この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

認知症という言葉、最近は聞きなれてきましたね。認知症といっても、病院で診てもらわないといけないし、予防なんてできないと思っておられる方も多いのではないでしょうか?そもそも、認知症ってどうやって判断するのでしょうか?ご存じでしょうか?
もくじ
簡易検査:長谷川式認知症スケールとミニメンタルステート検査
認知症の疑いがある場合は、病院に受診し問診や簡易検査を受けます。
その際に受ける簡易検査をご存じでしょうか?その検査は主に2つあります。
一つは長谷川式認知症スケール(HDS-R)です。
もう一つは、ミニメンタルステート検査(MMSR)です。
どちらも10分~15分程度で行うことが可能な簡易な検査です。
長谷川式認知症スケール(HDS-R)
精神科医の長谷川和夫先生によって開発された検査で、限られた時間と限られたスペースで、医師が効率的かつ公平に認知機能の低下を診断するために開発されました。各項目ごとに点数が割り振られており、30点満点で、20点以下だった場合、認知症の疑いが高いと言われますが、この診断結果はあくまでも参考です。
ミニメンタルステート検査(MMSR)
認知機能を測るための項目として(算数、筆記、身近にある物の名前を言う、図形の模写)から質問をおこない、その正解率を点数化して認識力、理解力、見当識を判定します。30点満点中、27点以下で軽度認知障害(MCI)疑い、23点以下で認知症疑いになります。現在、長谷川式認知症スケールとならびよく使用される評価方法です。

どちらの検査も簡易検査なので、点数が悪いからと言って認知症であると判断はできません。あくまでも目安です。
このような簡易検査が行われ、認知症の疑いがある場合に精密な検査が行われる運びとなります。
このような簡易検査は、実際に家庭でも検査することが可能です。
インターネットでこの検査名を検索すると、検査項目や検査用紙をダウンロードすることもできます。
ここでは、長谷川式認知スケール検査の検査項目を実際に見てみましょう!!

【長谷川式認知スケール検査の内容】
(1) 年齢
・年齢はいくつですか
(2) 日付の見当識
・今日は何年ですか
・何月ですか
・何日ですか
・何曜日ですか
(3) 場所の見当識
・私たちが今いるところはどこですか
(4) 即時記憶
・これから言う3つの言葉を言ってみてください
1)桜、猫、電車
または
2)梅、犬、自動車
・後でまた聞きますのでよく覚えておいてください
(5) 計算
・100から7を順番に引いてください
・それからまた7を引くと
(6) 逆唱
・私がこれから言う数字を逆から行ってください
「6-8-2」
「3-5-2-9」
(7) 遅延再生
・先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください
※回答がない場合のヒント:植物、動物、乗り物
(8) 視覚記憶
・これから5つの品物を見せます、それを隠しますので何があったか言ってください
※時計、鍵、ペン、硬貨、くしなど必ず相互に無関係なもの
(9) 語想起・流暢性
・知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください
ご覧になってわかるように簡単でだれでもできる内容です!!
この項目を工夫することで、家庭でも簡単に認知症予防を行うことができます。


家庭で実践しやすいもの!
見当識
①毎日日付のチェックをする
カレンダーに印やシールをつけることで、曜日感覚を忘れないように意識させるこつができます。
②自分の名前と家族の名前を書く
自分の名前や身近な人の名前は忘れにくいものです。名前を思い出すだけではなく実際に書くことで、家族構成を再認識することが可能です。思い出話のきっかけづくりにもなります。
記憶力(短期記憶)
③3つのもの当てクイズ
机の上にあるものや身近なものを3つ用意し、名前を言った後に隠します。もう一度、さっき見た3つのものを当ててもらいます。数秒から数十秒の記憶を短期記憶といいます。
記憶力(長期記憶)
➃3食当てゲーム
朝、昼、夜、何を食べたかを答えてもらいます。数時間以上経過した内容は長期記憶に分類されます。
⑤トランプカード
神経衰弱のように数字やマーク合わせのカードゲームを行います。
枚数をへらすことや数字を一桁にそろえるなどの難易度の調整を行うのもいいかもしれません。
語想起
⑤しりとり
簡単なゲームのようですが、頭文字が合わるのでいろんな言葉の想起を意識的に行えますし、楽しくおこなえるのがいいですね。口を動かすこと声を出すこともいい刺激です。
⑥文字・絵しりとり
文字で書きながら漢字やひらがなを想起しながらかくことや、形や色を想像しながら書くことも頭の体操になります。また、手を使うことでより脳に刺激を与えることができます。

ほかにも楽しく行えるいろんなゲームを家族で考えて行えるかもしれません。
大切なのは、誰かに会って話すこと!
家族とのコミュニケーションが頭にも心にも大切です。
ぜひ、家族みんなで行ってみてください!!
ライター名(ランサーズ名):Lin Let
<経 歴>
2012年に言語聴覚士資格を取得し、リハビリテーション病院回復期で2年、訪問外来リハをおこなう医院で3年の臨床経験があります。
臨床現場では、主に高次脳機能障害、摂食嚥下障害、構音障害などの疾患を持つ方を対象にリハビリを行っていました。
現在は海外で日本語教師などの仕事を行いながらライターをしています。
言語聴覚士がかかわる分野での疾患や体の機能などについて、わかりやすく説明できるように心がけています。
生活に役立つ情報を提供できれば幸いです。
カテゴリー:その他・予防法, 言語聴覚士【認知症】, 言語聴覚士【認知症】, 認知症