけではなく、絶えず新しい水分と入れ替わっているのです。

そのメカニズムについて、もう少し詳しくみていきましょう。

体液のメカニズム

体に取り込まれた水分は、栄養や酸素とともに血液として全身すみずみまで行きわたります。

心臓から出た動脈は無数に枝分かれしていき、最終的には細かい網目のような血管「毛細血管」となって全身に張り巡らされます。

この毛細血管は動脈と静脈をつなぐ部分にあたり、約5~15μm(0.005~0.015mm)という細さの血管で、細胞ひとつひとつに栄養や酸素を届けて代わりに老廃物や二酸化炭素を回収します。

しかし、実際には血管と細胞はつながっていないので、直接栄養や老廃物などのやり取りができません。

そこで、仲介役を担ってくれるのが毛細血管や細胞どうしのすき間を満たしている「組織液(間質液)」です。

毛細血管の壁には小さな穴があいていて、そこから栄養や酸素が含まれた水分が染み出して組織液に混ざります。

そうすると細胞は組織液に混ざった栄養や酸素を吸い込み、代わりに老廃物や二酸化炭素を組織液に吐き出します。

組織液に吐き出された不要物は、水分とともに毛細血管の中に引き込まれ、回収されていくのです。

そして、毛細血管とは別のルートに「リンパ管」というものがあります。

毛細血管内に戻りきれなかった水分はこのリンパ管に引き込まれ、リンパ液として回収されていきます。

リンパ液は、ところどころにある「リンパ節」というフィルターでろ過されたあと、静脈に注ぎ込まれます。

リンパ管からは1日に約3Lほどの水分が回収されています。

むくみ(浮腫)とは

むくみは、体に余分な水分をため込んでいる状態で、医学的には「浮腫(ふしゅ)」といいます。

体にある細胞一つ一つのすき間を満たしている「組織液(または間質液)」という水分が、通常よりも増えている状態が浮腫なのです。

この水分は、体重の5%以上(おおよそ2~3kg分以上)増えると、浮腫として現れるようになります。

顔や手足に次のような変化があれば、それは浮腫かもしれません。

  • 一日の間で急激に太ったような気がする
  • まぶたが腫れぼったい
  • 靴下の跡が凹んでなかなか消えない
  • 普段はいている靴が窮屈に感じる

むくみが起こるメカニズム

私たちの体には体のあらゆる状態を一定に保とうとする機能が備わっており、体内の水分量やその配分もこの機能によって調節されています。

細胞どうしのすき間にある水分「組織液」は絶えず入れ替わっていますが、それにも関わらず量が一定に保たれているのは、

  • 毛細血管から組織液に水分を押し出す力
  • 組織液の水分を毛細血管に引き込む力

この2つのバランスがうまく取れているからです。

しかし何らかの原因によってこのバランスが崩れてしまうと、組織液の量が増えてしまいむくみとなって現れるのです。

毛細血管から組織液に水分を押し出す力

髪の毛の10分の1ほどの細さしかない毛細血管ですが、その中にはしっかりと水分が流れており弱いながらも圧力がかかっています。

その圧力によって、毛細血管の壁にある穴から水分が血管の外に向かって押し出され、細胞を取り囲む組織液に混ざります。

しかし、その圧力が強くなりすぎた場合血管から染み出す水分の量が増えてしまいます。

そうすると組織液の量が過剰になり、結果としてむくみとなるのです。

組織液の水分を毛細血管に引き込む力

毛細血管への水分の移動は、「膠質浸透圧」という原理によって行われます。

毛細血管の壁をはさんで内側には血液外側には組織液という2種類の水分があり、内側の血液には「アルブミン」というたんぱく質の大きな粒が多く含まれている(=濃い)ため、外側の組織液(=薄い)から濃いほうに向かって水分が移動してくるのです。

しかし、何からの原因でこの浸透圧という原理がうまく働かなくなった時、組織液の水分が血管の中に移動できず、組織液に溜まったままになりむくみが起こります

むくみの対処法

むくみを改善するためには、まずはむくみの原因を知ることが大切です。

多くは体質や生活習慣が原因となっているものですので、自分自身で対処することが可能です。

しかし、中には背景に病気が隠れているものもあります。

むくみだけでなく、次のような症状がある場合は、医師の診察を受けましょう

  • 急激にむくんできた(強いアレルギー反応) 救急車を呼びましょう
  • むくみの程度が強い
  • むくみが全身に及ぶ
  • 体重が急増した
  • 咳、たん、息苦しさなど
  • 血尿
  • 強度のたんぱく尿(健康診断の尿検査で指摘されたり尿が泡立つこともあります)

むくみが分かりにくい時は、下の図のような症状がめやすになります。

・マッサージをする
・足を高くして休む

長時間の立ち仕事は、重力によって静脈の流れが滞りやすくなり、足のほうに水分が溜まりやすくなります。

足がむくんでいる時は、温かいお風呂にゆっくり浸かってマッサージしたり、足を高くして休むことで水分が心臓に戻るのを助けることができます。

(ただし心不全がある場合は、心臓への負担を増やすことがあるため注意が必要です。)

・ウォーキングをする

歩くことによって、足の指や足首の関節、ふくらはぎの筋肉の動きが活発になったり、足の裏に適度な刺激を受けることができます。

これらのことが、足の血流をよくするポンプの働きをすることでむくみにくくなります。

また、仕事の合間や家の中でくつろいでいる時、布団に入った時など、気が付いた時に足の指や足首を動かす運動をするだけでもずいぶん違います

・温める

冷え性で血流が悪い状態では、どうしてもむくみやすくなります。

足のほうを温めたり、血流を良くする運動をしたりしながら、冷えを軽減させることでむくみも改善しやすくなります。

・健康的な食生活を心がける

塩分が高い食事やお酒の飲みすぎは、体内の水分量のバランスが崩れ、むくみやすくなります。

また、たんぱく質が極端に不足している場合もむくみの原因になります。

カリウムを多く含む食品(バナナなどの果物や海藻、イモ類など)は、体内の余分な塩分を尿として排出するはたらきがあります。

おわりに

むくみは日頃よく経験する症状のひとつですが、その多くは一時的なものであり自然に治ってしまうことがほとんどです。

心配のないものが多いとはいえ、むくみがあると、どことなく体が重だるいようで気分もあまり晴れません。

むくみの原因にはさまざまなものがありますが、体への負担や生活習慣の乱れなどを知らせてくれるサインであるかも知れません。

そのメカニズムを知ることで少しでも予防や改善につながり、身も心もスッキリ軽くなれると嬉しいですね。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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