【看護師が教えたい】~頭痛の種類と対処法~

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【頭痛の種類と対処法】

頭痛は広く一般的な症状ですが、その種類はさまざまで、原因もそれぞれ異なります。

鎮痛剤を服用すれば症状がおさまるものもあれば、生命に関わる危険な病気の症状であることもあります。

大きく分けると、基礎疾患(原因となっている病気)のない頭痛である一次性頭痛と、脳腫瘍や脳出血、外傷などの病変が原因となる二次性頭痛があります。

今回は一次性頭痛である「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」について説明していきます。

1. 緊張型頭痛

【症状】

もっとも多くみられる頭痛です。主に頭の周りを何かでギューッと締め付けられるような痛みです。その痛みを「孫悟空の金の輪で締められた様な痛み」と表現する方もいます。

肩や首筋のこり、軽いめまいを伴うこともあります。子供から高齢者まであらゆる年代にみられ、体の疲れが原因となっていることが多い頭痛です。痛みが起こる前兆はほぼありません。

【原因】

肉体的・精神的ストレスによって筋肉の緊張が強くなると起こります。最近では、パソコンやスマートフォンの長時間操作によって目の疲れや首、肩、背中の筋肉が緊張することが原因になっていることも多くあります。

【対処法】

入浴や蒸しタオルなどで肩周りを温めたり、ストレッチやマッサージなどをしたりすると肩周辺の筋肉の緊張がほぐれて効果的です。デスクワークの長い方は1時間に1回程度ストレッチをして体をほぐしましょう。日頃からストレス解消法をみつけリラックスすることが大切です。

市販の鎮痛剤を内服してもなかなか症状が改善しない、かえって頭痛がひどくなるというような場合は内科受診をおすすめします。

2. 片頭痛

【症状】

頭の片側やこめかみがズキズキ、ガンガン脈を打つような強い痛みが特徴です。体を動かすと痛みが強くなり、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。痛みが起こる前に、ふだんは気にならない音や光に敏感になったりします。チカチカした光が見えるという方もいらっしゃいます。20代から40代の女性に多くみられる特徴があります。

【原因】

頭の血管が一時的に拡張することが原因で起こるとされています。精神的ストレスや、睡眠不足・睡眠過多などにもとづく体の疲労が誘因になることがあります。女性の場合は月経との関連がある場合もあります。

【対処法】

血流を良くする運動や入浴、マッサージ等は厳禁です。静かな部屋で横になり安静に努めましょう。こめかみを押さえる、冷やすなどで血流がゆるやかになり痛みが緩和されることがあります。

片頭痛のある方には「頭痛日記」をつけることをおすすめします。痛みの部位、痛みの前に何か症状はあったか、吐き気や嘔吐はあったか、どの位の時間で治まったかなど記録しておくと医師の診察を受ける際にとても役にたちます。また頭痛のパターンを知ることでご自身の生活習慣の見直しにもなります。

現在多くの医療機関で頭痛に特化した「頭痛外来」を設けています。片頭痛用の内服薬の種類も豊富になってきました。

3. 群発頭痛

【症状】

片目の目の奥に感じる強い痛みで「目をえぐられるような痛み」と表現される方が多いです。

頭痛の持続時間は15分から3時間ほどのことが多く、1~2ヶ月の間に集中して起こります。目の充血や涙が出る、鼻水が出るという症状を伴うこともあります。20代から40代の男性に多くみられる傾向があり、喫煙習慣のある方に多いという特徴があります。

【原因】

一日のうちほぼ決まった時間に定期的に起こることや、持続時間がほぼ一定であることなどから、自律神経の関与が強いといわれています。体内時計にも関係していると考えられています。またアルコール摂取により誘発されることも知られています。

【対処法】

群発頭痛には通常の鎮痛剤は効果的ではありません。できるだけ早く医療機関を受診し適切な治療を受けることをおすすめします。

群発頭痛には酸素吸入が効果的です。現在「在宅酸素療法」の保険適用が承認されましたので、頭痛外来頭痛専門医を受診し相談するとよいでしょう。

【危険な頭痛の見分け方】

・突然起こったバットで殴られたような激しい痛み

・意識障害、吐き気、めまい、手足のしびれなどが同時に起こる

・次第に強さが増して1週間以上続く

・ろれつがまわらない(話しにくい)

・高熱を伴う

・早朝におきる

・日に日にだんだん強くなる

・昼夜かまわずずっと続いている(たとえば1週間以上)

・物が二重に見える

・意識があやふやになり、訳のわからないことを口走る

これらの症状がみられるときはすみやかに医療機関を受診しましょう。

脳血管障害(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)・脳腫瘍・髄膜炎などの危険な病気の兆候である可能性があります。

~うつ病による頭痛~

うつ病はこころの病気ですが、症状は体にもあらわれます。

発症の原因は様々な要因が重なったものとされていますが、ストレスなどにより脳の伝達物質であるモノアミン(ドーパミン・セロトニン・アドレナリン・ノルアドレナリン・ヒスタミンの総称)が減少し発症するという説があります。

このモノアミンが減少すると痛みを感じやすくなるといわれています。

頭痛(鈍く慢性的な痛み)のほかに不眠・気分の落ち込み・意欲低下・食欲低下・疲労感等の症状があるときは、うつ病の可能性が考えられます。

うつ病による頭痛は、一般的な鎮痛剤で抑えることはできません。効果があったとしても一時的です。無理をせず、早めの心療内科の受診をおすすめします。



カテゴリー:痛み, 看護師【痛み】

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