尿量の増加とその対処法

はじめに

排尿は、日々の生活の中で欠かすことなく一定時間ごとに繰り返されている生理現象であり生活行動でもあります。

この排尿にかかわる一連の流れに異常がなくスムーズに行われる場合は、あまり意識せず自然に行われています。

しかし、排尿が普段通りにできなくなると、心身に負担がかかるだけでなく、日常生活、社会生活、人間関係にまで影響を及ぼすこともあります。

排尿はこれからも日々休むことなく続いていきますので、少しでもストレスなくお付き合いしていきたいものですね。

正常な排尿とは

皆さんは「正常な排尿」と聞いて、どのような様子を思い浮かべますか?

「いつもどおりの排尿」「普通の排尿」と答えた方は、排尿についてのトラブルや悩みがなく、おそらく「正常な排尿」ができているのではないでしょうか。

排尿は個人差がありますのでどの人にも当てはまるとは限りませんが、正常な排尿とはおおよそ次のようなものをいいます。

  • 一定の量が膀胱の中に貯まると尿意を感じる
  • 力まなくても自然に排出できる
  • 適度な勢いがあり、途中で弱まったり途切れたりしない
  • 尿の線にある程度の太さがある
  • 痛みなどの苦痛を伴わない
  • 中断することなく一度で出し切れる
  • 残尿感などなくスッキリと尿意が消失する

このうちのどれか一つでもスムーズにいかない場合を排尿障害といいます。
成人の排尿の回数は、個人差はありますが1日に4~6回ほどです。

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排尿のしくみ

腎臓で作られた尿は、尿管という細い管を通り膀胱(ぼうこう)に溜められます。

膀胱は最大で1000mlほどの尿を溜められるほど膨らむこともできますが、通常はそれだけ溜めようと思うと相当の苦痛を伴いかなりの我慢も必要です。

通常は、400~500mlが我慢の限界で、それ以上を超えると反対に尿意を感じにくくなります。

膀胱内の尿が100~150ml程度貯まると、膀胱が膨らみ始め、膀胱の粘膜がその圧力を感知して神経から脳に伝わります。

そうすると私たちは「尿意=尿をしたい感覚」として感じ、膀胱に尿がたまったことを知らされます。

この時、体は反射的にいつでも排尿できる準備が整っているのですが、それを自分自身の意思によっておさえ、我慢しているのです。

トイレに入り、排尿してもよい状況が整うと、改めて脳から排尿の指令が下ります。

膀胱の出口の筋肉が緩まり開放されて尿が排出され始めると、膀胱にたまった尿が減っていく様子が神経によって感知されます。

そうして尿を出し切ると、自然にまた膀胱の出口の筋肉が締まり、排尿が終わります。

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頻尿とは

頻尿(ひんにょう)とは、頻繁に尿が出る、尿の回数が多い、いわゆるトイレが近い状態をさします。

一般的には1日に8~10回以上排尿がある場合を頻尿といいますが、排尿の回数は個人差がありますのでどの人にも当てはまるわけではありません。

普段から排尿の回数が多い人にとっては10回程度の排尿でも頻尿とはいえず、また尿回数が少ない人にとっては8回より少なくても頻尿と捉えられる場合もあります。

頻尿の原因となるもの

普段、私たちがよく経験する頻尿といえば、水分をたくさん採りすぎた時、コーヒーやお酒を飲んだ時などが思い浮かぶと思います。

水分の摂取量が多かったり、利尿作用のあるものを摂取したり、また体内のホルモンの異常で尿量そのものが増えると、そのぶんトイレの回数も増え、頻尿となってしまうことがあります。

その他にも、次のように尿量は変わらないにもかかわらず尿回数が増える頻尿というものがあります。

膀胱炎(ぼうこうえん)

普段、膀胱の中は無菌状態に保たれていますが、大腸菌などの菌が侵入することで炎症を起こしてしまう場合があります。
通常はある程度膀胱に尿が溜まると膀胱の粘膜がその圧を感知して尿意を感じるのですが、粘膜が炎症による刺激を感知し、脳が「尿が溜まった刺激」と受け取ってしまうようになります。
また、膀胱腫瘍でも同じようなメカニズムで頻尿を起こすことがあります。

前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)

肥大した前立腺により尿道が圧迫されて、尿の通りが妨げられることになります。
そうすると一回の排尿で尿をしっかりと出し切れずに残尿が多くなり、いつまでもすっきりしなかったり、短時間でまた膀胱に尿が溜まってしまうので、すぐにトイレに行きたくなります。
子宮筋腫子宮がん直腸がんなどで尿道を圧迫されたときにも同じような症状がおこります。

過活動膀胱(かかつどうぼうこう)

膀胱に尿がそれほど溜まっていないにもかかわらず、急に強い尿意を感じてしまい、我慢できなくなるものをいいます。
はっきりとした原因は明らかとなっていませんが、脳から神経への命令の伝達がうまくいかない、精神的ストレス、加齢、膀胱の知覚が過敏になっているなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っておこるようです。
場合によっては、尿もれを伴うこともあります。
トイレに頻繁に通うために日常生活が制限されたり、身体の疲労感、精神面への負担など、新たな問題につながることも多いです。

