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老若男女、痛くなったらすぐピタッと。
万能薬のように頼りにされている湿布ですが、意外とその実態は知られていません。
どうせ使うなら効果的に、トラブルなく上手に使いたいものです。
もくじ
温湿布と冷湿布の真実

湿布には、温湿布と冷湿布がありますね。
病院やドラッグストアでも「どちらにしますか?」なんて聞かれたりして。
さて、あなたはどちらを選びますか?
真実1.温湿布・冷湿布は存在しない
正しくは、「温感」湿布と「冷感」湿布。
この「感」がポイントです。
そう、じんわりと温かく・またはひんやりと心地よく「感じる」ように成分が配合されているのです。
真実2.効果はどちらもほぼ同じ。しかし違いはココ!
「温めた方が良いから温湿布が良いんでしょ?」「冷湿布を貼ったから冷やしたよ」これは正しい効果を期待した使い方とは言えません。
温感湿布も冷感湿布も等しく痛みや炎症を抑える効果があります。
湿布の消炎鎮痛効果が皮膚から浸透して血中に吸収されるからです。
冷感の素は主にメントール、温感の素はトウガラシ由来の成分など。
湿布の薬面に含まれる水分が蒸発する時に皮膚温を下げたり、トウガラシ成分が血管を拡張して血流を良くするという効果はありますが、患部の温度を上下させるほどの(冷やしたり温めたり)効果はあまり期待できません。
ただし、温感成分は肌を刺激することがあり、冷感湿布よりかぶれやすい傾向があります。
真実3.どちらを使うかはあなたが決めていい
急性期には冷感湿布が、慢性期には温感湿布が向いているという方もいますが、温感湿布と冷感湿布のどちらを使うかは、あなた自身の感覚(心地よいと思う方)で決めて良いのです。
湿布にまつわる深刻な問題

かぶれる
痛い時は常に湿布を貼っていたくなりますね。
しかし、湿布にまけた・皮膚がかぶれたという経験をお持ちの方も多いはず。
汗をかいた状態や逆に乾燥した状態の皮膚は刺激に弱く、かぶれを招く一因になります。
かぶれ対策は以下の事に気を付けましょう。
- 湿布をはがすときに皮膚の角質を傷めないよう、水でぬらすor濡れたタオルで湿らせる
- はがすときは皮膚を押さえながら少しずつはがす(ベリッと一息にはがさない)
- 皮膚を保護するため、保湿剤を塗る
- 1日の使用頻度を守り、半日は皮膚を休ませる
手が届かない
笑いごとのようで切実な問題ですね。
背中や肩の後ろ側、辛いところほど自分で貼るのが難しくなります。
悪戦苦闘した挙句、1枚無駄にしてしまったり。

リハビリの場面では市販されているグッズを自助具として紹介していますが、こちらは少々コツと慣れが必要です。
湿布の接着面ではない方が起毛タイプであれば、その面に目の粗いスポンジを押し当てると(台所用なら大き目・ボディスポンジ位の大きさがベスト)湿布がスポンジにくっつきますので、そのまま患部に貼り付けやすくなります。
もう一つ、製薬会社の方が体を張って教えてくれたのは、ソファーや椅子の背もたれにクッションを立てかけ、その上にシールをはがした湿布を粘着麺を上にしておきます。あとはやあっとクッションに背中を押し付けるだけ。事前にクッションのどの辺に貼りたい場所が来るかを調査しておく必要がありますが…意外にキレイに貼れます。
飲み薬との関係・貼ってはいけない時
湿布はあまりにポピュラーで気軽に使えるのでつい忘れてしまいがちですが、れっきとした「消炎鎮痛の効果をもつ薬」です。
内服の痛み止めを飲み過ぎてはいけないという意識は皆さんお持ちだと思います。
飲み薬ほどの血中濃度やダイレクトな消化器への影響はありませんが、湿布の成分も皮膚から吸収されて血液に溶け込みます。
ですので、湿布の種類によっては痛み止めを飲んでいるときには使用を注意しなければならないものがあるのです。
痛み止めを飲んでいるときは、お医者さんや薬剤師さんに確認をしてみて下さいね。
また、アレルギーをお持ちの方、妊娠・授乳中の方も必ず相談の上、使用を検討して下さい。
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湿布の効果

あのスースーした感じには意味があった
やっぱりスースーしないと効いた感じがしない…
配合されている成分が同じなのに、塗り薬より湿布の方を好まれる方が多い理由はそこにあるのではないでしょうか。
先にも述べたあのメントール成分による冷感やトウガラシ成分による温感ですね。
いやいや、気のせいだよねと思ったあなた、この「感」が良い働きをしてるんです。
人は脳で痛みを感じます。
意外なことに、脳は痛みより皮膚感覚を優先して感じるようになっています。
スースー感は脳で痛みより優先して知覚されますので、結果、痛みが軽く感じられる=鎮痛の効果が得られるのです。
湿布の効能時間

湿布の袋や処方された時にもらう紙に、「1日〇回」と書いてあります。
概ね1日2回の湿布は貼ってから5~6時間以内、1日1回の湿布は12時間以内で効果を最大限に発揮します。
湿布の成分は皮膚からしっかり体内に吸収されています。
残念ながらそれ以上貼っても意味がないのです。
皮膚かぶれの原因になってしまいますので、適切な時間が来たらはがして、皮膚をしっかり休めてあげて下さい。
テーピングの代わりにできる
はがれづらく伸縮性をもったタイプの湿布は、関節によっては貼り方の工夫で簡易的なテーピングの代わりにすることもできます。
指などの小さな関節でしたら、細長く切ってぐるぐるとらせん状に巻きます。
膝だったら関節を伸ばした状態で、左右に1枚ずつ挟むように貼ります。
固定力は弱いので、あくまでも補助的な使用に限られますが、こんなところにも湿布の優秀さを感じずにはいられません。
まとめ
とても身近で頼りになる湿布。
意外に知られていないこと、知っていただきたいことをお伝えしました。
薬の世界は日進月歩。
もっともっと使いやすく、効果の高い湿布に出会えるのもそう遠い未来ではなさそうです。