【理学療法士が教える】足の捻挫は最初が肝心!癖にしないためのリハビリと身体づくり

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足関節いわゆる足の捻挫はスポーツをしている若者に多い怪我の1つです。とても多い怪我であるために、安易に考えて無理にスポーツを続けたり、ただ安静にしているだけですぐに再開してしまう人が非常に多いです。

今回は足の捻挫をした時の対処法と癖にしないためのリハビリ・身体づくりについてご紹介していきたいと思います。

もくじ

足の捻挫とは?

足の内側を怪我する捻挫足の外側を怪我する捻挫があり、一般的に足の外側を怪我する場合が多いです。

捻挫によって足の周りに付いている靭帯を損傷してしまい、足の周囲が腫れたり、痛みが出てしまいます。

ただ、捻挫がひどい場合には

・靭帯が切れてしまう(靭帯断裂

・靭帯の付着している骨が一緒に剥がれてしまう(剥離骨折

・靭帯を2ヶ所以上損傷してしまう(複合靭帯損傷

・靭帯は大丈夫だけど骨折してしまう(腓骨骨折など)

といった事が起こることも多いです。

捻挫した時の対処法【POLICE処置】

捻挫をしてしまった場合ですが、ただの捻挫だと軽く考えないようにしてください。

先述のように捻挫の仕方によっては、それがただの捻挫ではない可能性もあります。

そのため、早く確実に治したいのであれば、捻挫をした時に自己判断せずスポーツ整形がある整形外科や病院に行って診てもらいましょう

また基本的なスポーツの怪我の対処法としては昔からRICE処置というのが一般的でしたが最近ではPOLICE処置という考え方が広まっていますので、簡単にご紹介いたします。

POLICEとは以下に紹介する処置の頭文字をとったものです。

【Protect】:保護

捻挫をしてしまったら、まずは保護が重要になってきます。

保護することで傷ついた靭帯が少しずつ修復されて治りやすくなります。

この靭帯が修復される期間は怪我をしてから一定の期間しかなく、それを過ぎてしまうと修復されなくなってしまいますので非常に重要な期間となります。

そのため、まず最初は安静にして修復を待ちましょう。

【Optimal Loding】:適切な負荷

安静は重要ですが、安静にしすぎると逆に筋肉が落ちすぎてしまったり、スポーツに復帰するのに時間がかかってしまいます。

そのため、怪我をした箇所に負担のかかり過ぎない軽い体操や運動などを行なって、怪我の時期に応じた負荷をかけてあげましょう。(専門的な知識が必要です。病院などで確認しましょう)

【Ice】:冷却

怪我をすると炎症を起こして腫れたり痛みが出ます。

そのような腫れや痛みを抑えるためには氷でアイシングをするというのが一番効果的です。

ご家庭によくある食材用のアイスパックなどは凍傷の危険性があるため、基本的には氷に少しの水を入れて15-20分間冷やすようにしてください。

【Compression】:圧迫

包帯やパッドなどを用いて捻挫をした場所や腫れがあるところを圧迫します。

それによって内出血や腫れを抑えてくれますが、強く圧迫しすぎると血流が止まってしまうので、注意が必要です。(専門的な知識が必要です)

【Elevation】:挙上

怪我をした足を心臓よりも挙げることで腫れが大きくなるのを防いでくれます。

特に怪我をしてすぐの時はできるだけ挙げておくように意識してください。

寝るときも膝から下に布団や枕などを敷いて寝ると次の日に腫れが引きやすくなります。

これらの事を怪我をした直後から急性期と言われる3週間ぐらいまでの間実施すると怪我は治りやすくなります。

癖にしない捻挫後の身体づくり

捻挫は「癖になりやすい」とよく言われます。

その原因の多くは怪我をした後に適切な対処をしていないことと身体づくりが不十分なことがほとんどです。

1回目の捻挫が人に押されたことで起きた事故であっても、筋力が不十分のまま復帰してしまうと今度は自分一人で動いただけで捻挫を繰り返してしまうのです。

そんな状況にならないための身体づくりを簡単にご紹介したいと思います。

【食生活】

まずは身体づくりの基礎となる栄養のお話です。

捻挫後に身体は怪我を治そうとしてたくさんの栄養素を足に送り込みます

ですが、日常生活の中でしっかりと栄養が取れていないと十分な栄養素が回らないので、怪我の治りも遅くなってしまいます。

基本的に食事は毎食きちんと「主食・主菜・副菜・乳製品・果物」が揃った食事を取るようにしてください。(親御さんの協力が必要です!)

