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アニサキスという寄生虫はご存じでしょうか。
主に魚類に寄生し、それを食べることによってヒトへと感染していきます。
今回は、そんなアニサキスという寄生虫について解説していきます。
具体的には、
- アニサキスについて
- アニサキスの予防・治療法について
- アニサキスが食中毒の原因で一位に⁉
についてご紹介します。
ぜひ、参考にしてくださいね。
もくじ
アニサキスについて

アニサキスは、アニサキス症を引き起こす寄生虫です。
アニサキスについて以下の3つの項目で紹介します。
- 特徴
- 感染経路
- 症状
順番に解説していきます。
特徴
アニサキスは、回虫目アニサキス目アニサキス属に属する線虫の総称のことをいい、全ての種が魚類に感染します。
体長は「2~3㎝」で、半透明の白色をしています。
卵から孵化したあと、初めにオキアミなどの甲殻類に幼虫まで寄生します。
その後、中間宿主としてサバやサケなどの魚類やイカなどの内臓でさらに成長していきます。
そして、最終宿主であるイルカやクジラなどの海生哺乳類に食べられることによって、消化管から体内に侵入し、成虫となります。
ヒトでは宿主になることができないことから、成虫になれず、数日で死んで排出されます。
感染経路
主に、アニサキスが寄生した魚(サバやサケ)を食べることによって感染します。
とり込まれたアニサキスが胃や腸の内壁を刺入することによって症状がでてきます。
刺身や寿司などの魚介類の生食文化のある日本で多い疾患です。
症状
アニサキスの症状は、発症部位によって分類することができ、主に以下の3種類があります。
- 胃アニサキス症
- 腸アニサキス症
- アニサキスアレルギー
順番に解説していきます。
胃アニサキス症
胃アニサキス症は、胃で感染したときに起きるアニサキス症で、食べてから数時間~十数時間後にみぞおちに激しい腹痛、吐き気・嘔吐が発症します。
一定間隔で、症状が発症したり落ち着いたりするのが特徴です。
腸アニサキス症
腸アニサキス症は、腸で感染したときに起こる症状で、喫食してから半日~数日後に下腹部の痛み、嘔吐や吐き気の症状が起こります。
悪化した場合、腸閉塞や腹膜炎、腸に穴が空いたりと合併症を引き起こす危険性があります。
アニサキスアレルギー
アニサキス症とアレルギーで関連があります。
アニサキスに感染して、全身に蕁麻疹、アナフィラキシーショック、血圧の低下、呼吸困難などの症状を引き起こす場合があります。
アニサキスの予防・治療法について

アニサキスの予防法と治療法について解説していきます。
予防法
アニサキスは感染すると症状はひどいですが、少しの傷でも死滅するかなり弱い寄生虫で、適切な対策で予防することができます。
主に、以下のような予防法が挙げられます。
- 内臓を速やかに取り除き、内臓を生食しない
- 目視によって確認する
- 加熱する
- 冷凍する
少し深堀りして説明していきますね。
内臓を速やかに取り除き、内臓を生食しない
アニサキスは魚の鮮度が落ちると、内臓から筋肉に移動します。
このことから、できるだけ新鮮な魚を選んで内臓を素早く取り除き、内臓を生で食べるとは控えましょう。
目視で確認する
アニサキスがいないか目で確認しましょう。
料理で使う酢、塩、しょうゆ、ワサビでは死滅しないので、アニサキスが寄生していないかチェックすることが必要です。
加熱する
アニサキスは60℃で1分、70℃以上では一瞬、加熱することで死滅してしまいます。
冷凍する
アニサキスは-20℃で24時間以上冷凍処理すると死滅します。
治療法
アニサキスに対する特効薬や治療薬はまだ開発されておらず、発症部位によって治療法が異なってきます。
胃アニサキス症の場合
胃アニサキス症の場合は、内視鏡検査し、鉗子を用いてアニサキスを取り除きます。
胃カメラには嗚咽などが印象がありますが、最近では鼻から入れる内視鏡検査や鎮静剤を用いて行われ、10分で済むなど、負担が軽減されています。
腸アニサキス症の場合
腸アニサキス症の場合は内服薬をつかって対処療法を行います。
アニサキスが死滅して症状が緩和するまで安静しておきます。
アニサキスアレルギーの場合
アニサキスアレルギーは、重症化した場合はステロイド剤、軽症の場合はヒスタミン薬や抗アレルギー薬を使用して、アレルギー症状の緩和を行います。
アニサキスによる食中毒が増加傾向に⁉

ここ数年で、アニサキスによる食牛毒の報告件数が増加傾向にあります。
今までは、ウイルスや細菌による食中毒がほとんどであったにも関わらず、驚くべきことに2018年、2019年と2年連続、アニサキスが原因となる食中毒が1位となっています。
特に、カツオの刺身を食べたことによって食中毒が急増していて、カツオが旬の時期である4月、5月に突出していました。
アニサキスによって食中毒を引き起こす魚はサバやサンマが代表的でしたが、カツオで多発していることから、カツオの異変が懸念されています。
理由はまだ調査の段階なのですが、初ガツオシーズンに普段獲れるカツオが痩せているのに対し、脂がのっているという違いがあることがわかりました。
これらの変化は、水温の上昇などによりカツオの回遊経路の変化したという可能性も考えられています。
日本では魚の生食文化があることから、しっかりとアニサキスと付き合い方を考えなければいけません。
我々消費者は、「新鮮な魚を選ぶ」「内臓は速やかに取り除く」「目視で確認する」等の予防策がより必要になります。
これからさらにカツオの調査が進めば、科学的データも明らかになり、アニサキスによる食中毒の多発した原因がわかることでしょう。
まとめ
今回は「アニサキス」についてご紹介しました。
本記事によってアニサキスの食中毒の症状は激しい痛みを伴うことから、生魚を食べるのは怖くなったかもしれません。
しかし、アニサキスは高温、低温、少しのダメージでも死滅する弱い寄生虫です。
必要以上に恐れず、適切な対策をし、これからも魚料理を楽しみましょう。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
最後までありがとうございました。