心因性頻尿(しんいんせいひんにょう)

体には頻尿の原因になるものがなくても、精神的な緊張やストレスによってトイレが近くなる場合があります。
一時的なものであればそれほど心配はありませんが、日常生活への影響が大きい、頻尿がストレスとなる、心理的な負担が大きいなど、それがさらに頻尿の原因になってしまうような悪循環に陥っている場合には、精神科や心療内科で相談するのも一つの方法です。

夜間の頻尿

夜、睡眠中に尿意で目が覚めてしまうものをいい、朝までに2回以上トイレに起きる場合を、医学的には夜間頻尿と判断されています。
しかし、トイレの回数やパターンには個人差がありますので、必ずしも全員に当てはまるというわけではありません。

夜間の頻尿の原因は3つあり、それぞれがお互いに絡み合っています

尿量そのものが増える

水分摂取量が多いほか、睡眠中に分泌される抗利尿ホルモン(尿を作らないようにするホルモン)の分泌が低下する、寝る前のカフェイン摂取や晩酌が原因になっていることもあります。
また、日中の長時間の立ち仕事などで下半身がむくんでいる場合、横になることで下半身に溜まっていた水分が心臓に戻り、その水分を排出するために尿が一気にたくさん作られるようになります。

膀胱の萎縮(弾力がなくなり伸びにくくなる)

加齢などにより膀胱の弾力がなくなると、たくさんの量を溜めておくことができなくなります。
そうなると、尿がそれほど溜まっていないのにもかかわらず尿意を感じ、目が覚めてしまうのです。

不眠(寝付けない、眠りが浅い、すぐに目が覚める)

眠りが浅く夜中に何度も目が覚めると、そのたびにトイレに行きたくなります。
トイレに行くことで体も目覚めてしまい、尿が作られるようになります。
そうしてまたトイレに行くということを繰り返しているうちに、さらに眠れなくなるという悪循環に陥ってしまいます。

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頻尿の対処法

頻尿は痛みなどの苦痛を伴わないものも多くありますが、トイレに頻繁に通わなければならないことで心身ともに疲れ切ってしまいます。

そればかりでなく、普段通りの生活が送れなくなることで不都合が生じたり人との関わりが億劫になるなど、さまざまな影響を及ぼします。

そんなつらい頻尿を改善するためには次のような方法があります。

医師に相談する

【主治医に相談】

治療中の病気があれば、かかりつけの主治医や薬剤師に相談してみましょう。
もしかすると、服用中の薬の副作用として頻尿が起こっているかもしれません。

【泌尿器科に相談】

原因によっては腎臓内科や内分泌内科が専門となることもありますが、症状だけではわかりませんので、そのような場合でもまずは泌尿器科を受診しまよう。
必要に応じて、専門医へ紹介してもらえるはずです。

薬物療法のほか、膀胱訓練(膀胱に尿を溜めて排尿を我慢する訓練)、仙骨神経刺激療法(SNM)などの電気刺激療法といった専門的な治療が行われることもあります。

脱水予防のために

トイレが近いと、どうしても水分を控えがちになってしまいます。
しかし、水分摂取量が少ないと、脱水を起こしてしまう危険性があります。
また、細菌性の膀胱炎がある場合、尿量を増やすことで尿で膀胱内の菌を洗い流す効果も期待できます。
日中はできるだけこまめに少しずつ水分を摂るように心がけましょう。

夜間の尿量を減らすために

夜寝る前の水分摂取やカフェイン入りの飲み物やお酒を控える、普段から塩分をひかえめにするなど、夜間に過剰に尿が作られる原因を作らないようにします。
また、日中は適度に歩いたり、時々足を上げてマッサージする、ゆっくりお風呂につかることもむくみを改善することにつながります。

不眠を解消するために

眠りの環境を整えるためには、寝室の室温や湿度、明るさを調節したり、布団を温めておくことも効果的です。

夜間、トイレに目が覚めたときのために

夜中、トイレに何度も通う負担を少しでも軽くするために、トイレから近い部屋で就寝する、尿器(しびん)で排尿するという方法もあります。
夜中にトイレに起きたときというのは、頭がぼんやりしている、足元が不安定でふらつきやすい、薄暗くてまわりがよく見えない、トイレに急いでいる、など転倒しやすい条件がそろっていますので、年齢に関係なく十分に気を付けなければなりません。
また、夜間の明るすぎる照明は目が覚めやすくなってしまいますので、照明は暖かく優しい明るさのものがおすすめです。

おわりに

排泄は私たちの体にとって非常に重要な働きであり、生活にも関わりの深い生活行動です。

その一方で、排泄は非常にプライベートな事で人前でオープンに話すことはタブーとされてきた歴史があります。

排泄の悩みは年齢とともに増えてきますが、恥ずかしいことだと感じてなかなか人に相談できず、診察を受けるのもためらわれ、悩みを一人で抱えて苦しい思いをしている人が多いのも事実です。

排尿のトラブルや悩みは、日常生活の見直しで改善できるものもあれば、そのままにしておくと病状が悪化してしまったり影響が全身に及んでしまうこともあります。

心身ともに元気で穏やかに過ごしていくためにも、排尿の悩みは早めに解決したいものですね。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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