【臨床検査技師が教える】脂質異常を指摘されたら知っておくこと

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健康診断で脂質異常を指摘されたことはありますか?

40代を過ぎると、要再検(精査)または要医療と書かれた結果が返ってきた方も少なくないと思います。

私の職場でも40代以上のスタッフで約30~40%が、何らかの脂質異常を指摘されていました。

私事ですが、暴飲暴食や不規則な生活がたたり、40代前半の健康診断で要医療という最悪の結果が返ってきました。

当時、生活習慣改善スタッフとしてチーム医療に関わっていたにもかかわらず、自分の生活改善が必要とはお恥ずかしい限りです。

いちおう現在は、定期的な運動と食生活を改善したおかげで、何とかクリアしています。(汗)

さて、脂質異常症という名称ですが、以前は高脂血症と呼ばれていました。

この脂質異常症について、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思います。

もくじ

脂質異常症とは?

脂質異常症とは、体内の脂質が増えることで血液中に含まれる中性脂肪(トリグリセライド)コレステロールバランスが崩れてしまう事です。

発症原因は、生活習慣の乱れ(暴飲暴食、肥満、運動不足、喫煙など)やストレスなどが関係していて、約80%が生活習慣にあると言われています。

脂質異常症による自覚症状は特にありません。

自覚症状が無いため、危機感が薄れて放置しやすいのが、脂質異常症の怖いところです。

脂質異常を指摘されたにもかかわらず放置しておくと体内に脂質が増え続けます。

すると、血管に脂質の一種である悪玉コレステロールが付着して動脈硬化を引き起こします。

怖いのは、この時点でも明らかな自覚症状はありません。

放置を続けていると血管の内側に柔らかくて壊れやすいプラーク(粥腫)が形成されます。

これが大きくなって壊れた時に心筋梗塞脳梗塞などの発作を引き起こします。

この時、初めて脂質異常症の怖さを知ることになるのです。

中性脂肪とコレステロールの役割について

中性脂肪とコレステロールは体にとって悪いものでしょうか?

いいえ、体にとても大切なものです。

では、どんな役割を果たすのでしょう。

中性脂肪

中性脂肪は、運動する時のエネルギー源として使われます。

運動をすると、体内の糖が最初に消費されますが、不足してくると中性脂肪が使われます。

あまった中性脂肪は皮下脂肪や内臓脂肪として体内に蓄えるだけでなく、体温を保ったり、衝撃から体を守ったりします。

コレステロール

コレステロールは、肝臓で作られる胆汁酸の原料となって脂肪の消化吸収を助け細胞膜構成する成分ホルモン消化吸収を活発にさせる働きもします。

コレステロールには、善玉(HDL)コレステロールと悪玉(LDL)コレステロールがあります。

HDLコレステロールは、余分なコレステロールを回収して肝臓に運ぶので善玉コレステロールと呼ばれます。

LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身に運びますが、増えすぎると動脈硬化を起こすため悪玉コレステロールと呼ばれます。

体に悪影響を及ぼすキッカケについて

中性脂肪は、食事に大きく影響します。

暴飲暴食を繰り返すと過剰なエネルギーが脂肪として蓄積されて、血液中の中性脂肪の値が高くなります。

この時の血液の状態は、サラサラからドロドロに変化しています。

余談ですが、臨床検査技師「あるある」です。

ドロドロの血液かどうかは、採血をしただけでもわかります。

中性脂肪が多いと採血した血液の上清に白い油膜ができるからです。

話しを戻して、

中性脂肪が増えるとLDLコレステロールも増えるため、LDLコレステロールの値が高くなります。

HDLコレステロールは、増えすぎたLDLコレステロールを肝臓に運びきれなくなるため値が低くなります。

このように中性脂肪とコレステロールは、常に連動しています。

どちらかだけが良いという事は、ほとんどありません。

中性脂肪とコレステロールの検査

早朝空腹時に採血した血液が検査材料となります。

血液は、遠心機を使って分離されて上清(血清)を自動分析装置で測定されます。

中性脂肪150mg/dl以上、LDLコレステロール140mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満の数値になると脂質異常が指摘されます。

脂質異常を解消する

脂質異常解消の第一歩は、中性脂肪を減らすことです。

中性脂肪を減らすことでLDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やすことが出来ます。

中性脂肪を減らす方法は、食事運動です。

食事は、1日食で腹八分目バランスの良い食事(炭水化物と脂質を摂り過ぎない)です。

運動は、1日0分以上の運動を週回以上が推奨されています。

仕事などで運動をする時間が困難な時は、日常生活の中で体を動かす(出来る限り歩いて移動、階段を積極的に使うなど)のが良いとされています。

まとめ

脂質異常を指摘されても、早い段階で生活改善をすれば健康な体を取り戻せます。

しかし、急激な生活改善は無理なダイエットと同じく、気持ちが強くないと継続するのは非常に困難です。

まずは、自分の出来るところから計画を立てて、少しずつ生活改善していきましょう。

おかげで私は、今でも続けられています。

健康寿命を延ばして豊かな生活を送りましょう!

ライター名(ランサーズ名):まさざね君

<経 歴>

臨床検査技師の国家資格を2000年に所得。

臨床経験は、総合病院で15年、癌・肺疾患専門病院で5年目になります。

臨床現場では、健診から救急患者まで生理検査を中心に従事しています。

臨床検査技師は、血液などの検査値だけでなく、細菌培養、画像診断、細胞や組織などについても検査して報告しています。

これらの検査を通して、病気の原因、検査、治療、予防など分かり易くお伝えしていきます。

気になるは病気について、少しでもお役に立てれば幸いです。



カテゴリー:臨床検査技師【検査値】, 検査値

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