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健康番組で高血圧、高脂血症、糖尿病などが取り上げられたとき、必ず耳にするのが『動脈硬化』ではないでしょうか。
「動脈硬化って何ですか?」と聞かれたら、どんなイメージが浮かびますか?
動脈が硬くなる?!
血管が狭くなる?!
ハイ、どちらも正解です!
この動脈硬化っていうのは、なかかなの厄介モノなんです。
これが原因で、様々な病気が引き起こされるのです。
特に心臓と脳は、動脈硬化が原因で大病を引き起こすと言われています。
心臓の血管が狭くなれば狭心症、完全に閉塞してしまうと心筋梗塞。
脳の動脈が硬くなって破れると脳出血、くも膜下出血、閉塞すれば脳梗塞を引き起こすのです。
どれも命の危険だけでなく、生活に大きな支障をきたす後遺症が残ってしまう病気です。
今回、検査を専門とする臨床検査技師が、動脈硬化についてわかりやすくお伝えさせて頂きます。
もくじ
動脈をゴムホースに例えてみた
動脈をイメージしてもらいたいので、動脈をゴムホースに例えてみたいと思います。
新しいゴムホースは、弾力があってホースの中もキレイですね。
しかし、古くなったゴムホースは弾力が落ちて固くなり、ホースの中にも小さなゴミやカビなどが付着してヌルヌルと汚れてしまいます。
これと同じく動脈も赤ちゃんの頃は、弾力もあって血管の内側の壁はスベスベしています。
しかし、何十年と歳を重ねると弾力性が落ちた堅い血管になってきます。
これに生活習慣の乱れなどが加わることで、血管の内側の壁にコレステロールが溜まって狭くなってしまうのです。
改めて動脈硬化について知ってみる
1)動脈硬化は病名ではありません!
動脈硬化は、「血管が硬くなったり、壁が厚くなったりすることで血液の流れが悪くなってしまった状態」を言います。
2)動脈硬化には初期症状がありません!
動脈硬化は、初期症状が無いので気づかないうちに静かに進行していきます。
自覚症状が出た時は、何十年も前から進行していたというのが動脈硬化の怖いところです。
また、発作として自覚症状が現れた場合は、血管が完全に詰まった心筋梗塞や脳梗塞の時なので非常に危険です。
3)動脈硬化になる原因とは?
動脈硬化の原因には色々あって、回避できるものと回避できない危険因子があります。
《回避できる因子》
- 糖尿病
- 高血圧
- 高脂血症満
- 喫煙
- 肥満
これらは「動脈硬化の5大危険因子」と呼ばれていて、生活習慣を改善で動脈硬化の進行を回避することができます。
《回避できない因子》
- 加齢
- 男性
これについては、残念ですが自分でどうすることもできません。
4)動脈硬化が進行を続けると?
血管の内側の壁は、様々な刺激(危険因子)によって傷ついてしまいますが、白血球の一種である単球が修復をしてくれます。
しかし、高脂血症などによって血液中に過剰なコレステロールがあると、修復された部分にどんどん付着して壁が厚くなりコブ(プラーク)が形成されます。
このコブ(プラーク)が破れたときに血の塊(血栓)が出来て、血管を塞いでしまうことで心筋梗塞になったりします。
動脈硬化の検査について
動脈硬化の検査は、色々な検査があります。
今回は、その中でも人体に影響が少なく、臨床検査技師が実施している検査について紹介したいと思います。
ABI/PWV検査
あまり聞かない検査ですが、血管の硬さと足の動脈の詰まりを同時に調べる事のできる簡易的な検査です。
ABI:足の動脈の詰まりをみます
PWV:血管の硬さをみます
検査方法は、両腕、両足首に血圧計と心電計、心音計を装着して測定するだけですので、寝ているだけで大丈夫です。
検査時間は10分程度と短く、結果も直ぐに出てきます
費用は2000円程度ですのでお手軽に出来る検査だと思います。
頸動脈超音波検査
頸動脈は動脈の中でも観察しやすく、全身の動脈硬化の進み具合を判定することが出来ます。
また、脳に血液を運ぶ血管なので、検査をしておくことで脳梗塞の予防にも繋がります。
検査方法は、首にゼリーのついたプローブ(超音波装置)を当てて頚動脈を観察していきます。
検査時間は10~20分程度です。
費用は5000円程かかります。
この検査の特徴は、動脈硬化の有無、詰まり具合やプラークの観察がリアルタイムで行えます。
もし、動脈硬化があればプラークの大きさ、形状や性状を観察することで、血管の状態にあった治療方針が検討されます。
まとめ
動脈硬化は、加齢によっても進行しますが、生活習慣を見直すことで防ぐ事が可能です。
そのためにはバランスの良い食事、体を動かすなど生活習慣を見直すことが大事です。
今までの生活を突然変えるというのは難しいですが、日中は出来るだけ歩くように心がける、野菜のおかずを1品~2品増やしてみるなど、少しずつ改善すれば無理なく継続できるかと思います。
また、高血圧、糖尿病の方などは、医療機関で生活習慣の改善指導を行ってもらうことをお勧めします。
危険因子に複数当てはまるという方は、年に1度でも良いので定期健診などで検査してみてはどうでしょうか。
予防と早期発見を心がけて健康寿命を延ばしていきましょう!
ライター名(ランサーズ名):まさざね君
<経 歴>
臨床検査技師の国家資格を2000年に所得。
臨床経験は、総合病院で15年、癌・肺疾患専門病院で5年目になります。
臨床現場では、健診から救急患者まで生理検査を中心に従事しています。
臨床検査技師は、血液などの検査値だけでなく、細菌培養、画像診断、細胞や組織などについても検査して報告しています。
これらの検査を通して、病気の原因、検査、治療、予防など分かり易くお伝えしていきます。
気になるは病気について、少しでもお役に立てれば幸いです。
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