【理学療法士が教える】中年期の膝の内側痛は早めの対処が重要!原因と対処法を徹底解説

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中年期とよばれる年代(40~64歳)になると徐々に身体の不調が出てくると思います。その中でも多いのが膝の内側の痛みを訴える人です。

そこで今回膝の内側に痛みが出る原因とその対処法についてご紹介していきたいと思います。

もくじ

膝の内側が痛くなる疾患は?

まず膝の内側が痛くなる疾患というのはどういったものがあるのでしょうか。

代表的なものとしては以下のものが挙げられます。

・変形性膝関節症

・半月板損傷

・関節リウマチ

・大腿骨顆部骨壊死

これらの中でも特に有名なのが変形性膝関節症です。

日本ではレントゲンで調べた時の変形性膝関節症の人が2530万人(女性1570万人、男性860万人)とも言われており、実際に痛みの感じている人は800万人にものぼることが分かっています。

つまり日本人の約15.8人に1人の人が抱えている疾患だということになります。

この記事では変形性膝関節症に焦点を絞って原因や対処法をご紹介していきたいと思います。

膝の内側が痛い原因

では何故変形性膝関節症になってしまうのでしょうか?

その要因は以下の通りです。

・女性

・肥満

・高齢

・O脚

・運動不足

・過剰な運動

・過去の膝の怪我

先述の人数でも分かる通り変形性膝関節症にかかる人は男性の約2倍も女性の方が多いことが分かっています。その理由としては筋力が全体的に女性の方が少なかったり、閉経後のホルモンバランスの崩れなどによる影響があると言われています。

また高齢・運動不足などによって身体が弱っており、肥満などで体重が膝に負担をかけてしまって発症してしまうことも多いです。

変形性膝関節症はO脚で内側を痛める人が圧倒的に多いのですが、X脚で外側を痛める人も少数います。

ここで簡単に変形性膝関節症で内側に痛みが出る理由をご説明いたします。

まず要因にあったように年齢を重ねて高齢になっていくと軟骨や半月板(膝のクッションの役割をしている組織)が少しずつ脆くなってきます。

そこに負担がかかってくると軟骨に小さなキズができ、負担がくり返されて徐々に膝が変形(O脚化)していきます。

負担がかかりすぎて軟骨の表面が削れてしまうとその奥にある骨も傷つくため、痛みや腫れなどが出てきてしまうのです。

このように一気に関節が傷つくのでなく、徐々に進行していくものなので、早めに対処をする事が重要です!

膝の内側が痛くなった時の対処法

まず膝が痛くなったらどのように対処していくべきなのかをご紹介していきます。

1.整形外科に行こう

まずは近くの整形外科や膝を専門にしているお医者さんのところに行って診てもらいましょう。

最初に説明したように膝の内側が痛くなる疾患は変形性膝関節症だけではありません。それぞれの疾患には違った対処法というのがあるので、まずは自分の痛みが何によって引き起こされているのかを知る必要があります。

2.炎症を抑える

変形性膝関節症は炎症の起こさない疾患だと言われていますが、膝の痛みが強い時期には熱を持っていることもあり、全ての人で炎症が起きていないわけではありません。

そのため、痛みが強い時期や熱がある場合には安静にしたり、氷で膝を冷やすことで炎症を抑えることができます。

3.膝を支える道具を使う

痛みが酷い時には膝の負担を減らしてあげるための道具を利用するのも効果的です。

・杖

・足底板(靴の中敷)

・サポーター

4.軽い運動や体操をする

元々変形性膝関節症の人は筋力をつけないと痛みは良くならないと言われてきていましたが、2000年代に入ってから研究が進んだことで新たな事がわかってきました。

それが「軟骨やその周りの組織は適度な運動によって炎症を抑える反応をする」ということです。

そのため、筋力をつけることはもちろん大切なのですが、まずは適度に体操や運動をすることが痛みを取るのに非常に重要になってきます。先ほどの道具を使うのも良いのですが、最終的に自分の力だけで痛みなく生活するためには運動をしていきましょう。

簡単な体操をご紹介

ではここで簡単に自宅でもできる体操をご紹介します。

1.膝の曲げ伸ばし

まずは膝の曲げ伸ばし体操です。とても簡単な体操で意味があるのかと思われるかもしれませんが、こうした運動も関節に良い影響を与えてくれます。ただし、無理に曲げようとしないでくださいね

2.膝伸ばし体操

次に太ももの前の筋肉を鍛える体操です。

タオルを膝の下に置き、足首を少し反らしたまま膝を伸ばしましょう。

この時に太ももの内側の筋肉に力が入るように意識しながら行ってください。

3.お尻上げ体操

最後はお尻を上げる体操です。

膝を立てた状態から真っ直ぐお尻を上に持ち上げて、お尻の筋肉に力を入れます。

この時、腰が反らないように注意してください。腰を痛めてしまう可能性があります。

膝の内側が痛くなって来られた変形性膝関節症の事例

2ヶ月前から膝が徐々に痛くなってきて、我慢できなくなって病院に来られた50代後半の女性の方がいました。

普段は自分で小さな商店をされていて、その店番をしなければいけないので、ほとんど出歩くことが無かったそうです。

最初は痛みが強かったので、軽めの体操からスタートしました。

痛みが強い時期は炎症を抑えるようなアイシングや先ほど紹介した膝の簡単な体操を行い、痛みがなくなってきたら徐々に運動をしてもらいました。

少しぽっちゃり体型だったので、膝に負担のかかりにくい固定式の自転車を漕いで有酸素運動も一緒に行い、大体1ヶ月ほどで徐々に痛みが改善されてきました。

そして歩くのに痛みがなくなってきたら、毎日散歩に出てもらうことにしたのです。時間は10分ぐらいの短い時間からはじめて、徐々に時間を長くしてもらいました。

最終的に2ヶ月ぐらいで日常生活の痛みがほとんどなくなり、散歩を1時間ぐらいしても大丈夫なほど元気になられました。

最初は散歩に出るのが面倒くさいとおっしゃっていたのですが、散歩をしている時に出会った人と仲良くなり、一緒に散歩をするようになってから楽しくなってきたようです。

お友達と一緒に運動する習慣をつくると楽しみながら健康になれるので良いかもしれませんね。

まとめ

今回中年期に膝の内側が痛くなる原因と対処法、そして体操までをご紹介させて頂きました。

変形性膝関節症の方は本当に多いですが、意外と最初の軽い痛みを放置してしまい、症状が酷くなってしまうという方が増えていますので、痛くなった時点で早めから対処していくようにしましょう。

【参考文献】

・久保俊一,斎藤正純:変形性関節症を理解する.Jpn J Rehabil Med 2015;52:256-264

・黒澤尚:変形性膝関節症と運動療法:その効果の生物学的機序.順天堂醫事雑誌.2013,59,163-170

・吉村典子:一般住民における運動器障害の疫学.大規模疫学調査ROAD.THE BONE.2010.24.39-42

・木藤伸宏,小澤淳也,金村尚彦:変形性膝関節症理学療法診療ガイドライン.理学療法学,2016,43,204-209



カテゴリー:理学療法士【痛み】, 痛み

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