【作業療法士がリハビリの現場から】転倒予防には小脳トレーニングという手が!?

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小脳をご存知でしょうか?

聞いたことはあるし、なんとなく写真や図でみたかなぁ…という方は多いかも知れません。

その小脳がどんな働きをしているのか、なぜ転倒予防と関係するのか。

小脳が私たちの体の中で日々頑張っていることを知っていただきたいと思います。

最近話題の小脳

近頃メディアで、めまいの治療や寝たきり予防のメソッドとして「小脳を鍛える」ことがよく取り上げられています。

リハビリテーションやスポーツトレーニングの分野では、以前から小脳の重要性は熱く語られていました。

ただ、未だその機能の大部分がブラックボックスである「脳」のこと。

How To が確立していないことも確かなのです。

解っていること、わかってきたことを交えてお届けします。

転倒の理由・予防の意義

転んだだけで?

高齢の方にとって転倒はとても恐ろしいアクシデントです。

骨折はもちろん、捻挫や打撲の痛みが2~3日続くだけで、その後の心身機能に大きなダメージを残す可能性があります。

手首の骨折だったとしてもです。

安静にしていると、人は3日で筋力低下します。

高齢者ならこれだけで簡単に寝たきりに移行し、心臓や呼吸の機能・平衡感覚の機能低下など、2次的な問題が続々と出現するために回復が難しくなってしまうのです。

また、「転んでしまった」という恐怖感が、今まで行っていた習慣的な活動をやめる原因になったり、家族が心配するあまり行動を制限する…など心理・社会的な不利益が生まれかねません。

高齢者の寝たきりや閉じこもりがちな生活を避けるためには、転倒を予防することが非常に重要です。

転倒のウラにあるもの

健康な若者でも段差に躓いたり、滑ったりして、1年に1回位転ぶこともあるでしょう。

これは仕方がありませんが…

見過ごしてはいけない転倒とは、その裏に注意しなければならない心身機能のトラブルが隠れている場合です。

例えばめまい、筋力低下、注意力障害、バランス機能の障害をおこす神経難病など。

なんだかよく転ぶなぁ、と思っていたら薬の副作用だった…なんてこともあるのです。

その中で、特に病気でもなく、筋力の低下も無いのに転んでしまう

そんな方たちの転倒の理由が「小脳」にあると解ってきました。

小脳の役割

それでは、小脳はどのような働きをしているのでしょうか。

動きの統括マネージャー

小脳の主な働きは

  • 体のバランスをコントロールする
  • 円滑な運動をコントロールする

の2つです。

小脳は筋肉を動かすことはできません。

しかし、筋肉の動きや視覚・皮膚感覚などを統括して、スムーズで効率的な動きが出来る様に調整しているのです。

頭の中のイメージと実際の動きの違いがおきた時にすかさず微調整を繰り返し、イメージに近い動きができるように修正をかけるという、会社で言えば各部署と連絡調整をはかり、企画に沿って案件を進める統括マネージャーと言えるでしょうか。

3つのパイプ

小脳は3つの部署にわけられ、耳の奥と眼、脊髄、大脳に太いパイプを持って連携をとっています。

そしてそれぞれの部署が

  • バランスと眼の動き
  • 体幹と手足の動き
  • 運動の計画と感覚の情報確認

をコントロールするのです。

これが統括マネージャーたる所以です。

なので、筋力が低下していないのに転びやすい方は、小脳を鍛えることが望ましいのです。

小脳チェック

それでは、いよいよあなたの小脳の状態をチェックしてみましょう。

方法はカンタン。

平行棒の上に乗っているイメージで、足を一直線上に並べて下さい。

片方の踵の後ろにもう片方の指先がくっつくようにします。

どちらの足が前でもかまいません。

そのままストップして、ぐらぐらしてしまうなら小脳の働きが低下している状態です。

小脳を鍛える

小脳を鍛えるということは、先ほど述べた3つのパイプを強化することです。

パイプは神経の通り道。

けもの道より2車線道路の方が通りやすく、スピードも出せますね。

何度も何度も通っているうちに、けもの道は踏みしめられて、しっかりした太い道になっていく、そういったイメージです。

いくつが小脳を鍛える方法をお伝えしますが、安全への配慮と体調に充分注意したうえで、無理なく行って下さい。

眼や耳の奥(内耳)とのパイプを太くする

1.親指を立てて両手を体の前に出します。顔を動かさずに目の動きだけで、両方の親指を交互に見て下さい。

2.片方だけ親指を立てて前に出し、ゆっくり大きく左右に動かします。この指の動きを眼だけで追って下さい。

3.今度は腕を動かさず、首を左右にひねります。この時、視線は前に出した親指から離さないで下さい。

1~3をそれぞれ10往復、1日2~3回行います。

この方法はめまいのリハビリとしても提唱されていますが、体操中にふらつきを感じることがありますので、安全の為、椅子やベッドの端に腰かけた状態で行って下さい。

体の動きを感じるパイプ

床に膝を抱えて座ります。

そのまま背中側に転がって、膝を抱えたまま反動で起き上がる、を繰り返しです。

起き上がりこぼしの動きです。

頭を打たないように、あごを引いて背中から首まで丸くなって行って下さい。

運動の計画と感覚のチェック場所とのパイプ

バランスをとるうえで大切なセンサーは足の裏にあります。

足の裏から地面や体重のかかっている様子をしっかり感じ取り脳に返してあげることが大切です。

そして、止まった状態より動いている状態で行うことが理想です。

運動の種類はこれでなければいけないということはありません。

今回は重心が大きく動き、足裏に感覚が入りやすい動きを例にしました。

気を付けの姿勢から1歩前に片脚を踏み出します。

踏み出した足の方に体重をかけ、膝を曲げて踏み込んでください。

この時、前に出した(踏み込んだ)足の裏全体に注意をむけて、床の感触・体重が乗った感覚を感じとりましょう。

環境が許せば、裸足で行うとより感覚がわかりやすいですよ。

まとめ

転倒予防における小脳トレーニングの大切さについてお伝えしました。

筋力も大切。

でも、それ以外に脳をトレーニングするという方法があることを知っていただければ幸いです。



カテゴリー:その他・予防法, 作業療法士【予防】

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