【小児科医から皆さんへ、事例を交えて解説!】~10歳の壁なんて怖くない~

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10歳の壁”という言葉を聞いたことがありますか?イヤイヤ期ほど有名ではないので、ご存知の方は少ないかもしれません。しかし、小学生以下のお子さんを持つ方々には、知っておいて欲しい概念でもあります。どういう意味があるの?どうやって乗り越えて行けば良い?今回はそんな質問にお答えしたいと思います。

10歳の壁とは

“10歳の壁”とは、10歳前後のお子さんが直面する、内面の変化や困難を表現した言葉です。“9歳の壁”、“小4の壁”と言われることもあります。

以前は、ちょうど10歳頃が学習面でつまずきやすい年齢であるから、という理由でそう呼ばれていましたが、最近ではそれに加え、子どもの心の成長にもスポットを当てた意味合いも込められるようになってきました。

10歳頃はちょうど子どもから大人へ内面が変化する時期でもあります。その過程で子どもが経験する、反抗心や不安を「壁」という言葉で表しているのです。


学習面と精神面、それぞれの壁

学習面

学習面でつまずきやすい理由は、4年生頃から学習の難易度が上がることでしょう。

例えば算数だと、それまでは簡単な計算で解けていたものが、文章題など読解力、思考力を問われる問題が増えたり、記号を用いた数式が出てきたりすることで、ついていけなくなるお子さんが増えてきます。

また分数や小数など、抽象的な概念を理解するのが難しいといったつまずきも出てきます。

精神面

10歳前後になると、子どもは自分を客観的に見られるようになってくるので、性格や能力を周りと比べ、自分はできないんだと自信を失ったり、劣等感を抱きやすくなったりします。

また、それまでの、親子関係が中心の世界から、友達との関係がメインの世界へと移り変わる時期でもあり、親が言うことに反抗したり、友達から言われたことに影響を受けたり、気にしたりするようになります。

そういった変化は悪いことではなく、自己を客観的に見られるようになってきた、社会に適応していくために必要な発達過程に差し掛かってきた、ということなのですが、また本人の中ではどう解決していったら良いのかわからないこともあり、不安に思ってイライラしたりする子もいます。


~受診エピソード紹介~

相談者:10歳の女の子(第1子)を持つお母さん

背景:娘が小学4年生になった頃から、勉強が難しいと感じるようになってきたらしく「どうせできない、わからない」と時々言い、宿題になかなか取り組めなくなってきた。また、去年からピアノ教室に通っているが、最近「○○ちゃんより上手く弾けない」などと言ってレッスンを休みがちであり、そういった色々な面での変化に対し、親として戸惑っている。

Q.インターネットで調べていたら、10歳の壁という言葉が出てきたのですが、まさにそういった時期なのでしょうか?算数の授業が難しいと家でもよく言っていて、宿題をしても途中で「わからない」といって時々泣いたりしているんです。

A.まさに10歳の壁に差しかかっている状況ですね。分数や少数の計算、文章題がなかなか理解できずに、つまずいてしまうお子さんが結構います。周りのできる子を見て、余計に焦ってしまう、どうして自分はできないんだろうと悲しくなってしまうんですよね。

もしご家庭で時間が取れるようであれば、わからない分野の最初に戻って、何なら去年の算数の教科書なども使って、レベルを落とした基礎のところから勉強をし直してみましょう。本人が「できる」という問題や分野からもう一度やり直すことで、できるんだという自信が得られます。

.ピアノ教室では、同じ頃に習い始めた友達が、すでに少し難しいレベルの教本に進んだのに、自分はまだそれに進めないのが悔しいみたいで…「○○ちゃんみたいに上手に弾けない、まだこの教本やってるの?って言われたし」と言って、すっかりやる気をなくしてしまって。かといって「上手になってるよ」と誉めても、全然響いていないというか…

.この年頃のお子さんは、親の言うことよりも友達の意見や言動に影響を受けやすい時期でもあります。個人の能力や発達の差が目立つようになってくる時期でもあるので、周りと比べてしまい、自分に対する肯定感を持てなくなり、自信を無くしてしまうお子さんもいます。

親の意見を素直に受け入れないこともしばしばあるのですが、外部の人からだとすんなり聞き入れる場合もあります。例えばピアノの先生など。

習い始めた頃は片手でも上手く弾けなかったのに、今はこんな曲を両手で弾けるようになっていて、頑張っているね!など、具体的に誉めてもらうと自信につながります。

親としては、子どもが悩んでいる、勉強が難しくて辛い、という気持ちにまずは寄り添い、「4年生に入ってから勉強、難しくなってきたよね、お母さんの頃もそうだったよ」など、共感する声がけをしてあげましょう。

気持ちを理解してもらえた、と子どもが実感することで、不安に思う状況の中でも安心感を得られ、今後のやる気につながります。

うわべだけの言葉で誉めたりしても、それを見抜ける年頃になってきていますので、子どもを一人の“人”として見て対等に接しつつ、できる範囲で勉強のわからないところを見てあげたり、親の手におえない難易度になってきたら、子どもと相談の上、塾などプロの手を借りたりするという方法もアリだと思います。

10歳の壁と聞くと、なんだか厄介そうな響きを感じてしまいますが、どんな子どもにも見られる成長過程での大切な一歩であり、それを乗り越えることで大人へと成長していく訳ですから、親としてはサポートをしつつ傍で見守っていきたいですね。



カテゴリー:育児, 医師【育児】

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