皆さんは、お肌の変化やトラブルで悩んだ経験はありますか。
今現在もお肌の悩みを抱えているという人も多いのではないでしょうか。
お肌のトラブルは、思春期の人や女性だけでなく、性別問わず赤ちゃんからお年寄りまで多くの人に起こりうるものでもあります。
また、年齢とともに起こる皮膚の変化が、多くの人にとって悩みのタネともなっています。
このページでは、特に顔のお肌について学んでいきます。
皮膚の構造やはたらき、皮膚の変化が起こるメカニズムを知ることで、対処法のヒントが見つかるかも知れませんね。

もくじ
シミ
30~40代頃になると、顔や手、腕などの肌にシミと呼ばれるものが発生します。
数ミリ~数センチの大きさで、薄茶色や黒っぽく変色して見える部分を指します。
医学的には、「老人性色素斑」や「日光性色素斑」とも言います。
シミが発生するメカニズム
シミは、紫外線を繰り返し浴び続けることが原因で起こります。
子どもや年齢が若い人であれば、紫外線を浴びたとしても、一時的に日焼けして肌が黒くなるだけで、時期が来ると元の肌の色に戻ります。
しかし、ある程度年齢を重ねると、紫外線から受けた刺激がシミとなって残ることが多くなるのです。
この、日焼けとシミの違いは一体何なのでしょうか。
日焼けとシミ
紫外線を浴びると、皮膚はどのような変化を起こすのでしょうか。
皮膚の構造については皮膚の働きとしくみのページでも詳しく紹介していますのでご参照ください。
表皮基底層の角化細胞にある遺伝子(DNA)が紫外線の刺激を感知すると、防御反応が起こります。
皮膚を日光から守るべく、メラニン細胞(色素細胞)にメラニン色素を作り出すように指令を出します。
メラニン色素というのは、肌の内部で作り出される茶~黒色の色素のことです。
これは、肌の色を濃くすることで、紫外線を吸収し、その下にある肌の大切な細胞を守ろうとする防御反応ともいえます。
色が濃くなった皮膚の層は、ターンオーバーという皮膚が生まれ変わるはたらきによって少しずつ表面に向かって押し上げられ、最終的には垢と一緒にはがれ落ち、しだいに元の肌の色に戻っていきます。
これが私たちがよく知っている日焼けというものす。

しかし、日光の刺激が強すぎたり、繰り返し紫外線を浴び続けていると、その部分にある細胞の遺伝子(DNA)の働きが正常でなくなりなり、紫外線を浴びていないにもかかわらずメラニン細胞へメラニン色素を作るように指令を出し続けてしまうということが起こります。
皮膚がターンオーバーを繰り返しているにもかかわらず、同じ場所に同じようにシミが残っているのは、その場所の深層にあるメラニン細胞が指令を受け続けて、同じ場所で同じようにメラニン色素を作り続けているせいなのです。
さらに、ターンオーバーが停滞しがちになると、本来はがれ落ちるはずの皮膚がメラニン色素を含んだまま肌に蓄積されるため、シミを目立たせる大きな原因の一つになります。
シミの対処法
シミは、皮膚科学的には良性腫瘍の一種と考えられています。
残念ながら、一度できたシミを完全に消し去ることはできません。
なので、シミを作らないために、また、シミを悪化させないように、まずはしっかりとした対策が必要です。
紫外線対策をする
地上の紫外線にはUVA(A波)とUVB(B波)の2種類がありますが、このうちUVAがシミの原因になります。
UVAは、日差しが強い炎天下に限らず、一年中、曇り空の日でも降り注いでいます。また、窓ガラスも通り抜けてしまいますので、冬の屋内でも油断はできません。
UVAから肌を守るためには、日焼け止めが有効です。
日焼け止めの表示をよく見てみると、「SPF」や「PA」といった記載がありますね。
これは、日焼け止めの効果を示すもので、「SPF」は皮膚の炎症を起こすUVBの防止効果を2~50、50+の数字で表しています。
一方、「PA」はUVAの防御効果を示す指標で、+の数で表されています。
「PA+」から「PA++++」までの4段階あり、+の数が多いほどUVA防止効果が高いことを表します。

