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子育て中の多くの方が悩んでいる、子どもの偏食・好き嫌い。実際、2~6歳の子どもを持つ親が食事について困っていることは、1位「食べるのに時間がかかる」で、2位が「偏食する」という結果でした。
また、小学生が給食を残す理由を調査した結果では、1位が「嫌いなものがあるから」で、全体の65%を占めていたそうです*2。
最近は、“食育”の大切さが注目されつつありますが、それは偏食や好き嫌いを減らすことにもつながります。親としてどう子どもに向き合って行けばいいのか、一緒に考えてみましょう。

もくじ
小学生の好きなもの・嫌いなもの
給食メニューで人気トップ3は、カレー・パン・麺類で、それらにデザート・揚げ物が続いています。逆に嫌いなものトップ3は、野菜類・サラダ・魚介類となっており、子育て中の方には納得の結果ではないでしょうか*2。

嫌いなものを無理して食べさせることには問題もありますが、だからと言って好きなものばかり食べ、炭水化物中心の食生活になってしまうと、それはそれで健康に良くありません。
偏食・好き嫌いを減らす方法は?
しっかりとお腹を空かせた状態で食事をする
そもそもお腹が空いていないと、食に対する興味も薄れてしまいます。間食を取り過ぎていないか、生活習慣を見直してみましょう。
栄養バランスよく食べる必要があることを説明する
小学生になると、徐々にではありますが、バランスの良い食事が大切だということを理解できるようになります。赤・黄・緑の3色を使った食品の分類法**は子どもにもわかりやすいので、それらを使ってお子さんと話し合ってみるのもいいですね。

料理を手伝ってもらう、家庭菜園や市場など食卓以外の場所で食材に触れてみる
食材についてよく知ることで、食べてみようという気になる子もいます。また調理法によって味や食感が異なるということを知ると、食べられるようになる場合もあります。
友達と一緒に食事をする機会をうまく利用する
小学生になると友達から受ける影響も大きくなってきます。友達が美味しそうに食べていたりすると、じゃあ自分もと素直に受け入れ、好き嫌いが改善することも。
~受診エピソード紹介~
相談者:8歳の女の子(第1子)を持つお母さん
背景:娘は幼少期から好き嫌いが多く、体重も軽めで成長への影響を心配して来院。本人は元気で性格はどちらかというと活発な方。現在の身長は120cm、体重22kg。
家庭事情を尋ねると、父親は帰宅時間が遅いため、夕食は母と娘の2人でTVを見ながら食べることが多いとのこと。
Q.小さい頃から好き嫌いが多く、特に肉と野菜が嫌いで…食べる量が少ないので、体格も全体的に小柄なのですが、栄養失調ぎみでしょうか?

A.今の身長と体重を成長曲線というグラフ上で見てみると、いずれも標準内におさまっているので体格としては問題ないですよ***。
***成長曲線、体格、低身長などについては “うちの子、背が低いなと思ったら” の記事内でも説明していますので参考にしてください。
Q.学校での給食は、時々、肉や野菜を残すこともあるものの、なんとか食べているようなんですが、家だと肉や野菜はほとんど残して食べません。そもそも白米もお茶碗半分くらいで、おなかいっぱいと言います。もっと食べさせた方がいいですよね?
A.給食はほぼ完食できているようでしたら、極端な偏食という訳ではないようですね。学校から帰宅して、夕食までの間におやつなど、間食をする習慣があるようでしたら、そちらをまず止めてみてはどうでしょうか。おなかがさほど空いていない状態だと、苦手なものは余計に食べられません。
あと、食事中にTVを見ていることが多いようですが、できればそれも止めましょう。どうしてもTVに夢中になり、食べることへの関心が薄くなってしまいます。
好き嫌いを減らすのに、親子で会話しながらの楽しい食事という方法も効果的です。給食だと割と食べられるのに…というお子さんは、お友達と一緒だと楽しいから、というのも理由の一つで、食事中の雰囲気というのも食欲や、食への興味に影響を与えるものなのです。

そういった生活習慣を見直しつつ、あとは年齢が上がるにつれ食べられるものの種類が増えてくるお子さんがほとんどなので、時間をかけて食べられるものを少しずつ増やしていく心持ちで向き合っていっていきましょう。
(参考)
*1:平成27年度乳幼児栄養調査結果の概要. 厚生労働省
*2:平成22年度児童生徒の食生活実態調査. 独立行政法人日本スポーツ振興センター