薬剤師が教える:薬の構造から導く抗アレルギー薬の選び方

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近年、花粉症や喘息、食物アレルギーなどのアレルギー性疾患の患者さんの数は増加傾向にあります。

特に若い世代の患者さんが増えており、理由として生まれ育った環境が一因にあると考えられています。これから更に環境の変化が増え、患者数は益々増加傾向になるでしょう。そこで、毎年アレルギー疾患に苦しんでいる皆様の力になるべく、今回は花粉症などアレルギーに使う近年の抗アレルギー薬を紹介します。

そもそも花粉症はどのように起きるのでしょうか。

樹がくしゃみをしてるみたい

花粉症とは花粉を原因とし、くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・目のかゆみを症状とするアレルギー病です。現在花粉症を患っている人口は約200万人とも言われています。

花粉症が起きた時、体内の反応はどうなっているのでしょうか。

私たちの身体の中には、肥満細胞という細胞がさまざまな場所にひそんでいます。肥満細胞は、その名前の通り様々な物質をお腹に抱え込んでいます。スギ花粉などのアレルゲンがはいってきたとき、体内に抗体が作られ、その肥満細胞に抱え込んでいた物質(ヒスタミン)を周囲にばらまきます。そして、ばらまかれたヒスタミンは「ヒスタミン受容体」というセンサーにくっつき、鼻水やくしゃみ、かゆみなどアレルギー症状を引き起こします。

アレルギーを生み出す原因はヒスタミンということが分かりました。

このヒスタミンにどう立ち向かえば良いのでしょうか。ここで、正しい薬を選択するために構造に注目していきます。

まず、ヒスタミンの構造がこちらです。

これが痒みの原因なんて…

ヒスタミンを攻略するにはどうしたらいいの?

古くからよく使われている抗アレルギー薬の中に「抗ヒスタミン薬」があります。

「抗ヒスタミン薬」は現在、様々な研究を重ね、第1世代、第2世代抗ヒスタミン薬が開発されています。現在は、第2世代抗ヒスタミン薬が主に使用されています。

ここで、抗アレルギー薬を選ぶうえで大切なポイントが3つあります。

  • 即効性があり効果が持続。
  • 副作用(眠気、作業効率の低下等)が少ない。
  • 安全性が高く、長期で投与が出来る

これらの点を踏まえて、今回は実際に病院やドラックストアなどでよく見かける抗ヒスタミン薬の構造を見ながら最適な抗アレルギー薬を見つけて行きましょう。

第1世代の抗ヒスタミン薬

ベンゼン環が多く油っぽい印象

薬には、水に溶けやすい性質(水溶性)と水に溶けにくい性質(脂溶性)に分けられます。その判断は実際に薬の構造から見抜くことができます。上の構造を見てください。これは第一世代の抗ヒスタミン薬の構造です。

イメージとして、水に溶けにくいといえば油ですね。油の主成分を分解していくと実は、炭素(C)が多く使われています。この炭素が繋がって上にあるような六角形が作り出されます。

例として、右上の図のように六角形にCl(塩素)のような強い力を持った原子が存在すると構造が不安定になり、脂溶性が高くなると言われています。この脂溶性が高いと何が悪いかというと脳内への影響が強くなることです。

アレルギーの薬で重要な副作用として、「眠気」があげられます。この「眠気」は脳内の中枢へ薬が移行する時に通過する血液脳関門への影響が関連しています。眠気だけではなく、だるさ、やる気の低下など日常生活への支障をきたす可能性があります。そのため、第一世代抗ヒスタミン薬の特徴として、薬を構成する分子量が小さいこと、脂溶性が高いこと、抗コリン作用により原因物質のヒスタミンと類似の構造をもつアセチルコリン受容体にも結合するともいわれているため、抗コリン作用としての口が乾く、皮膚が乾燥する、便秘を起こすなどの副作用が強くでてしまうという問題点がありました。

そこで、この問題点を解決すべく、開発されたのが第二世代抗ヒスタミン薬です。第一世代抗ヒスタミン薬の構造を頭に入れた上で、次に第二世代の構造を見ていきましょう。

第2世代の抗ヒスタミン薬

「アレグラ」(フェキソフェナジンの構造式):側鎖(周り)に水と馴染みやすい酸素原子と水素原子を配置し、水っぽさUP

第二世代抗ヒスタミン薬は、上記でも述べたように、第一世代の構造上の問題を改善するべく開発された薬です。今回、多くの研究を重ねて改善されたポイントとして重要なのは、脂溶性を下げることでした。これは、構造上をできる限り、水溶性にさせて脳内(血液脳関門)への通過を少なくさせることで、特に問題となっていた「眠気」を改善させることができます。

では、水溶性を高めるためにどのような構造上の工夫を行ったのでしょうか?上の構造は、第二世代で近年多く使用されている「アレグラ」という薬です。

「アレグラ」は、薬の説明書となる添付文書に「眠気」の指標となる「自動車の運転等危険を伴う機械の操作には十分注意させること」の記載がなく、比較的安心して服用できる薬と言われています。

構造上の赤で示したOH(水酸基)を見てください。水酸基とは、H2O(水)にも含まれているもので水溶性の大きな指標となる構造です。2つ(+1つはカルボキシル基)も含まれており、水溶性が高いことがよくわかります。水溶性が高く、薬を構成する分子量が多い「アレグラ」は、副作用が少ない薬ということが構造から見抜くことができました。

また、「アレグラ」は第二世代抗ヒスタミン薬の中でも比較的即効性のある薬と言われています。服用後、約1〜2時間で薬がピークに達し効果が現れます。これは、薬の身体への溶け方が関連しています。人間の体内はほとんどが水で構成されているため、薬自体の水溶性が高いことが重要視されてきます。上記に述べたように第二世代抗ヒスタミン薬は水溶性が高いため、第一世代に比べて、即効性が高いです。

また、他の理由としてもヒスタミン受容体というものが選択的にあるからと言われています。アレルゲンであるヒスタミンを多く受け取る場所があるほど、アレルギー症状を落ち着かせることができます。

薬の秘密は構造から見つけよう

構造式は言語だ、学べば考え方の幅が広がる

今回は、第二世代は1例のみの紹介となりましたが、アレルギー薬を使っていくうえで重要なポイントであった「即効性」「副作用が少ない」「安全性高い」の3つが第二世代抗ヒスタミン薬に当てはまりました。

今後アレルギーと長く戦っていくうえで、自分にあった薬を見つけていきましょう。

<ご紹介>

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そんな要望にお応えできるお勧めの薬がありましたのでご紹介します。

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今後も構造式を使った薬の考え方を配信していきますのでお楽しみに!




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