日常の買い物やレジャーなど、生活シーンに合わせて使い分けられるといいですね。
また、日焼け止めは一度塗っても汗や摩擦で落ちてしまいますので、効果を長続きさせるために2~3時間ごとのこまめな塗り直しが重要と言われています。
肌のターンオーバーを促す
肌の生まれ変わりのサイクル周期をターンオーバーといいますが、ターンオーバーの日数は年齢とともに長く延びていきます。
正常なターンオーバーの周期は約28日で、一番肌を美しく保つ理想的な周期と考えられています。これは20代の平均的な周期です。
しかしその周期は年々延びていき、30代になると約40日、40代になると約55日、そして60代では20代の約3倍にもあたる90日を要することになります。
新しい細胞を作り出し、その細胞を健やかに育て、正常な機能を果たし、そして役目を終えたら速やかにはがれ落ちていく…というターンオーバーのサイクルを正常にスムーズに行うためには、生活の中のちょっとした工夫が必要になります。
規則正しい生活
顔のお肌に限らず全身の細胞づくりに共通して言えることですが、生活習慣の乱れはターンオーバーの乱れに直結します。
寝不足や疲労、ストレス、喫煙、運動不足、便秘は皮膚の生まれ変わりを妨げてしまいます。
このようなことに心あたりがあれば、少しずつ生活習慣を見直してみましょう。
栄養
ビタミンB群やビタミンCを中心としたビタミン類、肉や魚、卵、大豆などのたんぱく質は細胞の栄養になります。
これらの栄養が不足しないように、バランスのよい食事を心がけましょう。
保湿
皮膚の乾燥は、正常なターンオーバーを妨げます。
汗をかいて肌が湿っているように見えても、実は肝心の肌内部が乾燥しているということもよくあります。
皮膚の深層では、常に新しい細胞が生まれ育っています。そのサイクルにダメージを与えないためにも、しっかりと保湿して保護することが大切です。
シミの治療
皮膚科や美容外科では、レーザー治療やハイドロキノン・トレイチノン療法といった治療を行っているところもあります(保険適用外)。

肝斑(かんぱん)
「老人性色素斑」や「日光性色素斑」と呼ばれる一般的なシミのほかに、「肝斑(かんぱん)」と呼ばれるタイプのシミもあります。
これは、女性ホルモンの乱れが原因でおこる薄茶色のシミで、頬のあたりの比較的広い範囲に左右対称にぼんやりと広がるのが特徴です。
妊娠、ピルの服用、更年期などがきっかけで発生し、60代頃になると自然に消失していくことが多いといわれています。
肝斑は一般的なシミと違って、レーザー治療で効果が期待できないばかりか、かえって目立ってしまうこともあるようです。
しわ・たるみ
年齢を重ねると、皮膚はたるみ、しわを作ります。
自然の流れであるとはいえ、このたるみやしわで悩む人が数多くいるのも事実です。

しわ・たるみが発生するメカニズム
しわやたるみは、皮膚の弾力が失われることによってできるものですが、では、皮膚の弾力はどのように失われるのでしょうか。
皮膚は、深層の真皮にあるコラーゲン、エラスチン、ムコ多糖(ヒアルロン酸など)といった成分によって水分を保持し、皮膚の弾力やハリ、みずみずしさを保っています。
しかし、加齢に伴ってこれらの成分が減少してくると、皮膚の水分を保つ力が弱まり、しわやたるみとなって現れるようになります。
また、加齢の他に、紫外線もこれらの成分に刺激を与えて萎縮させてしまいます。
小じわ
皮膚の表面の乾燥によってできるしわで、ちりめんじわとも呼ばれます。
適切な保湿によって改善することもできます。
年齢じわ
皮膚の深いところにある、コラーゲンやエラスチンといった成分が減少し、肌の弾力が低下することでできるものです。
たるみ
コラーゲンやエラスチンの減少、さらには皮膚を支える筋肉の衰えなどによって、皮膚全体が重力で下がってしまうものです。
しわ・たるみの対処法
お肌は、加齢とともにその機能が衰えていくのはある程度仕方がないことです。
しかし、「光老化」という言葉があるように、紫外線が老化を加速させる大きな原因になることがわかっています。
コラーゲンやエラスチンを守るために、紫外線(UVA)から皮膚を守りましょう。
方法は、上記のシミの対処法と同じです。
また、正常な皮膚の働きを保つために、保湿をすることも大切です。
その他の肌トラブル
このページでは、主に加齢による顔の肌トラブルについて紹介しました。
その他のお肌の悩みとしてよくある乾燥肌、ニキビ、かゆみなどについては別ページで紹介していますので、こちらも参考にしてみてくださいね。
乾燥による肌荒れ、ニキビ
肌のかゆみ
おわりに
皮膚の老化は、直接私たちの健康や命に係わることはありません。
しかし、お肌のはたらきを正常に保つことは若々しさを保つことにつながります。
若々しさを保つことで、自分に自信が持てたり、ポジティブな感情が生まれたりと心の健康を保つ効果が期待できます。そして、それが結果として体の健康にも結びつくのです。
加齢というとどうしてもネガティブなイメージを持たれがちですが、それに負けることなくいつまでも若々しく、人との付き合いや日々の生活をより楽しんで元気に過ごしていきたいものですね。
最後までお読みくださりありがとうございました。