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皆さんは「ジェネリック医薬品」という言葉は耳にしたことはあるでしょうか。定期的に薬を服用している方にとってはお馴染みの言葉だと思います。今回はジェネリック医薬品について初めて聞いた方にも理解していただけるよう説明したいと思います。
【目次】
・医薬品開発の経緯
・ジェネリック医薬品は何が違うのか?
・オーソライズドジェネリック(AG)とは?
・まとめ
もくじ
医薬品開発の経緯
医薬品の開発には膨大な時間と費用がかかります。時間にして約10年〜20年、費用にして数百億円とも言われています。そんな労力を費やして開発に成功した会社は一定期間の間、特許を取得し独占的に販売をすることができます。販売から時間が経過し、特許が切れると開発メーカー以外の会社にも製造・販売が許され、作られていくのがジェネリック医薬品です。先にメーカーが開発した医薬品を「先発(せんぱつ)医薬品」と呼ばれるのに対し、ジェネリック医薬品とは「後発(こうはつ)医薬品」とも呼ばれ、文字通り後から開発されることを意味します。
ジェネリック医薬品は何が違うのか?
では先発品とジェネリック医薬品では何が異なるのでしょうか。一般的に比較される内容について表でまとめてみました。
ジェネリック医薬品(先発品との違い) | |
---|---|
①名称 | 成分の名前+「メーカー名」(一部例外あり) |
②薬の成分 | 同じ成分 |
③成分の量 | 同じ含量 |
④効能・効果 | 同じ効果 |
⑤薬の形 | 同じ剤型 |
⑥メーカー | 開発メーカー以外の販売が許可されている |
⑦添加物 | 異なる場合もある |
⑧値段 | 発売当初は先発品の約60〜70% |
①名称
医薬品には開発段階において、成分の名前がつけられます。その成分名こそ「generic name(ジェネリックネーム):一般的な名称」であり、薬の本名に当たります。そこから商品としての名付けがされて販売に至ります。なのでいわば先発品の名称はニックネームに当たります。
例として、花粉症シーズンで大活躍の医薬品「アレグラ錠」で説明します。よくCMでも放映されているのでご存知の方も多いと思います。アレグラという商品は「フェキソフェナジン」という成分の医薬品でできています。すなわち本名はフェキソフェナジン、ニックネームがアレグラということになります。
ジェネリック医薬品は本来薬が持っている名称、それに開発したメーカー名をつけて販売されることと規定されています。なのでA社が開発したアレグラのジェネリック医薬品の名称は『フェキソフェナジン錠+「A社」』となります。もちろん他メーカーも開発を許されているためジェネリック医薬品の数は必然的に多くなります。
※基本的な名称のつけ方は前述した方法ですが一部、ジェネリック医薬品でも商品名をつけているメーカーもあります。
②〜④成分、含量、効能・効果
ジェネリック医薬品の開発条件には同成分、同量、同じ効果を有することがあげられます。これらを満たさなければジェネリック医薬品として認められません。
⑤薬の形
基本的には先発品の剤型に沿って開発が行われますが、ジェネリック医薬品の方が服用方法などが改善されている場合もあります。例えば水で飲まなくても唾液で溶けていくタイプの口腔内崩壊錠(OD錠)がそれに当たります。
⑥メーカー
ジェネリック医薬品を開発しているメーカーは1つではありません。1つの先発品に対して複数のメーカーがジェネリック医薬品を販売しているので種類はたくさんありますが、どれも同じ効果を持った医薬品であることには違いありません。
⑦添加物
医薬品は有効成分だけでは薬として成型することはできません。錠剤や粉薬を作るには添加物が必須になります。ジェネリック医薬品を製造するにあたり有効成分の種類や含量に関しては同じである必要がありますが、添加物に関しては同じである必要はありません。各メーカーで異なる添加物、異なる工場で製造していることがほとんどです。
⑧値段
ジェネリック医薬品は製造方法があらかじめわかっているため先発品に比べて製造コストを下げることが可能であり、そのため薬の値段も安くなっています。定期的に薬をもらわなければならない方にとっては薬の値段は重要な情報であると思います。医薬品の値段は国によって決められ、定期的に見直しをされていますが基本的には先発品の60〜70%と設定されています。その医薬品の流通・使用具合によってはさらに値段が安くなることもあります。
オーソライズドジェネリック(AG)とは?

ジェネリック医薬品は有効成分の種類、量、効果が同じである医薬品ですが、中には先発品を開発したメーカーに許諾を受けて先発品と全く同じ製造法で作られているジェネリック医薬品もあります。
Authorized (許諾を受けた)Generic(ジェネリック医薬品)= AG
AGは有効成分の種類、量、効果はもちろんのこと、添加物や製造方法まですべて一緒なので先発品とほぼ同一の医薬品を受け取ることができます。
ジェネリック医薬品に抵抗がある方や、ジェネリック医薬品に変更したら添加物の違いでアレルギーが出てしまった方など、値段も考慮したい方はぜひ参考にしてみてください。
まとめ
国で医療費の削減のためにジェネリック医薬品を推奨していることもあり、薬局でもジェネリック医薬品への変更を伺うことも多いです。同様な治療効果を得られて値段を安く抑えられることを考えると多くのメリットがあるように思います。
ですがジェネリック医薬品に対して治療効果などに疑問を持ってる方も多くいらっしゃいます。決して使用を強制しているわけではありませんので、自身の治療に関しては自身で選択をするようお願いします。我々薬剤師が疑問の解消に役立てるよう努力しますので気軽に相談してください。最後までお付き合いいただきありがとうございました。