体重減少とその対処法

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普段の生活の中で、食事摂取量とエネルギー消費のバランスに多少の崩れがあったとしても、それほど大きく体重が変動することはありません。

これは、私たちの体には「恒常性(こうじょうせい)」という体の状態を一定に保とうとする働きがあるためで、一時的な体重の変化があったとしても体は元の体重に戻ろうと働きます。

しかし、食事摂取とエネルギー消費のアンバランスがなかなか改善されない場合や、摂取した栄養を体の中にうまく取り込めない状態が続くと、恒常性が破綻して徐々に体重が減少していきます。

また、若い女性の間ではやせている女性=スタイルがよくて美しいとされる風潮があり、無理なダイエット低体重による健康障害が社会問題ともなっています。

その一方で、本人の意思に関係なく体重が減少してしまう疾患もあり、一言で体重減少といってもその背景にあるものはさまざまです。

体重減少のメカニズム

体重を維持するためには、大まかにいえば摂取と消費のバランスが必要です。

摂取する量よりも消費される量が上回ると、体に蓄えられている脂肪をエネルギー源として利用するので、脂肪が減っていきます。

さらにエネルギー源が不足すると、今度は体のタンパク質を分解してエネルギーに変えようとします。

そうなることで、体重が減って見た目にも痩せるだけでなく、全身の栄養状態も低下してしまうのです。

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体重を減らしたいときは食べる量を減らしたり運動の量を増やしたりしますが、そういった行動をしていないにも関わらず体重が自然に減る場合があります。

多少の減少や一時的な減少であれば、その時の体調や生活などが影響していることも考えられますが、体重減少の程度が大きい場合は何か他の原因がある可能性を考えなくてはなりません。

具体的には、半年から1年の間に4.5㎏以上体重が減ったり、または元の体重の5%以上(50kgの人なら2.5kg)の体重が減った場合には、背景に病気などが隠れていないか、医師に相談して詳しく調べる必要があります。

体の栄養が不足すると、やる気が出ない、動きたくない、思考力が低下する、感情が乏しくなる、まわりの事に関心や興味がなくなる、動きたくない、寝てばかりいたい、などいわゆる「省エネモード」のような状態になり活動量が低下します。

やせの原因

もともと食が細かったり普段の運動量が多いなど、体に異常がなく栄養状態も良好なやせの場合は、体質的なやせと見なされ、特に問題視されることはありません。

しかし、次のような原因による体重減少は「症候性やせ」といって
体重や栄養状態を改善する工夫が必要になってきます。

食事摂取量が低下する

食事がうまく食べられない
咀嚼(そしゃく=食べ物を噛み砕くこと)や、嚥下(えんげ=飲み物や噛み砕いた食べ物を飲み込むこと)がうまくできず、食事摂取量が少なくなるものです。

精神・心理的問題(摂食障害 いわゆる拒食症、過食嘔吐)
太ることを極端に恐れるあまり、食事が摂れなくなってしまったり、食べたものを自ら嘔吐するなどの行動により、必要なカロリーが取れなくなります。

食欲不振、食欲中枢の異常
さまざまな原因により食欲がなくなり、食べる量が減ってしまいます。

無理なダイエット
体重を減らしたいという思いが強く、意図的に食事摂取量を減らすことがあります。

栄養の消化・吸収・利用の過程に異常がある

消化器系のどこかに異常がある
栄養を消化して吸収するという機能が正常に働かず、体に十分な栄養が取り込めなくなります。

インスリンの分泌量が不足する(糖尿病や膵臓の疾患)
摂取した糖分を脂肪に変えることができず結果としてやせてしまいます。

代謝が激しくなる

ホルモン異常(甲状腺機能亢進症、バセドウ病など)
代謝が激しくなると、その分エネルギーの消費量も多くなり脂肪の燃焼がすすんで体重が減少します。

体内の栄養分が失われる

広範囲のケガややけど、手術など
一度にたくさんの体液が失われると同時にたんぱく質も流れ出てしまい、一時的に体重が減少します

がん

がん細胞は、体に蓄えられている筋肉(たんぱく質)を栄養として大きくなっていくほか、エネルギーも消費するため体重減少が著しくなります。
さらには、精神的な要因や、抗がん剤の副作用である味覚障害、食欲不振、嘔気嘔吐などによって食欲不振となると食事摂取量も減少します。

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肥満度と標準体重

皆さんは、自分自身がやせ型なのか普通体形なのか、それともぽっちゃりなのか、どのタイプに当てはまるのかを調べたことはありますか?

肥満度を調べる方法はいくつかありますが、そのうち最も一般的に使われている方法が「BMI」肥満度分類(日本肥満学会)です。

あくまで、身長と体重から割り出した数値で判定するものですので、「低体重」と判定されても実際には脂肪が多い隠れ肥満だという場合もありますので、必ずしも正しく当てはまるというものでもありません。

BMI(ビーエムアイ)

体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) で数値を割り出します。

(例)体重46kg 身長162cm の場合

46÷1.62÷1.62 の式で求め、BMIが17.5 となります。

そして下記に当てはめます

18.5未満  低体重
18.5~24.9 普通体重
25.0~29.9 肥満(1度)
30.0~34.9 肥満(2度)
35.0~39.9 肥満(3度)高度肥満
40.0以上  肥満(4度)高度肥満

この区分によって、17.5は低体重と判定されます。

また、標準体重は、BMI 22.0にあたります。

これはもっとも健康的で疾患が少ない体重とされ、
身長(m)×身長(m)×22 で割り出すことができます。

(例)身長162cm の場合

1.62×1.62×22 の式で求め、標準体重は 57.7kgとなります。

ちなみにこのBMIは、18.5未満(やせに当てはまる)の人の割合が一番多いのは20代の女性(妊娠していない女性)で、この世代の女性の2割以上がやせに当てはまります。
これは、若い女性の間ではやせ型のスタイルが美の象徴とされ、男性や他の世代の女性に比べてやせ願望が強いという背景があるのかもしれません。
また、不健康なダイエットを繰り返すことにより、低栄養、貧血、卵巣機能の低下などさまざまな健康問題を引き起こす原因にもなっています。

体重減少への対処法

食欲がない場合

栄養を気にせずに食べられるときに食べられるものを食べられるだけで問題ありません。
調理方法、盛り付け、食事環境の工夫が効果的なこともあります。

一度にたくさんの量を食べられない場合

高たんぱく、高カロリー、高ビタミン食を少しずつ食べたり、飲み物でお腹がいっぱいにならないよう水分の飲む量とペースを調節することも一つの方法です。

食べない期間があった場合

食事の再開はいきなり普通の食事を食べるのではなく、消化の良い物(おかゆや柔らかく煮たうどんなど)から始め、胃腸を慣らしながら段階的に普通の食事に戻していくと胃腸への負担が少なくて済みます。

食べることが心への負担になる場合

体重が増えることが怖くて食べられない、食べたくない、といった悩みを理解してくれる相手がいればずいぶんと心が軽くなると思います。
身近にそのような相手がいなければ、カウンセリングなどを受けてみるのも一つの方法です。

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おわりに

体重は、生涯の健康を保つためには、肥満でもなくやせてもいない、ちょうどいい体重を維持することが大きなカギとなります。

また、体重は生活の乱れや体調の変化を気付かせてくれたり、隠れている病気の可能性を示唆してくれたりと、日頃の健康管理に役立つものです。

定期的な体重測定をすることで、体重をコントロールしやすくなるだけでなく、その増え方や減り方も重要な情報として参考になりますので、ぜひ毎日同じ条件で体重を測り記録をつけることをおすすめします。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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