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脳の仕組みをご存じですか?
脳梗塞や脳出血などで脳に障害が起きた場合、麻痺や言語障害、半盲や感情失禁などが見られます。
なぜ、いろんな症状が見られるのでしょうか?
それは、脳には場所によって様々な役割があり、その役割が妨げられることによって症状がでます。
その役割っていったい??
役割を知るためにもまず、脳の部位につい調べてみましょう。
もくじ
脳の役割
脳には大脳、小脳、脳幹が存在します。これらを、中枢神経系といいます。
大脳
脳の中で一番大きな脳で一番発達した部分です。
大脳には、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に区分されています。
小脳
筋や腱、関節からの深部感覚や内耳からの平衡感覚、大脳皮質からの情報を受けて、運動の強さや力の入れ具合、バランスなどを計算して調節するという、運動調節機能を担当しています。
脳幹
脳幹部は、間脳、中脳、橋および延髄から構成されております。呼吸、循環など生命活動の基本的な営みを支配すると供に、知覚情報を大脳皮質に中継したり、末梢に向かう運動指令を中継する機能を担当しています。

中枢神経系はこのような構成をなし、様々な感覚器官と連携するように、筋肉や腺などがはりめぐらされています。
これら、感覚器と連結するものを抹消神経系といいます。

大脳の役割
今回は、中枢神経系おもに大脳に限定し脳の役割について学んでいきましょう。大脳は前後左右で分けられます。
前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉です。具体的に見ていきましょう!
前頭葉 (前頭前野)
前頭葉は、前頭前野、運動野、運動前野に分かれています。
運動野や運動前野は、頭頂葉付近に存在します。運動がつくことからわかるように体の運動機能・遂行機能を司どっています。
前頭前野は、思考・創造性・生きていくための意欲・情動など脳の最高中枢といえる部分で、人間らしい生き方をするために必要な部分といえます。ですから、前頭前野は脳の司令塔とよばれるほど重要な位置を占めています。
前頭葉には、Broca野という言語領域が存在し、そこを傷害した場合、運動性失語症(Broca失語)の症状が見られます。
〇ここで問題が起こると〇
・意欲低下
・注意力の低下
・発動性・情動性の低下
・思考・判断力の低下
・人格荒廃(感情の消失により人格が変化していく)
・易怒性(怒りっぽくなる)
・脱抑制(自分の衝動を抑制しコントロールできなくなる)
頭頂葉
体の感覚を認識する部分と共に、体を取り巻く環境を認識する部分です。体性感覚の他、空間の認識、物体の認識、立体の認識、読み書きなどを認識しています。手や足や目から入る刺激や情報を統合し、認識する役割を担っています。
〇ここで問題が起こると〇
・半側空間無視(視覚に問題ないが半身を認識できない)
・身体失認 (触れられている部分がわからない)
・観念失行(日常で行う一連の動作ができない)
・観念運動失行(指示された動作ができない)
・構成障害(立体的な絵がうまく書けない。模写できない)
・失読失書(書けていた字が書けない。読めない。)
・着衣失行(着衣動作や脱衣動作ができない。)
・Gerstmann症候群(ゲルストマン)
(指や左右の認識ができない。書く・読む・計算することができない。)
側頭葉
言語の理解、記憶、聴覚、判断力、感情の制御などの役割があります。
一次聴覚野という部分が存在し、耳から受けた情報を音として感知し理解する部分です。すぐ近くにWernicke野(ウェルニッケ)という部分が存在し、言葉を音として聞いて理解する役割を果たしています。ここを傷害した場合、感覚性失語(Wernicke失語)という症状がでます。
深部には海馬や偏桃体が存在します。
海馬は記憶の中枢と呼ばれ、一時的に記憶を保管するする役割を果たすと考えられています。
偏桃体は、本能的感情を司る場所であり、「恐怖」「不快」などの本能的感情が外部の刺激により生じた場合、この偏桃体が活性化します。それにより、心拍数の増加や血圧の上昇などの身体的な反応が生じます。
〇ここで問題が起こると〇
耳から入ってきな情報を処理できづ正しく認識できなくなります。
・聴覚性失認(聞こえる音が何の音かわからない)
・感覚性失語症(流暢に話せるが聞いた内容を理解できない)
・記憶障害
・ユーモアがなくなる
後頭葉
一次視覚野や視覚前野があり、視覚的に入る色や形や動きなどを抽出し、物体認識や空間認知を行います。
〇ここで問題が起こると〇
・Anton症候群(アントン症候群)
視覚性病態失認とも言い、見えていないにもかかわらず、見えていると言うことや、見えていないことに平然として、見えているようにふるまう症状。
・物体失認(見ているものの形を認識できない)
・相貌失認(身近な人や知っている人の顔を認識できない。声を聴けば認識できる)
・色彩失認(色の違いを認識できない。モノクロに感じる)
・視覚性運動盲(物体の動作を認識できず、静止画に感じる)

まとめ
このように、脳には様々な役割が配分され存在し、連携し合って機能していいることがわかります。
脳に張り巡らされている神経や分泌される神経伝達物質も様々に存在します。
私たちの体は司令塔である大脳か指示を受け、問題なく伝達されることで円滑に体を動かすことや認知することが出来るんですね。
普通に生活できていることが奇跡ですね!
繊細に造られているだけあり、脳の構造や働きすべてを理解することはまだできていないようです。
自分の体なのに知らないことってたくさんあるんですね!
様々な体の仕組みについて是非ほかのページもご覧になってみてくださいね!!

ライター名(ランサーズ名):Lin Let
<経 歴>
2012年に言語聴覚士資格を取得し、リハビリテーション病院回復期で2年、訪問外来リハをおこなう医院で3年の臨床経験があります。
臨床現場では、主に高次脳機能障害、摂食嚥下障害、構音障害などの疾患を持つ方を対象にリハビリを行っていました。
現在は海外で日本語教師などの仕事を行いながらライターをしています。
言語聴覚士がかかわる分野での疾患や体の機能などについて、わかりやすく説明できるように心がけています。
生活に役立つ情報を提供できれば幸いです。
カテゴリー:脳疾患, 言語聴覚士【脳疾患】