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もくじ
パニック障害とは、どんな病気?

これまでに大きな病気をしたことがない人でも突然、手足の震えや動悸、息切れなどの症状が繰り返し現れ、「このまま死んでしまうのではないか」と強烈な不安に襲われることで日常生活にも支障をきたす病気です。
早期のうちに治療をせず、そのまま放置してしまうと広場恐怖症やうつ病なども併発する場合もあります。
パニック障害の症状は個々で異なるため、なかなか自身では気づけないことも多々あります。一般的な症状としては下記の通りです。
- 手足の震え
- 冷や汗
- 動悸
- 息切れや過呼吸
- のどの違和感
- 胸焼けのような胸の痛み
- 吐き気
- 食欲不振
- ほてりや寒気
- めまい
- 宙に浮くような感覚(浮遊感)
- 死んでしまうのではないかという強い不安
- 発狂してしまうのではないかという恐怖感
実際にパニック障害になって感じること
パニック障害のイメージとして、「症状名の通り、とにかくパニックになってしまうのだろうな」と恐怖心など、そのくらいしか考えていませんでしたが、いざその感覚を味わうと想像以上の恐怖感と不安感でいっぱいになりました。

明確なメカニズムも未だわかっておらず、
「甘えているだけではないのか」
「急に度々死にそうになるなんて嘘ではないのか」
と私もかつて言われたこともあり、なかなか理解されにくい病気です。
甘えや嘘などと言われてしまう要因としては、”普段は普通に生活できる”からではないかと個人的には思います。
仕事や生活をいつも通り行っている人が突然、「怖い!不安!」とパニックになっても症状がない人からすれば訳が分からず、一過性のストレスだと考えるのは、ごく普通の考えなのかもしれません。
パニック障害を患ってからの不安と言えば、
「死んでしまうのではないか」
「一生このまま辛い状態が続くのではないか」
など、何をしていてもネガティブな考えがつきまとうこともあり、そう考える方は少なくないのではないかと思います。
ですが、パニック障害の発作で死んでしまうことはありません。
また、一生辛い状態が続くのではという不安は、治療によって寛解、または完治することは可能です。
「パニック障害…?」私の診断までの経緯

ここでは、少し私の身の上話をさせていただこうと思います。
パニック発作が初めて起こったのは小学校4年生の頃でした。次の授業が体育だったため、体操着に腕を通したときに初めて強い動悸を感じました。
すぐに保健室に行かせてもらい、脈を図ったところ、1分間で150回ほどの頻脈を起こしていました。
冷や汗や酸欠、頭痛やめまいなど、これまで体験したことがない症状でそれこそ「死んでしまう!」と強い不安を感じたことを覚えています。
その発作は度々起こり、大きな病院で精密検査を行っても何も見つからず、成長期の症状だろうと診断されていました。
発作のきっかけは大げさなものではなく、主に下記の状況になると発作が起きやすかったと思います。
- 人が大勢いる場所
- テスト中
- 論理的に話せない時(不満があるときに、うまく話せない等)
- 大声やクラクションなど大きい音に敏感になる
- イライラしている人や機嫌が悪そうな人と関わる時
まとめると、その場から逃げ出せないと思うと苦しくなったり、強いストレスを感じると症状が出やすくなることが、今になってわかります。
ですが、当時は何もわからないまま学校を休んだり、なんとか誤魔化し生活していました。
そんな中、ある時に総合病院の医師から「心療内科に診てもらってはどうだろう?」と、提案をいただき、18歳の時、初めて心療内科にて「パニック障害」と診断されました。
正直な所、病名がわかり少し安心した記憶があります。「病気のせいで、出来なかったことも多々あったんだ」と。
パニック障害の治療

一般的にパニック障害の治療には、2種類の方法があります。
薬を用いる治療
基本は、メイラックスやデパスなどの抗不安剤やSSRIなどの抗うつ剤を用いて治療をしていきます。
症状や症状の度合いによって、薬の種類や服用量を医師が調整し、効果によって薬の変更や量を調整していきます。
認知行動療法による治療
現段階では、脳が危険性がないのに危険だと過剰に不安を感じてしまうことがパニック障害の原因といわれており、危険性の相違を正す目的で認知療法を行います。
外出が出来ない方は、まず近所を散歩したり、慣れたら発作が起きた場所に行き、また慣れたら、実際に発作が起きた状況を再現しながら最後まで出来るか少しずつ段階を踏みながら治療を行います。
私も、あまりの恐怖感から約6ヶ月以上外出できない期間があり、仕事も退職することになりました。
その間、処方薬を服用しながら、まずは靴を履くところから始めました。
靴を履くことに慣れたら、ドアを開けて外の空気を吸い近くの公園まで歩いてみて、また慣れたら駅まで歩いてみるなど、時に足踏みをしながら少しずつ治療を続けました。
パニック障害の治療を続けた経過

私の場合は、精神安定剤などの薬を服用することに抵抗があり、なかなか徹底した治療ができませんでした。
しかし、心の痛みや体の痛みは自分の声だと捉えるようになり、薬を服用することを拒絶しなくなってから1年後、寛解に近いほど回復しました。
根本的には、薬を服用しなくても生活できるようになりたいという思いがあったため、そこを目的として焦らずゆっくりと靴を履くところから始め、ドアを開く、空気になれたら近くの公園など1歩ずつ治療を行いました。
現在は、日常的に安定剤などは服用しておらず、頓服として持ち歩く程度にまで回復しています。
パニック発作も1年に3~5回ほど出ますが、18歳のころから比べたら劇的に減っています。
発作が出たときには、お守り代わりの頓服薬や水、飴などの安心要素を活用したり、仕事場や歯科医院など関わりがある場には、事前に症状を伝えておくことで周りも対応がしやすくなり、安心感から発作も治まりやすくなりました。
まとめ

パニック障害を通して、私は人生の見方がガラッと変わりました。
現在、パニック障害で悩んでいる方は本当に辛く険しい道だと感じていると思います。
しかし、パニック障害は治療によって寛解することが可能で、完治も可能性があると言われています。
現在、私は完治を目指すというよりかは、どう付き合っていくかを考えています。それは、元々症状は身体からの通告であり、「無理しすぎないでよ!」というアドバイスでもあるのではないかと思っているからです。
たまに強い不安を感じることもありますが、処方薬を服用しなくてもコントロールできるようになってきています。
まずは、これまでの症状や状況に当てはまる方がいたら、パニック障害について認知している専門家(心療内科)や知り合いに相談してみましょう。
同じ悩みを抱えている人へのメッセージ

パニック障害は自分とどう向き合うか、という点が大切なのではないかと個人的に思っています。
それは自分のことを知り、無理をしすぎないことで、家事や仕事なども自分の肌に合う生活を過ごせるようになりました。
もちろんそう考えられるようになったのは自分一人の力ではなく、支えがあったからです。
上記の通り家族や上司など身近で関わりのある方に、病気のことを打ち明けることでいざという時に対策が取りやすくなります。
また、何より大切なのは、焦らないことです。今までの生活が出来ないことから焦る気持ちは痛いほどわかります。
しかし、その焦りからなかなか負の連鎖を抜けられないことも知ったので、自分にとって本当に必要なこと、必要でないことを整理する貴重な期間です。
症状や思ったことをリスト、日記などに書き出すことも有効だと思います。
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