【MRが教える】効く薬、効かない薬~安全で有効な医薬品を目指して~

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※運営よりお知らせ:記事を簡潔に掲載する都合上、専門用語の解説は少なめになっています。気になる言葉を左クリックを押したままなぞり、右クリックで検索をかけることができますのでその方法をご利用ください。

医薬品は日々進化しています。

新しい薬の開発はもちろんですが、すでに発売された薬も日々成長しています。

薬はモノとして存在しても、情報が伴わないとその価値は発揮できません。

薬を飲む量、回数、期間などを知らずに適当に薬を飲む事はありませんよね。

開発された薬の安全性有効性を高めるためには情報が必要となります。

製薬会社のMR(営業部門に属する医薬情報担当者)は自社医薬品がどのように使われ、どのような結果になったのかを医師や薬剤師から教えてもらう事で、薬の情報収集をしています。

製薬会社はMRが集めた最新情報を分析して、その薬が向かない人や使うべき人を見極めていきます。

このように薬は情報という付加価値を日々蓄積して成長し続けています。

もくじ

発売された医薬品の成長

医薬品はもちろん、その効果や安全性を確認してから発売しています。

ただ、その確認方法にはどうしても限界があります。

例えば、ある薬を開発しているとします。

この薬に効果があるのかを調べるためには、効果に影響する要素を取り除いて調べなければなりません。

このため、持病のある人他の治療を受けている人を除いて調べていきます。

安全性を調べる時も同じ考え方です。

このため、新しく発売された薬は「この条件に当てはまる人々には有効で安全」という位置付けになります。

逆に、当てはまらない人には効かない、副作用が出やすいなどの危険性が残っています。

脅してすみません。

もちろん、副作用が起こる可能性がある人は調べているので、そのような人には注意するようにとの注意喚起は徹底しています。

また実際にはおこっていなくても、おこる可能性のある副作用についても注意喚起をしています。

現時点での最新情報を元にした最大限の注意喚起は徹底しています。

ご安心ください。

ただ、この世の中には「想定外」があります

ゼロリスクが存在しないのは薬も同じです。

足りないのは情報量です。

情報が集まって注意すべき人がはっきりすれば、その薬はより安全に効果を出す事ができます。

このように、発売した薬は情報を集める事で成長し、みなさんの健康に役立てるようになります。

副作用を減らすために

薬の開発は、動物実験、健康な人、その病気の人と段階を経て安全性の確認を行っていきます。

そこで集まったデータや薬のしくみ(作用機序)、同じような薬の副作用情報などから、副作用がおこる可能性のある人起こりうる副作用リストアップします。

これらをまとめたものをRMP(医薬品リスク管理計画)という情報にして、この計画に基づいて安全性情報を集めていきます

みなさんは「新薬だから14日分しか一度に出せない」と言われたことはありませんか?

それはこのRMPの一貫です。

新薬は今までの治療を上回る効果などが期待できますが、安全性情報が足りないので慎重に様子を見ながら処方されています。

このように慎重に処方された薬の情報はMRが集めます

MRはRMPの規定通り、月1〜2回のペースで医師、薬剤師などから副作用の有無を確認しています。

このように想定外の副作用を迅速に把握する事で医薬品の安全性は高まっていきます

高い治療効果のために

薬は効かなければ意味がありません

副作用の危険性を冒して飲んでいるのですから。

RMPは安全性対策で行われていますが、効果に関する情報を集める事もMRの重要な業務となります。

副作用と同じく、効果に関しても情報が不足しています。

従来の治療と比べて何らかの優位点があって新しい薬は発売されています。

優位点は安全性の高さや飲みやすさなどの場合もありますが、高い治療効果が優位点であれば、効果の情報を集める事が、その薬の成長となります。

例えば、発売前の情報が3ヶ月投与したデータしかないとします。

薬や病気の特徴から、もっと長期間飲んだ方がよい可能性があるとします。

また長期間飲む事で起こってしまう副作用が想定しにくいとします。

このような薬であれば、「長期間投与の安全性と有効性」を調べる事が医学の進歩に結びついていきます。

このような可能性について、MRは医師、薬剤師から意見をもらいます。

これらの意見を元に製薬会社の開発部門が医師、薬剤師と意見交換を行い、薬の新しい使い方が出来てきます。

MRは薬の見守り隊

薬は情報が伴って初めて人々の健康に役立ちます。

その情報が多ければ多い程、その薬は成熟しているといえます。

情報は国内外の研究報告などを医師、薬剤師らでまとめた科学的論拠(エビデンス)が重要となります。

ただ、この報告をまとめるにはある程度の時間がかかります。

今、国内でおこっている薬の副作用や治療効果に関してはMRが日々集めている最新情報が必要となります。

薬はその両方の情報によって成長し、安全に高い効果を発揮しています。

実際にこのような事例があります

ある副作用がおこる可能性が薬の構造式に関係する理論的に想定できたので、その構造式を使わない薬が開発されました。

発売前の情報では想定通り、その副作用はおこりませんでしたので、安全性が高い薬として発売されました。

発売後もその副作用はなく、効果も従来の薬と遜色ない結果でした。

このため、従来の治療薬と比べて安全性が高いとの評価が固まり始めていました。

その副作用がおこったとMRが報告を受けました。

患者さんは薬を何種類も飲んでいるので、副作用の原因を確定する事は困難です。

その副作用はこの薬が原因の可能性はあるが、確定はできないと判断されました。

その後も同じような副作用報告がMRによって集められました。

分析できる程度の副作用報告がMRから集められたため、副作用と薬との関連性を調べると、「関連性が否定できない」との結果に至りました。

この結果を受け、製薬会社は厚生労働省と協議し、この副作用に対する注意喚起を行う事となりました。

このように、理論的には副作用がない事や効果が高まる事を想定していても、実際には異なる結果となるケースもあります。

また、この結果から副作用はその構造式とは無関係に発生するというエビデンスが得られました。

MRはこのような想定外も含めた薬の作用について現場の意見を集める仕事をしています。

人の身体は全て異なります。

その人と全く同じ人に同じタイミング、量で薬を処方した事はありません。

このため、想定外の副作用は誰にでも起こりえます。

何か不具合があれば、医師、薬剤師に必ず相談してください。

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こんにちは。運営者のハルです。

内容的に一般の方にとって難しい内容かなと思います。

薬って上にも書かれていますが、その物だけでなく情報もとても大切になります(くすりの反対は”リスク”という覚え方があります、表裏一体というイメージ)。

西洋医学的に考えると疾患を診断し特定し、その病気に対して治療薬を当てていきます。

うまく当てはまり症状の進行を抑えられれば良いですが、症状をマスクしてしまうだけで長い目で見ると治療になっておらず悪化させてしまうこともあります。(ちなみに、東洋医学的には証(体質)に合わせて薬を出すイメージです)

使い方に安全性・治療効果を与えてくれるのがMRさんといったところでしょうか。いつもお世話になっています。

最後に、何か分からない事があれば質問受け付けていますので問合せフォームからメッセージをお願いします。

構造式が関係する記事もあります。こちらも参考にどうぞ!

最後までお読みいただきありがとうございました。



カテゴリー:”薬”立つ情報, 医薬情報担当者(MR)【医薬品】

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