【薬剤師の体験談】体験談シリーズ⑥仕事ができない、眠れない〜うつ病〜

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もくじ

☆うつ病とは

うつ病はこころの風邪とよく言われていますが、実際に患ってみると、風邪とはまったく違った辛さがあることが分かります。


うつ病の定義を述べると、「精神的ストレス、身体的ストレスが重なったことによって、脳の機能障害が出ること」ということになります。

     

この「ストレス」というのがくせ者で、ストレスを感じやすい性格の人にうつ病は多く発症する傾向があります。


同じ出来事が降りかかっても、それをストレスと感じなければうつ病にはなりません。


ストレスを感じやすい性格というのは「メランコリー型」と言われるもので、生真面目な人や几帳面な人のことをいいます。


うつ病を発症する人は、とても真面目な性格なので社会的には認められている人が多いのですが、その分、何かがあったときに誰にも相談できずに自分の中で抱え込んでしまうタイプが多いようです。


また、性格が似るという意味でうつ病には遺伝も関係してきます。

うつ病の治療として1番大事なのは、薬物療法はもちろんのことですが、とにかく休息することです。


ストレスを感じて脳が疲れてしまった状態なので、休息してまたエネルギーがたまってくると改善してきます。


うつ病は適切に処置を行えば必ず治る病気です。

ただし、初期状態を見逃し悪化してしまった場合にはまた再発する可能性がでてきます。

気をつけるべき症状としては、不安感や気分の落ち込み、突然涙を流すなどのいわゆる抑うつ状態で、それが「2週間以上続いたら」要注意とされています。


通常の精神状態でも抑うつ状態は現れることがありますが、うつ病ではない場合には数日で症状が改善されます。

うつ病と通常の抑うつ状態の違いは、症状が社会生活を犯してしまうほど激しく現れ、それが長期間にわたって続くところです。

また、うつ病は精神症状の他にも身体症状も現れることがあります。


「頭痛や倦怠感、不眠、食欲の低下または過剰な食欲、微熱など」です。

このようなうつ病のサインを見逃さずに病院を受診することがうつ病を重症化させない、または再発させないポイントです。

☆うつ病になって

私は調剤薬局に勤めていました。


以前勤めていた薬局ではそれなりの高い役職に就いていたのですが、上司と折り合いがつかずに退職し、心機一転してまたゼロからやり直そうと思い転職しました。

滑り出しは好調でした。


もともと薬剤師が1人しかいなかった薬局で、管理者は管理業務に追われてなかなか雑事までに手が回らなかったので、私に期待していたところもあったようです。

そして、私は期待されていた通りにきちんと日々の仕事をこなすことにやりがいを感じ、私の方から提案して他の仕事もやるようになりました。


もともと、そんな風にたくさん仕事をして忙しくしていることが大好きだったので、テンポよくそれらの仕事をこなしていました。


最初のうちはこういうのがいいのだと信じていました。

それがおかしくなってきたのは、テンポよくこなせなくなってきてからです。

具体的にどういうことかというと、残業もして頑張っているのに、なぜかどんどん仕事がたまっていくのです。

それまではできていた仕事が、できなくなってきた

今でこそ、それこそが明らかなうつ病の症状の1つだと思うのですが、その時はただひたすら必死だったのでおかしいと気づきませんでした。

そして、いつからか私はとても疲れるようになりました。

まず、お昼ご飯を食べなくなりました。

とにかく疲れて、お昼ご飯を食べる時間があったら寝ていたいとなり、お昼休みはずっと突っ伏して寝てるようになりました。

私がお昼休みの時にも患者さんは関係なく来るので、患者さんが来たら呼ばれます。

そして、昼寝を返上して投薬に。

家に帰っても「疲れた」の一言で夕飯も食べなくなり、帰宅したらすぐに寝るようになり、休日などもずっと家で寝ているようになり。

仕事をやっている以外の時間はすべて寝ているようになりました。

このあたりから、食欲の低下とともに不眠の症状も出てきました。

ご飯も食べずに寝ていたのですが、それは布団にもぐって転がっていただけで、ずっと眠っていたわけではないのです。

朝は4時ごろに目が覚め、それからは眠れずにひたすら寝返りを打っていました。

徐々に、朝に起きたら「あぁ、また1日が始まる…。なんて言ったら休めるかな」とどんよりとした頭で思い、寝るときには「明日地球が滅亡していないかな」と思うようになりました。

食欲不振はとどまることを知らず、数か月で10キロほど体重が落ちました。

私のそんな様子を見ていた母が、「ちょっと病院行った方がいいんじゃないの?」と言ってきました。

そこでやっと、私は自分の状態がおかしいことに気づきました。

☆うつ病を乗り越えて

病院を受診したところ、うつ病だということが判明しました。

まずは抗うつ剤を飲んで様子をみるということだったのですが、それでも改善されなかったために休職することになりました。

もうこの頃は仕事に行くのが苦痛で仕方がなかったのですが、休むなんて冗談じゃない、と強迫観念的に思っていたので、休職を勧められるとなぜだか体の力がふっと抜けた感じになったのが不思議で印象的でした。

しばらくは何も考えられずにただ寝転がっていたのですが、日がたつにつれ、気持ちが穏やかになっていきました。

天気がいい日には、日差しが心地よく感じられ、外に散歩にでも行きたいと思った自分に驚きました。

もうずいぶんと長いこと日差しが気持ちいいなんて考えたこともありませんでした。

半年の休職後、私は人材が潤沢な店舗に異動し、1か月のトライアル期間を順調に終えて無事に正社員として復帰することに成功しました。

通院やカウンセリングにより、自分が、必要以上に仕事に打ち込んで頑張りすぎる性格だということが分かり、今では仕事がうまくいかないと感じたときにはすぐに相談するように心掛けています。

☆うつ病を抱えているあなたへ

うつ病で苦しんでいる人たちは、まずはとにかく何も考えないでストレス元になっているものから離れるのが1番です。

「離れることは逃げだ」と考える人もいるかとは思いますが、逃げることも時には大事なことです。

うまく復職できた時にも、「自分ならできる」「頑張ればなんとかできる」などのように自分でなんとかしようと思わずにどんなことでも相談する、または相談できる相手を見つけることが重要です。

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以上、記事を作成していただきました。ありがとうございます。

大変と一言では片付けられない病気だと思います。うつ病は人材不足、環境の変化などが重なり年々増えていっています。この記事がうつ病と戦っている全ての人の役に立ちますように。

最後までお読みいただきありがとうございました。



カテゴリー:体験談

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