栄養素の働きと含まれる食べ物は下の画像を見てください。

食事は栄養素のバランスを考えたメニューを食べ続けることが大切です。

1日だけバランスの良い食事、1回だけバランスの良い食事を食べても、それだけではすぐに栄養素が足らなくなってしまいます。

毎日の食事を大切にしてください。

具体的なトレーニング内容

【捻挫直後】

捻挫をした直後は、基本的に足は安静にして保護をしないといけない時期なので、足首自体の体操はできません

ただ足の指などの動かせる部分は積極的に動かしていくと腫れが引きやすくなります

捻挫をしやすい人は足の指の体操で小指側が開きにくい傾向があるので、しっかりと小指と薬指が離れるように開くことが大切です。

また足を使わない上半身や体幹などのトレーニングは積極的に行なって体力の維持に努めます。

またPOLICE処置は随時行なっていきましょう。

【安静の時期が終わったら】

足の保護が必要なくなったら、足の筋トレをどんどん進めていきます。

外側の靭帯を痛めた場合であれば外側の筋肉を、内側の靭帯を痛めた場合であれば内側の筋肉を中心に鍛えていきますが、どちらの怪我でも両方鍛えたほうが足首が安定します

最初は何も使わずに力を入れるだけのところからスタートして、徐々にセラバンドなどのトレーニング用ゴムを使うと段階的に筋力を鍛えられます。

この足の筋力が健康な足と同じぐらいに回復していないと、同じ捻挫を繰り返してしまう可能性が高くなってしまうので、非常に重要なトレーニングとなります。

【筋力が十分付いてきたら】

足自体の筋力が十分に付いてきたら徐々に体力の向上とバランスのトレーニングを行っていきましょう。

バランスボードを使ったトレーニングは足の反応速度を上げ、再発の予防に繋がりますので、両足から始めて片足でも立てるようにしてましょう。

この辺りから徐々に練習にも入っていけるようになります。

怪我をした方の足で十分にバランスが取れ、ジャンプしたり横に動いても怖さや痛さが無くなれば、復帰に近づいていくでしょう。

足関節捻挫をしたサッカー選手の事例

ある年の11月前半に高校3年生のサッカー選手が捻挫をして病院に来ました。

何度かすでに捻挫を繰り返していたのですが、レギュラーだったため休むことができずにいたということでした。

今回は捻挫後にかなり足が腫れてしまって動けなくなってしまったので来院されました。

1週間の固定の後、年明けからリハビリテーションをすることになり、最初はPOLICE処置を使いながら腫れを引かすことを中心に行いました。

3週間ぐらい経ち、腫れがひいて保護の必要がなくなってきた段階で足首の筋トレを中心にトレーニングをしていきました。

何度も繰り返していて捻挫が癖になるほど弱ってしまっていた足首を元に戻すのはかなり大変でトレーニングは1日に2-3時間行ってもらっていました。

本人も高校生活最後となるインターハイ予選に出場するために必死に頑張っていました。

結局試合に復帰できたのは3月中旬で、そこから必死にチームの練習にもついていき、最終的に4月から始まるインターハイ予選にも間に合うことができました。

捻挫を軽く考え、放置してしまった結果、回復にかなり時間がかかってしまったケースです。

最初からしっかりと筋力をつけて治していれば、そもそも今回のような深刻な捻挫をしなくて済んだかもしれません。

足の捻挫後のリハビリまとめ

今回足の捻挫の種類と対処法、そして癖にしない身体づくりについてご説明させていただきました。

足の捻挫が癖になってしまうのと治して再発しないようにするのでは大きな違いがあります。

捻挫だと軽く考えず、適切な処置や栄養の摂取を行って、しっかりと治していきましょう。

【参考文献】

Bleakley C, Glasgow P, MacAuley D. : PRICE needs updating, should we call the POLICE? Br J Sports Med, 46 (4) : 220-221, 2012.

小林匠:足関節捻挫の病態と治療.日本アスレティックトレーニング学会誌.3.117-126.2018

篠原 純司:スポーツ活動における足関節捻挫-後遺症と捻挫再発予防について-.日本アスレティックトレーニング学会誌.3.127-133.2018



カテゴリー:その他・予防法, 理学療法士【痛み】, 理学療法士【予防】, 痛み

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