【エピソード⑬】地味につらい~多汗症とはどんな病気?~

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もくじ

●多汗症とは?

日本皮膚科学会のホームページによると、多汗症とは、病名のとおり過剰に汗をかく”汗の病気”のことをいいます。

また、多汗症には2種類のタイプがあり、全身の汗が増加してしまう「全身性多汗症」と手のひら、足の裏、脇、背中、顔など身体の一部分の汗が急増する「局所性多汗症」に分類されています。

全身性多汗症は、内分泌代謝異常や神経疾患、局部性多汗症は、外傷や腫瘍などの神経障害が要因となって発症することがあります。

また、特に原因がないにもかかわらず過剰な発汗が生じてしまう場合は「原発性多汗症」と診断されます。

                   

●多汗症の特徴は?

多汗症の症状としては、大量の発汗のみです。

私の場合は、原発性局部性多汗症に分類され、特に多汗症を発症するような基礎疾患を患っているわけではありませんが、手のひら、足の裏にのみ過剰な量の発汗症状が現れます。

多汗症は、命に関わるような深刻な病気ではなく、日常生活も普通に送ることができるため、きちんとした治療を行う患者さんが少ないことが特徴です。

日本では手のひらに症状が現れる原発性多汗症の有病率は人口の約5.3%、脇に症状が現れる原発性多汗症の有病率は人口の約5.7%と疾患率は非常に高いですが、実際に治療を行っているのは、疾患者の1割程度とされています。

このように、多汗症は症状を感じていながらも病院を受診している患者数は非常に少ないです

特段緊急性の高い病気ではありませんが、日常生活で不便に感じるほど発汗するのあれば、一度皮膚科を受診してみると気持ち的にも楽になるかとおもいます。

●私の闘病記録

先にも記したとおり、私は原発性局部性多汗症を患っています。

私が原発性多汗症と診断されたのは、高校生の頃でした。

小さいころから、気が付くと手足が湿っているという経験が多かったですが、緊張しやすい性格だったため、手のひらや足の裏から汗がでるのは緊張のためだろうと思い特に気に留めることもなく幼少期を過ごしていました。(実際に多汗症による手足の発汗は、精神的緊張によって引き起こされます。)

しかし中学生になったころから、大量の汗が原因で不便な思いをすることが多くなりました

具体的には、次のようなことがありました。

  • テスト用紙が手汗でふやけてしまいテスト用紙が破けてしまう。
  • パソコンのキーボードが手汗でびしょびしょになってしまう。
  • 足汗のせいで足元が蒸れ、人前で靴を脱げなくなってしまう。

など、様々な弊害が生じてしまい恥ずかしい思いをする機会が増えてしまいました

高校生になったころには、多汗症が原因で完全な手汗キャラが定着してしまい、初めてできた彼氏とは手が繋げず、手足の発汗をとても深刻にとらえるようになっていました。

そこで、近くの皮膚科を受診したところ、原発性の局部性多汗症と診断されました

皮膚科の先生から、私の場合は特に手足の発汗量が多いため治療を本格的に行うことをおすすめされました。

●多汗症の治療法とは?

私が先生から提案された診療方法は2つありました。

1つ目:イオントフォレーシス

水道水の入った容器に手足をつけ、その水の中に弱い電流を流す治療法です。

身体的な負担は少ないですが、私のような重度の患者には根気のいる治療法です。

なかなか効果が現れず、継続的な治療が必要となります。

2つ目:胸部交感神経節切断術

背骨の脇にある胸部交感神経を切除する手術によって、発汗を止める治療法です。

こちらの手術は、交感神経を切除することにより、確実に手の発汗を抑えることが可能になります。

しかし、副作用として手以外の場所(背中、お尻、顔)から発汗する「代償性発汗」が生じてしまいます

また代償性発汗は、手術を受けた人の9割に現れます。中には多量の代償性発汗が生じて、軽い運動をしただけでも、背中やお尻から多量の発汗が生じてしまうケースもあるそうです。

●治療を受けてみて

先生からの提案を受け、家族に相談をして私がまず選んだ治療法は、イオントフォーレシス治療法です。

交感神経の切断手術はどうしても副作用が気になってしまい、確実に手汗を止められると説明をされても、「手術を受けてみよう!」という決断に至ることができませんでした。。

そこで、イオントフォーレシス治療でまずは地道に根気よく治療をしていくことにしました。

治療期間は半年ほど、週に2回ほど通っていました。

1回の治療は30分ほどで、電気水に手足を浸しひたすらじっとしておくというシンプルな治療法でした。痛みはありませんが、やはりピリピリした感覚はありました。また、皮膚科の先生が電流の強さも調整してくれたため、安心して治療を受けることができました。

そして、半年の治療の気になる効果は、、、、

「手汗はなおりませんでした!(笑)」

率直に言いますとほとんど効果はなく、手汗が改善することも、悪化することも私の場合はありませんでした。

私は重度の多汗症なので、やはり交感神経の切除手術が一番効果的だったのかと思います。

●多汗症との向き合い方

多汗症治療のその後として、私は結局交感神経の切除手術は行っておりません。(副作用による新たな弊害が怖いため)

現在も、ひどい時は手汗で手指が腫れてしまう日がありますし、日常生活で不便に感じることも多々あります。

しかし、前ほど深刻に考えることもなくなってきました。

気持ちの持ちようが楽になったのは、多汗症という病名がついていることと、ちゃんと病気と向き合える期間があったからだと思います。

昔は手汗のことを誰かに知られることが恥ずかしくて仕方ありませんでしたが、今は自ら病気の事を打ち明けるようにしています!

先に申告しているとだいたい皆さん理解してくれます。

また、手足のこまめなケアも心がけるようにしています。

例えば、

  • 手足をこまめに洗うように意識をする
  • パウダーを手足にのせて清潔な状態を保つ

以上のようにしています。

私は手足の発汗量が尋常ではないので、水分補給も意識して行っています!

今後良い医療法が見つかれば、もちろん治療をしていきたいですが、今は焦らず自分の病気を受け入れています。

完治が難しい病気ではありますが、意外にたくさんの人が悩んでいる病気でもあるため、前向きに病気と向き合っていこうと思います。



カテゴリー:体験談

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