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みなさん、足がむくんだり、顔がむくんだりした経験があると思います。
また、手術を受けたことがある方の中には、術後にリンパ浮腫を経験された方、今なおリンパ浮腫で苦しんでおられる方もいることと思います。
美容・リラクゼーションを目的としたリンパドレナージュと、手術後などのリンパ浮腫治療を目的としたリンパドレナージュの違いも含めて、今回は、リンパドレナージュ(リンパマッサージ)について詳しくお伝えします。

もくじ
リンパドレナージュとは?
リンパドレナージュ(またはリンパドレナージ)は、リンパの流れに沿って皮膚をなでるような力加減で行う手技のことです。
リンパは体表のすぐ近くを流れているため、強い力で圧迫すると、リンパ管が潰れてしまい、リンパが流れなくなってしまいます。
リンパ液の流れを活性化することで、身体にとって不要な老廃物が体外に排出されます。
リンパ液は、簡単に言うと、血液をこしたものと考えると分かりやすいかもしれません。
毛細血管から漏れ出た組織液が、リンパ管に流れ込んでリンパ液となります。
局所からリンパ管、リンパ節を通って運ばれたリンパ液は、静脈に流れ込んで心臓にもどります。
リンパ浮腫・むくみとは?
立ち仕事で足のむくみがつらい、夕方になると足がむくんでくる、という悩みをかかえている人は多いのではないでしょうか?
立ち仕事だけではなく、正座をしたり、虫に刺されたり、怪我をしたり・・・いろいろな原因でむくみが生じます。
むくみの原因は、リンパの流れが妨げられることです。
リンパ管には、動脈のように心臓から送り出される血液のような流れはありません。
動脈の拍動の力を借りたり、筋肉の動きなどの力を借りて、ゆっくりと運ばれていきます。
このため、疲労、寒さ、ストレスなどに影響を受けやすく、流れが滞りがちなのです。
手術をしてリンパ節が切除されてしまうと、リンパの流れが滞り切除した箇所から末端にかけて局所的に浮腫が起こることがあります。
術後全員に起こるわけではありませんが、半数以上の方が手術後に1cm以上の浮腫が起こっているという調査結果もあります。

美容リンパドレナージュの目的
美容やリラクゼーション目的のリンパドレナージュは、デトックス作用や血行促進効果を期待して行われます。
主にエステサロンなどで行われることが多く、人気のメニューです。
オイルを使った施術をしているところも多いようです。
むくみを取るほか、肌の調子を整えたり、肩こりや冷え性の軽減にもよいとされています。
軽くリズミカルなタッチで行うため、副交感神経が優位になりリラクゼーション効果もあります。
医療徒手リンパドレナージュの目的
医療目的リンパドレナージュを行えるのは、リンパ浮腫療法士(LT)のみです。
これは、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師の国家資格保持者しか取得できません。
医療機関以外に、民間で「リンパドレナージュ 」や「リンパマッサージ」をうたって施術する施設もありますが、これらは医療用のリンパドレナージュとは異なります。
また、リンパドレナージュはリンパ浮腫治療のメインの方法ではありません。
複合的理学療法といって、
・スキンケア(皮膚管理)
・医療徒手リンパドレナージュ(マッサージ)
・圧迫療法(弾性包帯・弾性ストッキング)
・圧迫下での運動療法
という4つの基本療法を組み合わせて行います。
患者自身が行うセルフマッサージやセルフ圧迫も日常生活では必要となります。

医療機関と患者本人が連携し合って継続していくことが大切な治療方法です。
リンパ浮腫療法士がいる施設は以下のサイトから確認することができます。
リンパ浮腫療法士在籍施設
リンパ浮腫の治療法
まず初めに、リンパが静脈にでていくところの出口や、鎖骨下・脇の下・鼠蹊部などリンパ節が多くあるところをマッサージして、滞りをなくし、流れがよい状態にしておきます。
その後、身体の末端から順にリンパを流していくという流れで行なっていきます。
体液区分線といって、リンパの流れる方向を区分する分水嶺があるので、その区画ごとに行います。
リンパ管を潰さないよう適度な圧で、リンパの流れのリズムをつくるようにテンポよく行います。
リンパドレナージュは、マッサージをする「順序」と「圧加減」がとても重要です。
リンパドレナージュの禁忌
以下の場合は施術を受けないようにしてください。
・感染症による急性炎症
・心性浮腫、心不全
・下肢静脈の急性疾患
・悪性腫瘍の治療中(医師の許可のもとで施術することもある)
・甲状腺機能障害があるとき
・妊娠中(とくに妊娠初期)
・免疫にかかわる疾患があるとき
・外科手術直後のとき
その他、基礎疾患のある方は主治医の許可をもらってから施術を受けるようにしてください。
体験談
私はお酒を飲むと、足がとてもむくみやすいです。
ですので、お酒を飲む前には必ず鼠蹊部と膝裏のリンパ節を揉みほぐしておきます。
そして、お酒を飲みながらと飲んだあと、足を優しく両手で包むようにしながらゆっくりと、つま先から足の付け根にかけてマッサージをします。
そうすると、足がむくんで重だるいということが少なくなります。
お風呂の湯船に浸かりながらマッサージを行うのもおすすめです。

ライター名(ランサーズ名):nejimakidori
<経 歴>
平成16年薬剤師免許取得。
平成29年鍼師・灸師・あん摩マッサージ指圧師免許取得。
調剤薬局に15年以上勤務。鍼灸あん摩マッサージ指圧師免許取得後は、薬局と鍼灸指圧治療院でダブルワークをしていました。
現在は漢方薬を扱う薬局でフリーランス薬剤師をしながら、ライターをしています。
温故知新の精神で主に東洋医学分野の記事を書いています。
東洋医学を通して学んだ知恵や知識を、現代の生活やみなさんの健康に役立つ情報として発信していきたいと思っています。
カテゴリー:あん摩マッサージ指圧師【マッサージ】, その他・予防法