【学者が教える】人間に害を及ぼす線虫について分かりやすく解説!

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線虫という生物を聞いたことがあるでしょうか。

線形動物とも呼ばれ、実は種類は一億以上もいると言われています。

今回はそんな線虫についてご紹介します。

具体的には、

  • 線虫について
  • 線虫の予防・治療方法
  • 線虫が癌検査に役立つ⁉

の順番で解説していきます。

ぜひ、参考にしてくださいね。

線虫について

線虫は、人間の生活に害を及ぼすものから、自由生活をしているものまで様々な種類の線虫があります。

線虫について以下の項目で解説していきます。

  • 線虫の特徴
  • 感染経路
  • 症状

それぞれについて深堀りしていきます。

線虫の特徴

線虫は細長い糸状で、基本的に無色透明色をしています。

ミミズに似ていますが、体節構造はなく、大半の種の線虫は土壌や海洋中に生息しています。

線虫の種類の見積もりは、およそ1億種になり、この見積もりが正しければ、地球上の生物の大半は線虫が占めていることになります。

そんな数ある線虫の中から今回は、人間に害を及ぼす線虫について深堀りしていきます。

人間に害を及ぼす線虫は以下のとおりです。

  • 回虫
  • ギョウチュウ
  • フィラリア
  • 広東住血線虫
  • アニサキス

感染経路

感染経路は種類によって様々で、それぞれ説明していきます。

回虫

引用:社団法人千葉県臨床検査技師会

回虫の感染経路は回虫の卵を摂食することです。

回虫の卵は丈夫で、卵のついた食べ物(野菜など)を食べることによって体内に取り込まれます。

ギョウチュウ

引用:韓国の今を伝える もっと!コリア

ギョウチュウの感染経路はギョウチュウの卵を経口摂取することです。

ギョウチュウは、肛門周囲に産卵します。

産卵数は1回に6千~1万個で感染とかなり多く、肛門を触ったり、衣類などを介してギョウチュウの卵を飲み込んで感染していまいます。

フィラリア

引用:サイエンスジャーナル

フィラリアの感染経路はフィラリアの幼虫を含む蚊やアブに刺されるによる感染です。

人間の体内でフィラリアは成虫になり、ミクロフィラリアという子虫を生み、蚊やアブが血を吸うことによって、感染を拡大していきます。

フィラリア感染症は昆虫を媒介するため、人から人には移りません。

広東住血線虫

引用:シェアチューブ

広東住血線虫の感染経路は、広東住線虫に感染したナメクジやカタツムリ(アフリカマイマイ)を生食することによって感染します。

主な感染対象はネズミですが、人にも感染し陸棲貝を食べること文化とする地域に多く見られます。

アニサキス

引用:美馬内科クリニック

アニサキスが感染した魚を食べることによってアニサキス症を引き起こします。

主に、サンマ・サバ・イカに寄生していることが多くなります。

症状

症状も種類によって異なり、無症状のものから、失明、象皮症などの後遺症にまで至るものがあります。

それぞれについて解説していきます。

回虫

虫は少数の場合だと症状が見られませんが、数が多いと腸閉塞が起こる場合もあります。

また、盲腸、胆管、膵管に詰まると、重度の腹痛になります。

小児の場合腸内で食べ物を横取りされ、低栄養状態になり成長が妨げられることもあります。

ギョウチュウ

ギョウチュウの感染による症状では、ギョウチュウの活動による痒みが生じます。

このかゆみにより、睡眠障害が起こり、日中の眠気・短気などの精神症状の原因になることが懸念されています。

フィラリア

フィラリア症はリンパ管やリンパ節に炎症を引き起こし、数週~数か月ごとに熱発作を引き起こします。

リンパ管の炎症はリンパ管の破壊までされ、体内にフィラリアがいなくなった後でも「象皮症」と呼ばれる後遺症が残ります。

また、フィラリアが出す物質によってアレルギー反応を示す場合もあります。

広東住血線虫

広東住線虫症の症状は感染虫体数によって様々で、以下のようなものがあります。

  • 激しい頭痛
  • 項部硬直
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 好酸球性脳脊髄膜炎
  • 脳神経麻痺
  • 筋力の低下
  • 知覚異常
  • 複視
  • 運動失調
  • 死亡

