【薬剤師が教える】脳梗塞!それは恐怖への一方通行?!運命の分かれ道はどこ??

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脳梗塞、という病気を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか??

脳の血管が詰まってしまう病気ですよね??

そのような認識の方が多いのではないでしょうか?確かに間違いではありません。脳血管疾患の中でも、血栓が詰まってしまう疾患を脳梗塞と呼びます。

テレビなどで「突然頭痛がして、気づいたら病院だった」という体験談を聞いたことはありませんか?

ですがこのほとんどは、脳梗塞ではない可能性があります。

脳梗塞は、痛みとしてあまり感じない疾患なのです!!

もくじ

脳梗塞とは?

では脳梗塞とはどのような疾患なのでしょうか?

脳卒中には3タイプあり、そのうち血管が破れてしまうものを脳出血、脳動脈瘤と呼ばれるコブが破れて破裂するものをクモ膜下出血、そして脳の血管が詰まるものを脳梗塞と呼びます。

脳出血と脳動脈瘤は出血した際に「刺されたような」痛みを感じる場合があるのですが、脳梗塞に関しては「TIA」と呼ばれる一過性脳虚血発作が症状として現れます。

なんとなくふらつく、だるい、力が入らない、などといった症状がありますが、このTIAはいったん軽快してしまい、気のせいだろうと気にも留めない人が多いのが脳梗塞の怖さなのです。

人は痛みには敏感ですが、少しの時間ふらついたりめまいがしたからと言って、継続していなければそのまま水に流してしまいがちでもあるため、脳梗塞は早期発見、早期治療が望ましいにも関わらず、発見が遅れがちな脳疾患です。

しかし、最近の研究ではこのTIAを発症すると約15%が3か月以内に本格的な脳卒中発作を起こしていることもわかっています。

脳梗塞の症状にいち早く気づくためには

脳梗塞ではどのような症状があらわれるのでしょうか?それにいち早く気づくためにはどうしたら良いのでしょうか?

TIAの典型的な症状は、「しばらくしたら良くなった」と感じる点です。

血管が詰まり、脳梗塞としての症状が出たにも関わらず、何らかの理由で比較的早く血管の流通が開始することにより症状が改善して見えます。

このTIAの原因としては心臓にできた血栓が一時的に詰まった、血圧低下や脱水により狭くなった血管の血流が悪くなったが、その症状の改善により血流が改善したなどが考えられています。

しかし、頭の中の状態など外からはわかりませんよね。良くなったから気のせい、と考える気持ちもよくわかります。ある研究では、異常を感じてもすぐに救急車で搬送してもらう、を選択した方は22.4%と低い割合であることがわかっています。

速やかな早期発見、診断、治療を行う為には、それぞれがTIAの症状を知り、見逃さないことが重要なのです。

TIAの症状

  • 半身の脱力感(力が入らない)
  • 言葉が出ない(伝えたくても言葉にならない)
  • 呂律が回らない(自分ではしっかりと話しているつもりのこともあります)
  • 半身のしびれ

脳疾患に特徴的な点として、半身に不調が現れる点があります。もし体のどちらか半身側にだけこのような症状が出た場合はより注意が必要でしょう。

もう少し様子をみよう、ではなく一刻も早い受診が推奨されます。

脳梗塞の体験談

筆者は自身が脳外科に入院していた際に、複数の脳梗塞患者と話をする機会がありました。

全員が

「まさか自分が」

と言っていました。

働き盛りの40代、50代の方、80代の方と年代は様々でした。

40、50代の二人はしびれよりも片頬のゆるみと呂律を指摘されて救急搬送されたそうです。自宅、職場からの搬送だったため、決して初動が遅れたわけではなかったのですが、二人とも半身に麻痺が残ってしまい、毎日リハビリに励んでおられました。

動作的なリハビリは勿論のこと、言葉や目、嗅覚、そして認知的な障害として残ってしまう場合もあるのが脳疾患の怖いところです。

「ひらがなは読めないけれど漢字は読める」そんな方もいました。このような独特な障害は高次脳機能障害と呼ばれ、人によって様々な症状の現れ方をします。

言われていることは自分の中ではわかっていても、それを行動にすることができない、リンゴ、というイメージが頭の中にはあるのに、それを絵にすることができない、そんな方々もいました。

「まさか自分が」

そして「もう少し早ければもっと違ったのかもしれない」

皆さんそうともおっしゃっていました。

皆さん必死に、懸命にリハビリをしていましたが、元通りスムーズに体を動かすことができた方はほとんどいませんでした。脳梗塞のような脳疾患では、半身麻痺が残る方が多く、それはリハビリをどれだけ一生懸命行っても、行ったからと云って元通りになるとは言えない、とても辛い後遺症です。

もし脳梗塞として症状が出てしまった時に、一刻も早く病院を受診することができるよう、脳梗塞の症状を知っておくことが大事なのです。

脳梗塞の予防はできる?

