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もくじ
ADHDに用いられる薬剤
ADHDの薬は4種類の薬剤が発売されています。
現在発売中のADHD治療薬
【コンサータ】
作用機序:
脳内のドパミンとノルアドレナリンの働きを強める
特徴:
1日1回の服用で約12時間効果が持続する
1回の投与で効果が現れる。食欲不振、寝付きが悪くなるの副作用は効果と同じくぐらいあらわれるので、服用時間は午前中が望ましい。
【ストラテラ】(後発医薬品あり)
作用機序:
脳内のノルアドレナリンの働きを強める作用
特徴:
脳の覚醒が比較的少ない。
内用液剤が用意されている。
【インチュニブ】
作用機序:脳内のノルアドレナリンの受容体であるα2A受容体を刺激することでシグナル伝達を改善する。
【ビバンセ】
作用機序:体内でd-アンフェタミンに変化して作用を発揮する。
覚醒剤原料との指定を受けているので、他の薬剤で効果がない場合のみに用いる。
コンサータについて
最初に発売されたのは、コンサータです。
コンサータとリタリン錠の関係
コンサータはメチルフェニデートの徐放剤です。
メチルフェニデートはリタリン錠という名前で1961年に薬価収載され、抗うつ剤、慢性疲労、ナルコレプシーの治療薬として用いられていました。再審査も終了していました。
うつ病の抑うつ作用に関しては、現在発売されている最も新しい薬よりも即効性で確実な効果を示しました。
しかし、リタリンには依存性があり、またうつの場合には症状改善時に自殺企図のリスクが高まります。
実際に依存性を持ったうつ病患者が自殺したことが問題になって、リタリンに関してはナルコレプシー以外の効能はなくなりました。ここで問題にすべきはリタリンの処方を漫然と行っていた医者の方にあります。
コンサータはADHDの問題行動を抑えるのに切れ味がありますが、血中から消失するとその効果は消えます。
効果持続時間は12時間。朝、学校へ行く前に飲むと、ほぼ正常な学校生活を送ることは可能ですが、帰ってきて効果が切れるとまた家庭で問題行動を起こす可能性があります。
コンサータはADHDの対症療法剤です
コンサータを初めとしてADHDの治療薬は対症療法(症状を抑えるだけ)であり、ADHDという病気を治すものではありません。
今のところはADHDの子供が問題行動を抑えることは、年齢を重ねることによって徐々に改善することが分かっています。認知行動療法によってその効果は促進することも明らかになりつつあります。
コンサータはリタリンと成分が同じことから悪い薬であると断言する方がたくさんおられます。くすりは逆さまから読むとリスクとよめるようにどんな薬も副作用が存在します。また切れ味の鋭い薬ほど、副作用が強いことはよくあることです。
コンサータは効果がある間には食欲不振が続き、給食を食べるれない場合が多くあります。しかし、学校に行っている間だけ効果を示すような服用方法であれば、依存性となる可能性はかなり低くなります。
土曜日曜に関しては休薬していてもADHDの症状がでるかもしれませんが、副作用や依存症状がでることは非常にまれです。
漫然と使うと大変危険な薬である事は間違いありませんが、学校で問題行動を抑えることだけに絞ればかなり有用な薬です。
コンサータに続くストラテラとインチュニブに関しては即効性は認められていません。最低2週間飲み続けてやっとすこしおとなしくなる程度です。長期投与によってスコアが改善するようなデータが示されていますが、先ほど述べたように年齢を重ねることによってスコアは改善します。
ビバンセは覚せい剤原料と指定されていますが、コンサータと同様に即効性があります。
対症療法の薬を使う際に注意すべきこと
対症療法の薬はステロイドと同じで漫然と使うのではなく、必要最小限に使うことが大切です。
お医者さんや臨床心理士の方は薬の性質とその他の認知行動療法(ADHDでいえばペアレントトレーニングやソーシャルスキルトレーニング)を重視して、本人が社会生活を送れるような行動療法に力を入れる必要があると思います。
時間がかかり、実際に質の高い認知行動療法を行える人材が病人に対して少ないことは明らかです。
働き方改革にはソーシャルスキルトレーニングが必要な人に行き渡る政策も必要かと思います。
このブログは著者の許可をえて楽天ブログ「アラ還のひとりごと」より引用・加筆したものです。
[…] ータとビバンセと脳内シグナル伝達活性化剤のストラテラとインチュニブがあります。こちらの記事(【製薬会社開発部員のひとりごと】コンサータはそんなに悪い薬?)も御覧下さい […]