【臨床検査技師監修】胆石は、胆のう炎の始まり!

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毎年の梅雨明けから初秋にかけて、腹部の強い痛みを訴えて救急外来へ来院する患者さんが増加します。

一時的には抗生物質の点滴などで落ち着きますが、絶食入院となります。

その病気は、胆石が原因で胆のう炎を引き起こしてしまう急性胆石胆のう炎です。

今回は、急性胆石胆のう炎についてお話したいと思います。

胆石と胆のう炎

◆胆のう

胆のうは、右上腹部(肝臓の下)付近にあり、肝臓で作られた胆汁を一時的に貯めておく臓器です。

食事のたびに収縮と拡張を繰り返すことで胆汁を十二指腸へ送り出しています。

胆汁は、脂肪の消化・吸収を助けるという消化液の役割を果たしています。

◆胆石症について

胆のうの機能低下や胆汁中のコレステロール濃度が高くなると徐々にコレステロールが結晶化されます。

砂状の胆石を胆砂(たんさ)、胆のう内をゆらゆら揺れている状態のを胆泥(たんでい)といいますが、同じ胆石です。

これらが最終的に胆のう内に溜まること胆石症といいます。

◆胆のう炎について

胆のう炎の多くは、胆石症を合併しています。

胆石による刺激と胆汁酸の刺激によって炎症が起こり、さらに細菌感染を起こすと炎症が悪化して、急性胆石胆のう炎を発症します。

胆のう炎には、急性胆石胆のう炎以外に炎症の程度によって以下のように分類されます。

  • 慢性胆のう炎

  長期的な胆のうの炎症で壁が線維化や肥厚して機能が低下してしまいます。

  • 化膿性胆のう炎

  胆のう炎の細菌感染によって化膿した胆のう壁が腫れあがります。

  症状が進行しているため、早急な胆のう摘出手術が必要となります。

  • 壊疽性胆のう炎

 胆石で詰まったことが原因で、強い炎症が起こり重症化します。

それによって、胆のう組織の一部が死んでしまします。

  • 気腫性胆のう炎

 胆のう壁の中にガスが溜まります。

 ウェルシュ菌などガスを発生させる菌の感染が原因です。

 症状は、急性胆のう炎より強い症状がでます。

◆原因と症状

胆石のできやすいタイプは、女性、肥満気味、暴飲暴食、急激な減量、中高年などに多いとされていますが、最近では男性の胆石も増えてきています。

胆のう結石症の初期の段階では、自覚症状が見られません

しかし、胆のう管に石がはまると胆汁を送り出すことができないため、胆のう内部の圧力が高くなり、大きく腫れあがります。

この状態が続くと強い痛みが発生します。

検査と診断

◆画像診断

胆石の中には、CT陰性胆石といってCTでは見つけることが出来ないものがあります。

腹部超音波検査では胆石の98%を診断可能ですので、簡便性などから画像診断に活用されています。

しかし、総胆管結石の画像診断は、約半分の症例を診断することが出来ません

MRIは、時間がかかりますが胆石の画像診断に優れているといえます。

これらの画像診断検査を組み合わせて、どんな胆のう炎なのかを分類していきます。

◆血液検査

胆のう炎や感染症を起こすと、白血球数CRP(炎症が起きていると上昇するタンパク)が上昇します。

膵炎の合併も疑われる場合はアミラーゼ、胆のう癌を疑う場合は腫瘍マーカーの検査もおこなわれます。

治療

急性胆石胆のう炎を発症した場合、最初に全身状態を改善するために抗菌薬の点滴をおこなって細菌感染を抑えていきます。

全身状態が落ち着いてから、必要に応じて手術などの治療に進みます。

手術は、腹腔鏡下胆のう摘出術第一選択となります。

この治療法は、傷口が小さく痛みも少ないので術後復帰が早いというのが特徴です。

ただし、炎症などによる癒着、胆のう癌合併疑いなど腹腔鏡下手術が困難な場合は、開腹手術となります。

他にも胆のうの温存療法として、尿路結石の治療と同じように結石に衝撃波を与えて破砕する体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)という治療法があります。

この治療後、胆のうの収縮機能が正常であれば、結石の1年後の消失率は6~9割ですが、10年間で6割程度が再発してしまうという問題点もあります。

予防

胆石を指摘されている人は、胆のう炎発症予防のために暴飲暴食を避けなくてはいけません

食事の内容もコレステロールや脂質の多い食事を避け、糖分の摂り過ぎにも注意します。

そして、蛋白質と野菜を積極的にとりましょう。

要は、規則正しいバランスの良い食事取りましょうということになります。

脱水も良くないので、毎日十分な水分補給をとるようにします。

ただし、アルコール、コーヒーの摂り過ぎは逆効果になりますので、適度な摂取を心掛けましょう。

肥満とストレス解消に適度な運動もお勧めです。

まとめ

胆のう炎の90〜95%は、胆石症合併しています。

胆石は、超音波検査で数ミリ単位から見つけられ、胆砂、胆泥についても知ることが出来ます。

男女に関係なく肥満気味、暴飲暴食、運動不足、中高年など胆石のリスク因子に当てはまる方は、健診での超音波検査をお勧めします。

また、胆石があっても生活習慣に気を付けていれば、胆のう炎を併発するリスクを下げることが出来ますので、早期発見することが大事だと思います。

健康寿命を延ばしましょう!

ライター名(ランサーズ名):まさざね君

<経 歴>

臨床検査技師の国家資格を2000年に取得。

臨床経験は、総合病院で15年、癌・肺疾患専門病院で5年目になります。

臨床現場では、健診から救急患者まで生理検査を中心に従事しています。

臨床検査技師は、血液などの検査値だけでなく、細菌培養、画像診断、細胞や組織などについても検査して報告しています。

これらの検査を通して、病気の原因、検査、治療、予防など分かり易くお伝えしていきます。

気になるは病気について、少しでもお役に立てれば幸いです。



カテゴリー:臨床検査技師【検査値】, 検査値

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