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ピロリ菌について聞いたことがあるでしょうか。
ピロリ菌は可愛い名前をしていますが、実はとても恐ろしい細菌なんです。
今回は、そんなピロリ菌についてご紹介します。
具体的には、
- ピロリ菌について
- ピロリ菌の除菌方法
- 中高生の集団検診でピロリ菌検査が取り入れられている
について解説致します。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
もくじ
ピロリ菌について

ピロリ菌とは、「ヘリコバクター・ピロリ」という正式名称で、人の胃粘膜に定着することができる菌のことです。
今回はピロリ菌について、
- ピロリ菌の特徴
- ピロリ菌の感染経路
- ピロリ菌に感染したときの症状
について詳しく深堀して解説していきます。
1.ピロリ菌の特徴
ピロリ菌は大きさ4マイクロメートルと小さいバクテリアで、一方にある鞭毛を回すことで、胃粘膜表面を自在に動きます。
胃の中は強い酸性なので、通常菌は生息することができません。
しかし、ピロリ菌は、「ウレアーゼ」と呼ばれる酵素によって、尿素を分解してアンモニアをつくることができます。
アルカリ性であるアンモニアを自身の体の周りにまとわせることで、胃の強い酸の環境下でも生きることができます。
2.ピロリ菌の感染経路
ピロリ菌の感染経路はいまだに明らかになっていません。
戦争などが起きていた環境衛生が整備されていない時代や地域での経口感染だと考えられています。
感染するのは幼児の時期に多く、幼児は胃酸の酸性度や分泌量が低く免疫力も低いので、ピロリ菌が胃の中で生き続けられる環境であることが感染の原因になります。
免疫力の低い幼児期にピロリ菌が存在する生水や食べ物と一緒に摂取して、感染してしまうのではないかと考えれています。
なので、乳幼児期に感染を防ぐことがピロリ菌感染の予防方法になります。
「親からの食べ物を口移ししない」「ピロリ菌に汚染されている可能性のある井戸水を飲ませない」など対策をする必要があります。
3.ピロリ菌に感染したときの症状
ピロリ菌に感染したときの症状は、胃潰瘍、十二指腸、慢性胃炎が発症し、胃の痛み、吐き気、貧血などの症状が起こります。
ただ、ピロリ菌に感染すると、さまざまな症状を発症しますが、必ず症状が現れるというわけではありません。
これらの症状は、ピロリ菌が胃の中に長い期間生息し、長い期間胃にダメージを与え続けることによって現れます。
ピロリ菌が感染して症状が進行するのは、何年、何十年とかかる場合が多く、症状が出ずに一生を終えることもあります。
反対に、今胃の不調がなくても感染している可能性もあるというわけです。
また、統計から胃がんの原因の99%はピロリ菌であると明言され、健康的な暮らしのためにもピロリ菌の除菌が進められています。
ピロリ菌の除菌方法

ピロリ菌の除菌方法は、感染経路がわかっていないことから体外での除菌方法は今のところありません。
今回紹介するのは、ピロリ菌に感染していたときの胃の中の除菌方法になります。
除菌方法には、一次除菌と二次除菌があります。
一次除菌では、「アモキシシリン」と「クラリスロマイシン」と呼ばれる2種類の抗生剤を組み合わせて、プロトンポンプ阻害薬である胃潰瘍の薬と一緒に一週間内に服用します。
70~80%の確率で一次除菌に成功しますが、失敗した場合、2次除菌を行います。
2次除菌は、「クラリスロマイシン」を「メトロニダゾール」という抗生剤に変えて、一次除菌と同様に、3種類の薬を服用します。
2次除菌は90%の確率で除菌に成功すると言われています。
2次除菌に失敗した場合は、3次除菌や4次除菌がありますが、まだ研究段階なので、一般的には扱われていません。
除菌の副作用としては、一過性の下痢になったり、集結性腸炎や血便になるという症状が出る場合があります。
しかし、除菌は若いときにするほど良いと言われていて、ピロリ菌の除菌は世界的に進められています。
中学生の集団検診でピロリ菌検査が取り入れられている!?

日本人のピロリ菌感染者は、3000万人と言われていて、先進国の中でピロリ菌保菌率が高い傾向にあり、胃がんが多いことが知られています。
原因は、現在の高齢者が若い時に、戦後の不衛生な環境で感染を受けたのではないかということがあげられます。
なので、10~20代では10%と感染率が低い一方で、50代では約40%、60代以上では60%と感染率が高い特徴があります。
おじいちゃんやおばあちゃんの口移しにはピロリ菌の感染リスクの注意が必要。
60歳以上のおじいちゃんやおばあちゃんが孫に口移しをした場合、2人に1人は感染している可能性があるとも言われています。
ただ、ピロリ菌は乳幼児期に感染し、その後はほとんど感染しません。
このことから、将来胃がんや胃潰瘍のリスクを減らすために、ピロリ菌に感染したとわかる中高生時期に集団検診でピロリ菌の検査が取り入れられはじめました。
無症状の中学生を対象とするので、胃カメラや採血をせずに行える尿検査を行います。この検査の副作用はほとんどなく、検尿のときのような尿を使って検査が行われます。
検査は100%の正確性はありませんが陰性の場合はピロリ菌の感染はほとんどなく、検査の結果は直接保護者に郵送され、他の生徒や学校に知られることは絶対にありません。
このように、早期にピロリ菌感染を発見することによって、日本全国的に胃がんを撲滅するような取り組みが行われています。
まとめ
ピロリ菌感染は悪化するまで症状がなく、進行すると胃がんが発生する危険性も秘めています。
また、胃がんの99%がピロリ菌によるものだということがわかっています。
このことから、最近では胃がんのリスクを減らすため、ピロリ菌の検査や除菌をする人が増えています。
また、全国的にもピロリ菌感染胃炎による除菌治療が保険適用となったり、WHO(世界保健機関)がピロリ菌検査と陽性だった場合の除菌治療を進めるなどと取り組みがされています。
自宅で簡単にピロリ菌感染検査することができるサービスもあったりするので、将来的に胃がんが撲滅されると良いですね。
今回は以上となります。最後までありがとうございました。