【作業療法士が教える】フレイルとかロコモって何?:若いからと安心できない⁈もしかしてあなたも…

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

「ロコモティブシンドローム」「フレイル」という言葉をご存知ですか?

ああ、お年寄りの話ね。と思ったあなた、ちょっと待ってください。

立って靴下がはけない、週に何日もおっくうでやる気が起きない…そんな状態はありませんか?

もしかしてあなたも当てはまるかも知れません。

正しく知って、生き生き健康な暮らしを続けませんか?

もくじ

フレイルとロコモ

フレイルとは

加齢によっておこる、体や心が弱っている状態のことで、健康な状態と要介護状態の中間の段階です。

この段階で適切に対処することで、要介護状態への移行を予防できると言われています。

例:趣味の社交ダンスに毎週出かけていたのに、だんだんやる気が無くなって家に閉じこもりがち。食欲もおちてきた。

ロコモとは

正式にはロコモティブシンドロームといい、骨や関節・筋などの体を支えて動かすための器官の障害によって要介護状態になる可能性が高い状態をいいます。

ロコモは認知症やメタボと共に、健康寿命を縮める、寝たきり・要介護になる3大原因のひとつです。

例:膝が痛くて歩くのが辛く、安静にしていたら前みたいに歩けなくなってきた。

フレイルとロコモの違い

どちらも要介護になるリスクが高い状態を指しますが、ロコモは身体面の変化で判断するのに対して、フレイルは気力の低下など精神的・社会的変化にも焦点を当てている違いがあります。

ちなみに、どちらもお医者さんたちによって提唱された概念で、ロコモは日本整形外科学会、フレイルは日本老年医学会で定義づけられたものです。

あなたの状態を簡単チェック!

ロコモもフレイルも高齢者がなるリスクが高いものです。

しかし近年、運動不足や食生活の乱れによって若い年代層や子供たちにもこの状態が見られることがわかってきました。

まさか自分が…と思わずに、あなたの状態をチェックしてみましょう!

フレイルチェック

フレイルの基準には、さまざまなものがありますが比較的ポピュラーなものをご紹介します。

下の5項目のうち、3項目以上該当するとフレイル、1または2項目の場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します。

  1. 体重減少:特に何もしていないのに半年に2~3㎏・年5%以上の体重減
  2. 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3~4日以上感じる
  3. 歩くスピードが遅くなった:1秒1m以下
  4. 握力がおちた:女性なら18㎏以下
  5. 日々のなかで体を動かす量や機会が減った:運動だけでなく家事や趣味なども含めて

ロコモチェック

7つのロコチェックというものがあります。

  1. 片脚立ちで靴下がはけない
  2. 家の中でつまずいたりすべったりする
  3. 階段を上がるのに手すりが必要である
  4. 家のやや重い仕事が困難である
    (掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
  5. 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
    (1リットルの牛乳パック2個程度)
  6. 15分くらい続けて歩くことができない
  7. 横断歩道を青信号で渡りきれない

こちらは1つでも当てはまればロコモの可能性アリです。

もうひとつ、詳細は省きますがロコモ判定テストの方法をご紹介。

  1. 立ち上がりテスト:40~10cmの台から片足(もしくは両足)で立ちあがれるか
  2. 2ステップテスト:出来るだけ大幅で2歩歩いた時の距離÷身長の値
  3. ロコモ25:25項目の問診

これらを記録して、自分の能力を把握し、経過を追うのに役立てます。

どうでしたか?当てはまるものはなかったでしょうか?

ひやりとした方もおられたのでは?

フレイルやロコモになるとどうなるの?

3つの要因

フレイルやロコモには大きく3つの要因が関わっています。

それは身体的要素精神的要素社会的要素です。

身体的要素は骨や関節、筋肉、歩行能力など。

精神的要素は認知機能やうつなど。

そして社会的要素は閉じこもりや一人暮らし・家族を亡くした孤独など。

3つの要素は密接に絡み合ってあなたの生活の質に影響を及ぼします。

フレイルやロコモが及ぼす影響

健康な状態ならなんでもない事でも、フレイルやロコモの状態では大きな問題に発展することがあります。

虚弱な状態にあるため、風邪をひいただけだったのが肺炎になってしまったり、ふらついて骨折してしまったり。

そして特に高齢者の場合は弱くなった心は入院による環境変化に対応できない、動けなくなった自分に対して必要以上に落ち込むなどして、今までの社会生活ができなくなることもあり得るのです。

子供や若者でも、活動量の低下によって

  • フレイル肥満(見た目が太っていなくても、筋肉がやせている分体脂肪が多い)
  • 骨が弱くなる(骨の成長には重力がかかることと、日光にあたることが必要です)
  • 社会生活への支障(仕事や育児ができなくなるなどのドロップアウト・ひきこもりなど)

などの危険があります。

ですので、あなたの人生の為に何としてもフレイルやロコモの状態から脱出しなければなりません。

更に一番いいのは予防ができることのなです。

フレイルとロコモを予防するには

予防には筋力や筋肉量を低下させない事、心を元気に保つことが重要です。

まずは、バランスの良い食事をしっかり摂取すること、適切な運動をすることから始めましょう。

筋力を落とさない運動

重たいバーベルを持ったり、滝のような汗をかく運動までは必要ありません。

軽い負荷でいいのです。

高齢者の方なら自重(ご自分の体重)を利用した運動で十分です。

骨に体重をかけた状態で運動するのが理想的なので、寝て足上げをするよりはスクワットやつま先立ちなど、複数の関節を一緒に動かすような方法で下半身を中心に鍛える運動を続けてみましょう。

ただし、膝など関節の痛みがある方などは、体重をかけない方法をおススメします。

心と体を元気にする食事

お子様がおられたり、1人暮らしだったりすると、量や手間の面からラーメンだけ・丼だけなどの単品料理が多くなりがちではあります。

残念ながらここで言う「栄養」は「カロリー」ではないのです。

体と心を作るきほんのき、「栄養素」を意識する必要があります。

筋肉を育てる素になるのはタンパク質

心を元気にするのに役立つと言われているのは、ビタミン・葉酸・DHA・鉄分・亜鉛・そしてやっぱりタンパク質。

カツオのたたきや鶏むね肉と野菜のお浸し、キノコ類をたくさん使った具沢山のお味噌汁などで上手に栄養素を摂取して下さい。

まとめ

フレイルとロコモティブシンドロームについて、概要をお話してきました。

何よりも予防が大切、そのためには栄養と運動。

また運動か…と思ったあなた。

フレイルやロコモ解消に推奨されている運動はボディメイクにも効果があるものがほとんどです。

まずは2週間続けてみて下さい。

ちょっと違いが実感できますよ。本当に。

若い方にこそ知っていただきたいフレイル&ロコモのあれこれでした。



カテゴリー:その他・予防法, 作業療法士【予防】

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