【薬剤師が教える】脂質・コレステロールが気になる方へ:脂質異常症の予防・生活における注意点について

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

生活習慣病の1つとしてあげられている脂質異常症ですが、日常生活における些細な習慣を意識するだけでも改善していくことは可能です。今回は生活上で予防に必要なポイントについて説明します。

【目次】

・脂質異常症の原因について

・生活上気をつけるべきポイント

・実際に行なった指導内容について

・まとめ

もくじ

脂質異常症の原因について

予防を行うには、まずは原因について知る必要があります。脂質異常症になってしまう原因についてみていきましょう。原因は大きく分けて3つ考えられます。

1、食生活が乱れていること

言うまでもありませんが生活習慣病の1つですので生活習慣が乱れていると脂質異常症になるリスクが高まります。脂質異常症は「血中のコレステロール、脂質の異常」を指しますので、食生活が大きな原因になります。

近年は以前の食生活と比較すると、欧米化が進み脂質の高い食事内容も多くみられます。体が持っている代謝機能以上に脂質を摂取すると血中に溶け出し、血がドロドロになっていきます。その結果、動脈硬化を起こし脳血管疾患を起こすリスクが高まります。

2、運動習慣が減っていること

WHOの調査によるデータによると、世界の人口77億人のうち14億人が、日本人のうち3人に1人が運動不足であるという結果が出ています。現代は一昔前よりも技術の進歩によりはるかに便利な世の中になりました。それにより人々の運動量に影響が出ているのも確かなことです。

3、遺伝によるもの

脂質異常症の中には「家族性高コレステロール血症」とう症状があります。これは生活習慣病とは別で、生活の不摂生で起こったわけではなく、遺伝的に生まれつきコレステロールが高い状態であることを言います。

原因は遺伝子異常でLDL-コレステロールがうまく壊されず、血中に溜まっていってしまうことです。日本でも50万人を越える患者数がいると推測されています。生活習慣が乱れているわけでないのに、動脈硬化やその他脳血管障害のリスクは同様に高いということもあって「指定難病」に指定されています。

生活上気をつけるポイント

1、体重をコントロールする

肥満は脂質異常症の1番の原因です。過度のエネルギー摂取により血中に脂質が蓄積し、体脂肪となり肥満体型になっていくことを考えると、適正な体型をコントロールすることは脂質異常症の予防に重要であることがわかると思います。厚生労働省が推奨しているのは身長あたりの目安体重を目標とする方法です。

目安体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

個人によって筋肉量や体質に違いがあるので一概には言えませんが、参考として使ってみてください。体重をコントロールすることは血中のコレステロール、脂質のコントロールに繋がります。

2、食材選びに注意する

食事をとる際、ただ低カロリーを意識すればいいわけではありません。食材の中にはカロリー自体が低くてもコレステロールがもともと高いものや、コレステロールを上げてしまうものもあります。

例えば卵やレバー、いくらなどの魚卵にはコレステロールが多く含まれています。好物な方もたくさんいらっしゃるでしょう。知らずのうちに多く摂取してしまう可能性があります。バターやチーズなどの乳製品、肉の脂身などはコレステロールを上げてしまう食材です。ダイエットを意識して肉からタンパク質を摂取しようとする場合も赤身肉を選ばなければならないなど注意が必要です。

一方でコレステロールを下げてくれる食材も多く存在します。野菜や果物、豆腐などの大豆製品、魚などです。こういった観点から「和食」を中心とした食事が疾患の予防に推奨されています。

3、味付け・調味料にも注意する

食材だけではなく、味付けや調味料についても注意点があります。血中コレステロールの増加を促す「飽和脂肪酸」はバターやラード、ココナッツミルクなどに多く含まれ、LDL-コレステロールの増加を促す「トランス脂肪酸」はマーガリンなどに多く含まれます。調味料の選択、味付けの仕方にも工夫が必要です。

4、青魚を積極的に食べる

サバ、イワシ、アジなどの青魚の脂肪分に含まれているEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)と呼ばれる脂肪酸には脳血管疾患の発症を抑制する効果があることが報告されています。目安としては1日あたり男性が2.1〜2.4g、女性が1.6〜2.0gです。魚の身にして100g程度の量になります。

5、1日30分程度の運動を取り入れる

脂肪の燃焼に最も効果的なのは「有酸素運動」です。有酸素運動とはウォーキングやジョギング、スイミングなどが具体例です。中程度の強度(少しきつく息が弾む程度)で30分の運動を行うことが一番効果的だと推奨されています。理想は毎日続けることですが難しい場合は週に3日以上を目指しましょう。

実際に行なった指導内容について

私は普段薬局で働いていて、多くの患者様と接する機会があります。その中で特に「食事内容」について徹底してもらうよう指導します

1)油分を多く含む食事内容は控える。(お菓子・ジュース類も基本的にはNG)

2)メインディッシュは肉より魚を選ぶ。

3)食物繊維(野菜類、海藻類、キノコ類)を多く摂る。

4)食事は規則的に1日3回、早食いや偏食は避ける。夕食は遅くても就寝3時間以上前に済ませる。

これらのことを必ずお伝えするようにしています。運動習慣は年齢や体力によって可能な範囲が異なりますが、食事に関しては皆さん共通です。一人暮らしでコンビニ食が多い方でもこれらの4点であれば守れるんじゃないかと思います。

まとめ

以前に比べると食生活の変化や、技術の進歩による運動不足が目立つようになりました。現代の課題である生活習慣病を改善・予防するには一昔前の生活スタイルを参考にする必要があるのかもしれません。ある程度の節制は必要ですが、急にやりすぎると窮屈に感じストレスを感じてしまいますので、長い目で見て自身のペースで進めていきましょう。



カテゴリー:その他・予防法, 薬剤師【高脂質血症】, 薬剤師【予防】, 高脂質血症

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