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発達障害とは。。?


発達障害者支援法において、「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
この中のどのタイプに当たるのかを明確に区別し分類することは難しいとされています。
なぜなら、以下の画像からもわかるように、症状が重なる部分や年齢や発達段階や環境により症状の見えにくさがあるからです。
まずは、発達障害をわかりやすく分類するに当たり、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害に分けて見ていきましょう。
●自閉症
対人関係が苦手、コミュニケーションができない、こだわりが強い、視線が合わないなどの特徴を持つ発達障害です。重症度によりますが、言葉が遅い、反響言語(オウム返し)、会話が成り立たない、字義通りの言語など、言語やコミュニケーションの障害が認められることがあります。
●アスペルガー症候
発達障害の一つで、社会性・コミュニケーション・想像力・共感性・イメージすることの障がい、こだわりの強さ、感覚の過敏などを特徴とし、自閉症と類似しているように感じますが、知能や言語の遅れがないものをいいます。
●注意欠陥多動性障害(AD/HD)
年齢あるいは発達に関係なく、不注意や落ちつきのなさ、衝動性などの問題が、生活や学業に悪影響を及ぼしす状態が、6ヶ月以上持続していることと定義されています。特徴的な症状として、「不注意さ」「多動性」「衝動性」が見られます。場に応じて自分の行動をコントロールすることが苦手であり、ミスや不注意などの症状が他の人と比べて目立ちます。
●学習障害
全般的な知的発達に遅れがないものの、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態をいいます。文字を読むことの流暢性や書くことの正確性に障害が生じます。無意識に単語や文のまとまりで読むことが難しく、一字一字読むことや語尾の読み間違えや書き間違えなどが見られます。普通よりも読むことに時間がかかるものの、普段の会話では問題なく流暢に話せるため障害があることに気づきにくい障害です。

最近では、自閉症やアスペルガー症候群など、境界線の曖昧な広汎性発達障害のことを総称し、自閉スペクトラム症(ASD;Autism Spectrum Disorder)としてまとめて表現するようになりました。(2013年のアメリカ精神医学会(APA)の診断基準DSM-5発表)


〇発達障害の原因〇
先天的に脳の一部の神経系に障害が生じることによるもので、はっきりとした原因は未だに不明とされています。
遺伝要因と環境要因が組み合わさったものとの考えもありますが、具体的にどの遺伝子が関連しているのかなどは解明できておらず確定的ではないようです。
育て方やワクチンによる影響などではありません。

〇発達障害の気づき〇
〇自閉スペクトラム症(自閉症・アスペルガー症候群)〇
1歳を過ぎることからしだいに症状が現れ、視線が合わない、指さしをしない、表情が乏しい、人に関心を示さないなどの様子が見られます。幼児期には、1人遊びを好み集団行動が苦手です。集中して遊ぶのが得意で邪魔されるとを嫌うなどの反応が見られます。
言語面では、自分の好きなことに関する話題であれば好きなだけ話すことはできるが、言葉のキャッチボールが出来ず、他者とのコミュニケーションが取れない、内容が空虚なことが多々あります。自分の中に生活パターンが存在し、突然の変更に対処することが苦手で、気持ちの切り替えができずにパニックになるなどの反応も見られます。
〇注意欠陥多動性障害(AD/HD)〇
好きなこと意外に集中することができない「多動性」や、思いつくままに行動してしまう「衝動性」や年齢に合わない「不注意さ」などの症状が7歳ごろまでに現れます。
小学生ごろになると、座っていても手足をもじもじする、席を勝手に離れる、おとなしく遊ぶことが難しい、じっとしていられずいつも活動する、しゃべりすぎるなどの症状が見られ、状況に合わせて自分をコントロールすることが困難です。
不注意の症状には、うっかりミスが多く、課題や遊びなどの活動に集中し続けることができない、やるべきことを最後までやりとげられない、作業の段取りが下手、整理整頓が苦手、集中力が必要なことをしない、忘れ物や紛失が多い、気が散りやすい、などがあります。
◯学習障害〇
●読字障害-漢字ひらがなが読めない、行や語尾を飛ばして読んでしまう、辿り読みをする。読むのを嫌がる。
●書字障害-漢字を正しく書き写せない(鏡文字)、板書に時間がかかる、行やマス目からはみだす。
●計算障害-計算ができない、時計が読めない、数字を読み飛ばす、筆算で数字がずれる。
学習障害は、学習が始まる小学生頃まで判断が難しい障害です。勉強において特定の科目が苦手な場合や読み書きに困難がある場合、学習障害の可能性があります。
※学習障害(LD)には、読字障害(ディスレクシア)、書字表出障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)などさまざまなタイプがあり、人によって症状の現れ方も違うので、診断が難しい障害でもあります。

〇不安を感じたら〇
自分の愛する子供に発達障害があるのではないかと不安に感じるお母さんは少なくありません。
そんなときに一つの目安となるのが、1歳6か月検診や3歳での乳幼児健診です。
社会性は0歳から築かれていき、言語も1歳前後から築かれていきます。
検査では他にも運動機能や視聴覚、精神発達の度合いなどもチェックします。
検診で行われる発達検査によって、お子さまの発達状況を把握するとともに、自閉症スペクトラム症(広汎性発達障害)などの先天性疾患や精神発達面での障害などを早期発見ができる場合があります。
子育てで不安を感じる際には、このような公的機関を利用することをおすすめします。早期に発達障害に気づけることで、今後の子育ての方法をしることができます。
医師や保健師、言語聴覚士などの専門家に心配事や悩みなどを相談できる場でもあるので、一人で悩まないことをお勧めします。

ライター名(ランサーズ名):Lin Let
<経 歴>
2012年に言語聴覚士資格を取得し、リハビリテーション病院回復期で2年、訪問外来リハをおこなう医院で3年の臨床経験があります。
臨床現場では、主に高次脳機能障害、摂食嚥下障害、構音障害などの疾患を持つ方を対象にリハビリを行っていました。
現在は海外で日本語教師などの仕事を行いながらライターをしています。
言語聴覚士がかかわる分野での疾患や体の機能などについて、わかりやすく説明できるように心がけています。
生活に役立つ情報を提供できれば幸いです。
カテゴリー:その他・予防法, 言語聴覚士【発達障害】