【作業療法士が教える】認知症が気になる方みてね:~治る?予防や診断・その治療と対応を知りましょう~

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認知症とは~“ボケた”で片付けられてきた“病気”~

認知症というと、物忘れをする、徘徊する、訳が分からない行動をする…そんなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?

認知症=お年寄りのボケではなく、怠けている人がなるものでもなく、実はれっきとした病気なのです。

あまりにも多くの症状が出ることと、認知症の人がとる言動が私達には理解しづらく、こちらの言うこともわかってもらえないことが多いために、迷惑をかける人、変な人として扱われてしまうことも少なくありません。

認知症の人は、知能が低下したのではなく、周りの状況の把握とそれに対する行動対処や判断が上手くできないのです。

記憶が無くなってしまったのではなく、思い出すシステムが上手く働かないのです。

その原因は脳の変化にあります。

認知症の人に見られる脳の変化

  •  脳がやせてしまう
  •  脳に不要な物質が溜まって働きを邪魔する
  •  脳を働かせるための伝達物質が足りない
  •  脳梗塞や脳出血の跡がある

ただ、脳がどう変化するのかはわかってきているのですが、なぜそのようなことが起こってしまうのか、その原因は残念ながらはっきりとは解明されていません。

しかし、症状や脳の変化の違いによって、認知症はいくつかのタイプに分けることができ、それぞれに適切な治療を行うことで、その進行スピードを抑えたり症状を軽くしたりするのは可能なことがわかってきました。

また、認知症と思われていた方の中には、実は治療で治せる病気が隠れていたこともわかりました。

ここからは、認知症の予防とその治療・ケアについてお伝えしていきます。

認知症の予防あれこれ

認知症の方への偏見から言うのではなく、認知症は病気である以上、病気にはならない方が良いのです。

予防の手立てもいくつか見つかってきました。

まずは生活習慣から。

「定期的な運動をする習慣のある人・音楽や文学など芸術に触れる習慣のある人は無い人に比べて認知症になる確率が低い」という研究結果があります。

また、食生活についてはいろいろな説がありますが、確かな有効性は証明されていません。

次に病気の前段階を早期発見して対処すること。

認知症にはMCI(軽度認知障害)という前段階があります。

身の回りのことや日常生活に支障はでておらず、認知症ではないものの、正常ともいえない状態のことです。

この段階で、脳機能を活発化させる活動や2つの事を同時進行させる課題をこなす事で、認知症への進行を防ぐことが可能なことがわかっています。

その代表としてポピュラーなのが学習療法、有酸素運動、そしてコグニサイズです。

コグニサイズは運動と認知機能トレーニングを融合させたもので、大雑把に言うと頭を使いながら体も動かすという課題をこなしてもらうものです。

例えば、ダンスのステップを踏みながらしりとりをする、右手は3拍子で左手は4拍子の動きをする…など、楽しみながら行える工夫を盛り込んであるのも特徴です。

デイサービスや地域包括支援センターが行う介護予防事業、区民センターなどでも多く取り入れられていますので、興味のある方は見学体験してみてはいかがでしょう?

認知症の方への対応 ~治療&ケア~

認知症の診断は専門医に受診することをおすすめします。

まず、認知症と同じような症状があるけれど治せる原因がある病気なのかどうか、診断する必要があります。

これには甲状腺の問題や、硬膜下血腫、うつなどがあり、適切な治療をすると症状は消失します(それゆえに「治る認知症」などど呼ばれることもあります)。

また、認知症と診断されても、認知症にはいくつかのタイプがあって、それによって適切な治療や有効なケア方法が変わってきます。

更に認知症は記憶や理解などの認知機能そのものの低下(中核症状)と不安などの心理や行動の障害(周辺症状)のどちらにアプローチするのかによっても方法が違います。

  • 適切なお薬を飲む薬物療法(認知機能改善、不安や抑うつなどへの与薬)
  • リハビリテーション(運動療法、作業療法で行う認知行動療法や学習療法など)
  • 認知症ケア(パーソンセンタードケア、タクティールケアなど)

などの方法で、認知機能そのものの維持改善をはかったり、不安や行動障害の症状を軽くしていく方法で日常生活への支障を軽減していく対処を行います。

その方に合った治療や対処の方法を選ぶのは、他の病気と同じです。

機会がありましたら、それぞれについてもう少し詳しくお伝えしたいと思います。

認知症の症状が改善した例

Aさんのケース:認知症ではない病気が隠れていた

元々活動的で明るい性格だったAさんが、最近ぼんやりして話しかけても聞いてるのかいないのか。そのくせ夜中に起きだして買い物に行くと言ってみたりするようになりました。認知症を疑った家族が一緒に受診したところ、Aさんの頭の中に血腫が見つかったのです。そういえば、数か月前に転んで頭をぶつけたことがありました。その時から少しずつ出血が続いて溜まった血液が脳を圧迫していたのです。入院して血を抜く手術をすると、今までの症状は治まり、元の活発なAさんにもどりました。

Bさんのケース:認知機能は変わらなくても適切なケアで症状が改善した

Bさんは数年前から今自分がどこにいるのかわからなくなったり、1人で家を出て戻ってこられなくなることが増えました。入浴も嫌がり、身だしなみも整えることができません。体は元気だし、Bさんに自分が認知症の症状がある自覚はありませんので、外出を止めようとする奥さんを怒り、時には手をあげることも。困った奥さんは介護保険のデイケアを利用することにしました。ところがBさんは自分はあんなところに行く必要はないと言って、毎回お迎えの車に乗るまで大わらわです。そこでみんなでBさんについて話し合うと、Bさんは退職するその日まで定時出社して庶務の仕事を勤め上げた、大変仕事熱心な方だとわかりました。

みんなはそこで思ったのです。デイケアに「出社」していただくのはどうかと。Bさんに専用の机と事務用品を用意し、デイケア利用者の出欠チェックや今日の予定確認をするお仕事をお願いしたのです。Bさんは見事にお仕事をこなし、繰り返すうちにご自分の役割として認識するようになりました。するとデイケアに行くことを拒否することが減り、「出社」のための身づくろいも自らされるようになり、結果、迷子になったり奥様に手をあげるようなことも無くなったのです。

まとめ

認知症はまだまだわからないことだらけで、残念ながら治すことが出来ないのが現状です。

ですので、予防に努めることはとても大切で意味のある事です。

そしてもし認知症になっても症状の進行をゆるやかにしたり、目に見える症状を軽くすることは可能です。

予防について、そして認知症になってもご自分らしく暮らしていただく手立てを共に考える専門家がたくさんいます。

困ったときはためらわず、プロに頼って下さい。

当事者もその周りの方も幸せに暮らせてこそ、意味があるのですから。



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