この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。
もくじ
MRとは?

みなさんはMRという仕事をご存知でしょうか?
MR(medical representative)は日本語では医薬情報担当者と呼ばれています。
製薬会社の営業という位置付けです。
自社医薬品の情報を医師や薬剤師などの医療関係者に伝達するとともに、現場で発生した副作用や不良品情報などを聴取する業務を行っています。
医師や薬剤師は添付文書という、いわゆる医薬品の説明書に則り、患者さんに最適な治療を行っています。
医薬品の種類は日本では20,000品目以上あり、その全ての添付文書を詳細に理解することは困難です。
また、日々更新される最新情報を正確に把握する事も相当な労力を要します。
MRは自社医薬品の詳細な最新情報を医療関係者に正確にに伝える事で、健康被害を未然に防ぎ最大限の治療効果が発揮できるよう、様々な問い合わせに対応したり、処方提案を行ったりしています。
一方、MRには営業の側面もあるので、ほとんどの製薬会社が売上ノルマを課しています。
残念ながらこの結果として、医薬品のメリットを誇張したり、副作用情報の提供を最小限に抑えたりするMRもおられます。
このような事態を未然に防ぐため、製薬業界でもコンプライアンス遵守が強く推し進められています。
この結果、患者さんの安全と治療効果を最優先に情報提供を行うMRが多くなってきました。
医薬品が手元に届くまで

医薬品は添付文書情報がセットになって、初めて有用性が生まれる製品です。
MRは営業と書きましたが、実際の医薬品は販売しておらず、必要な情報を伝える事で自社医薬品を適切に処方してもらい会社の売上に貢献しています。
医師、薬剤師など医療関係者は日々一生懸命勉強し最新情報を入手しています。
テレビのクイズ番組と違い、無知は医療過誤に直結します。
MRはその情報収集を補完して、医薬品の適正使用をサポートしています。
医師への情報提供

例えば、新しい高血圧の薬を開発したとします。
高血圧の治療はには今でもよい薬がたくさんあり、ほとんどの人に満足できる効果があります。
ほとんどの人です。
残念ながら十分な効果が得られていない方もおられます。
開発した薬がその一部の方に効果がある可能性があるとします。
この事実を医師が知らなければ、せっかく良くなる可能性があっても、その薬がその患者さんに処方される事はありません。
医師も人間なので全ての最新情報を把握できるものではありません。
新しい薬であれば、なおさら安全性などの重要な注意点を熟知していないと処方はできません。
そこでMRが薬の副作用情報や有効性などを伝え、従来の薬では治療効果が高められる可能性について、医師と意見交換を行います。
そこで医師がその患者さんに処方すべきと考えて初めて、その薬が患者さんの役にたてます。
MRからの情報提供が無く、その薬が処方されていなければ、その患者さんの治療は不十分なままの可能性があります。
また、副作用の危険性が上がる可能性を考えながら、従来の薬の量を増やしていた可能性もあります。
薬局への情報提供

薬を実際に患者さんに処方するのは薬局ですので、MRはその業務に必要な最新情報を薬剤師に伝えています。
その薬の添付文書に「1日2回食後投与」と書いてあるとします。
朝、夜?
夜勤などで不規則な生活をしている人は?
朝ごはんを食べない人は?
このように「1日2回食後投与」だけの情報では判断できない事例はたくさんあります。
何故「1日2回」、「食後」なのかの情報があれば、それぞれの患者さんに合わせた飲み方の伝え方ができます。
MRは薬剤師に、医師に伝えた薬の安全性、有効性情報に加え、実際に処方する時に必要な情報を伝えています。
薬剤師には正しい処方が行われているかをダブルチェックする業務もありますので、飲み合わせ情報なども正確に確実に伝える必要があります。
また、患者さんの理解度を高めるためにその薬に対する医師の考え方を伝える事もあります。
MRの必要性~事例付きで紹介~
MRが伝える情報はあくまでも、医師、薬剤師の情報収集の補完です。
時間をかけ、製薬会社への資料請求などをすれば得られる情報です。
ただ、医師、薬剤師には、それ以上に必要な業務が山のようにあります。
よりよい医療を効率よく行うためには、自社医薬品の専門家であるMRが必要になります。
実際にある患者さんが適切な治療を受けるきっかけとなった事例を紹介します。

薬剤師は日々の最新情報収集の一貫として製薬会社主催の研修会に参加します。
その時に説明した「薬が効かない理由」に思い当たる患者さんがいると言われました。
詳しく伺うと、その患者さんの薬の飲み方に疑問が出てきましたため、次回その患者さんが来た時に聞いてほしい事をいくつかまとめ、確認してもらいました。
効かない原因は、やはり食生活にありました。
薬剤師はその患者さんに食生活の改善について説明しました。
この結果、薬が効き過ぎる可能性があるので薬剤師は医師にこの状況を伝えました。
MRとしてもこの情報共有を補完するため、医師に状況を伝えました。
その後、両者の情報共有の橋渡し役となり、患者さんの状況を見守り、最終的に患者さんの症状がよくなった事が確認出来ました。
飲み合わせの悪いものは薬だけではありません。
普通の食べ物や飲み物が原因で薬が効きにくくなる事もあります。
特に、「テレビで健康によい」と言っていたものを大量に偏って食べたり飲んだりすると、逆に健康を害する事もあります。
「こんな事は関係ないだろう」と自分で判断せず、薬をもらう時には何でも薬剤師と相談する事が大事です。
きっと親身になって答えてくれますよ。
カテゴリー:”薬”立つ情報, 医薬情報担当者(MR)【医薬品】