2~35日ほどの潜伏期間があり、2~4週間ほど続きます。

後遺症として、まれに失明・知能遅延・てんかんなどが残る場合もあります。

アニサキス

アニサキス症は胃・腸など感染部位によって症状の出る場所は異なりますが、主に以下の症状があります。

  • 腹痛
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 蕁麻疹
  • 呼吸困難

胃に感染した場合、数時間~数十時間後に、腸に感染した場合は半日~数日後に症状が出てきます。

線虫の予防・治療法

線虫の予防・治療法について解説していきます。

予防法

予防法は線虫の種類によって異なり、それぞれについて紹介していきます。

回虫

回虫の予防法は、主に十分な衛生管理が必要になります。

予防方法として以下のようなことが挙げられます。

  • 料理前には手をしっかり洗う
  • 生野菜はしっかり洗い、加熱料理をする

特に、人の糞を肥料として栽培した野菜については飲食をする際に十分に気をつけましょう。

ギョウチュウ

ギョウチュウの予防方法、ギョウチュウの卵を摂食しないようにすることです。

具体的な方法として以下のようなものが挙げられます。

  • 爪をこまめに切り、噛んだりしない
  • 肛門のあたりを直接掻かない
  • トイレ後・調理前はしっかり手を洗う

フィラリア

フィラリアの予防方法は、蚊にさされないようにすることです。

具体的な方法としては、長そで、長ズボンを着用し、露出部分には防蚊剤を塗布します。

また、フィラリア症の感染地域ではまん延を防ぐために、4~6年にかけて治療薬の集団投与を行います。

広東住血線虫

広東住線虫症の予防法は、その感染症が流行している地域での陸棲貝や野菜を生食しないようにすることです。

ナメクジやカエルの肝を食べるという民間療法に気を付ける必要があります。

アニサキス

アニサキス症は温度に弱いことから料理温度、または保存温度で予防します。

具体的には、60℃以上の熱で一分以上熱処理、または-20℃で24時間の冷凍を行うことによって感染のリスクを減少させることができます。

また、新鮮なうちに内臓を取り除く、アニサキスがいないか目で確認することが予防方法として挙げられます。

治療法

治療法については基本的には治療薬(駆虫薬)を用いて治療しますが、線虫の種類によって異なります。

それぞれについて紹介していきます。

回虫

回虫症に用いる治療薬には、以下のようなものがあります。

  • アルベンダゾール
  • メベンダゾール
  • イベルメクチン

これらの治療薬は胎児に悪影響を及ぼすことから、妊婦さんが使用する場合は医師との相談が必要になります。

ギョウチュウ

ギョウチュウの治療薬にはコンバントリンを使用します。

一回の投与で駆虫率が90%であることから、2週間ほど空けて2回投与します。

家族内で感染した場合、完治後に家族内で再感染することから、家族全員で駆虫します。

フィラリア

フィラリアの駆虫薬には以下のようなものがあります。

  • ジエチルカルバマジン(DEC)
  • アルベンダゾール
  • イベルメクチン

ジエチルカルバマジンは、ミクロフィラリアと成虫の両方に効き、副作用が少ないのが特徴です。

また、症状を悪化させないために以下の対策をします。

  • 衛生面を保つ
  • 運動する→リンパ液の流れを良くする

広東住線虫

広東住血線虫症には、治療薬がなく主に好酸球性脳脊髄膜炎の対処療法を行います。

具体的には、プレドニゾロン、グルココルチステロイドとともに、メベンダゾールを内服します。

アニサキス

アニサキス症に対する治療薬はありませんが、正露丸などでアニサキスの運動性を抑制させて、症状を改善する対処療法を行います。

また、重度の場合など、開腹または内視鏡手術でアニサキスの摘出が行われます。

線虫が癌の検査に役立つ⁉

今回は人間に害を及ぼす線虫について紹介しましたが、実は人間にメリットをもたらす線虫も存在します。

そのメリットとは「N-NOSE」と呼ばれる線虫を用いると、一滴の尿で癌を調べることができることです。

線虫は犬の約1.5倍の嗅覚受容体遺伝子をもつため、より詳細な匂いをかぎ分けることができると考えられています。

がん患者には健康な方にはない特有の臭いがあるとうことが様々な研究結果から明らかになりました。

そして、線虫「N-NOSE」は、「がん患者の尿に集まり、健康な人の尿からは逃げる」という性質をもっています。

この性質を利用して、ごくわずかの尿量で癌を調べるという最新検査が開発されました。

感度は86.3%と高精度で、約一万円程度で全身の癌が調べられる非常に費用対効果の高い検査方法となっています。

また、ステージ0や1の早期にも反応し、身体的な負担がなく定期的に受けやすいのも特徴になります。

これは、初めに受ける一次スクリーニングの癌検査として最適な検査方法になります。

まとめ

今回は線虫についてご紹介しました。

線虫には、人の生活に害を及ぼす線虫や無害の線虫など様々なものがあります。

有害な線虫に対しては、感染経路や治療法は種類によって異なるので、それぞれにあった対策が必要になります。

また、害を及ぼす線虫だけでなく、癌検査のように私たちの健康に役立つ線虫もいます。

ぜひ、参考にしてみてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。



カテゴリー:生物学者【寄生虫】, 感染症

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