脳梗塞を予防することはできるのでしょうか?

完全な意味での予防は難しいかもしれませんが、リスクを減らすことはできます。

脳梗塞の発症原因として動脈硬化が挙げられます。この動脈硬化とは、血管内にコレステロールなどが溜まってしまい、血管が厚く硬くなってしまった状態です。

この動脈硬化が進んでしまうと、血流が悪くなり、脳梗塞が起きやすくなってしまうのです。

そのため、この動脈硬化を防ぐことが脳梗塞の予防にも繋がります。

動脈硬化を防ぐために推奨されていることはいくつかありますが、食事療法、運動療法、禁煙などから気を付けていく必要があります。

食事療法

 三食バランスよく食べましょう。

  •   塩分や糖分などの使い過ぎを避け、できるだけ薄味で食べるようにしましょう。
  •   この時、かつおや昆布のだしを取って味付けするようにすると薄味でもきになりません。また、小麦粉や片栗粉をまぶしてから調理すると、使用する調味料が少なくても味がついているように感じるでしょう。

  脂っこい食べ物の摂取も控え、青魚のような良質な脂肪を摂るようにしましょう。

時間で食べるのではなく、おなかが空いたら腹八分目で食べるようにしましょう。

  仕事等があると難しい場合もありますが、おなかが空いているわけではないのに食事をすることは肥満に繋がります。できるだけおなかが空いたときに腹八分目で済む量を食べるよう心がけましょう。

  よく噛んで食べることで、満腹感を感じやすくなるため、食事はゆっくりと、よく噛んで食べることを念頭に置いて食べましょう。食事の最初に歯ごたえのある食べ物を食べると、より早く満腹感を覚えるため生野菜や海藻のようなものから食べることもおすすめです。

運動療法

  1日1万歩を目安に歩くようにしましょう。

  運動療法で大事なのは、続けられる運動を行うことです。無理をすると継続できないため、少しきついかな、という程度の運動を毎日継続して行いましょう。

ウォーキングや散歩、水中運動のような有酸素運動を、自分の体調に合わせて行うようにしましょう。

まとめ

脳梗塞の初期症状では痛みを感じないことがあります。

起こりうる症状を知り、自己判断せず早急な対応が運命の分かれ道となります。

半身の脱力感、呂律が回らない、うまく話せない、半身が痺れるなど、そのような症状が出たら早めに受診しましょう。

脳梗塞は高血圧や糖尿病、脂質異常症などが原因となり発症する可能性もある疾患です。また、これから暑くなるにつれ、脱水も脳梗塞の原因となります。のどが渇いたと感じる前にこまめに水分を摂取するようにしてください。

脳梗塞は予防のできる病気です。普段の食生活や運動にも気を付けて予防にも努めるようにしましょう。

食事療法

  •   脂っこいもの、塩分の多い、濃い食事は避けましょう
  •   だらだら食べ、ながら食いは避けましょう
  •   三食バランスよく食べましょう
  •   ゆっくりと、よく噛んで食べましょう

運動療法

  • 1日1万歩を目安に歩きましょう。ウォーキングや散歩、水中運動のようなか夢の有酸素運動がおすすめです。急に激しい運動を行うと心臓や血管に負担がかかる場合があります。主治医と相談の上で、少しずつ始めましょう。
  • 無理をせず、毎日続けられる運動をやりましょう。

脳梗塞は、目に見えない怖い病気です。しかし、その症状を知ることでいち早く治療ができ、何よりも予防のできる病気でもあります。

日頃からバランスの良い食事に気をつけ、適度に運動して汗を流しながら…より健康的な毎日を送ることができますように。



カテゴリー:脳梗塞, 薬剤師【脳梗塞】

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