【臨床検査技師監修】検査でわかる急性膵炎と慢性膵炎の違いについて

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膵臓は、内分泌機能と外分泌機能という体に重要な働きを担っています。

内分泌機能とは?

血糖値の調節をするインスリン、グルカゴンというホルモンを分泌します。

外分泌機能とは?

食物を消化するための膵液十二指腸に分泌します。

膵液の中には、消化酵素(アミラーゼ、リパーゼなど)が含まれています。

〈膵臓〉

膵炎について

膵炎の原因には、アルコールの過剰摂取によるものが最も多く、次に多いのが特発性(原因不明)です。

他の原因には、急性膵炎は胆石慢性膵炎は喫煙があげられます。

症状は、上腹部に強い痛みを引き起こし、他に吐き気や嘔吐などがみられることがあります。

男女比は、40~50歳代の中高年男性に多くみられます。

急性膵炎とは?

何らかの原因によってうまく機能しなくなったとき、膵臓の消化酵素(アミラーゼなど)が過剰に分泌されます。

そして、十二指腸へ上手く分泌されずに膵臓内に溜まった消化酵素が、自分の膵臓を消化し始めて炎症を起こしてしまう病気です。

治療をしっかり行えば後遺症も少なく、2~3週間で改善しますが、膵炎の重症度が高いほど致命率が高い良性の疾患ともいわれています。

症状は、アルコールが原因のときは数日かけて痛みが発生して、胆石が原因の時は突然始まり数分で痛みのピークを迎えます。

背中を突き抜けるような痛みは数日間持続することがあります。

治療には一定期間の入院が必要となり、大量の点滴による水分補給が行なわれます。

慢性膵炎とは?

膵臓の中で慢性的な炎症が続くと、膵臓の消化酵素が活性化され、自分の正常の細胞が破壊されていきます。

破壊された部分が線維化することで、膵臓の機能が低下していきます。

慢性膵炎が進行すると消化不良や糖尿病を引き起こし、癌の合併率も上昇します。

慢性膵炎は、現在の医療では完治できません

症状は、食後やアルコール摂取後に上腹部の痛みが出るケースが多く、急激な痛みが数時間から何日間に渡って持続します。

病気が進行していると痛みが持続しますが、さらに進行すると消化酵素を分泌する細胞が破壊されて腹痛が止まってしまう事もあります。

治療には、痛みを緩和して消化を改善させるために、膵酵素の入った薬を服用します。

急性膵炎と慢性膵炎は、男性に多く発症して原因も似ていますが、病気の経過などが異なるため、それぞれ違う治療をする必要があります。

膵炎を診断するためには色々な検査が必要となってきます。

膵炎の検査

膵炎の検査には、大きく分けて血液、尿などを検査する機能的検査法と服部エコー、CT(造影CT)、MRCP(MRI胆管膵管撮影)などの画像検査法があります。

機能的検査法

《血液検査》 

膵炎では、膵臓で産生される酵素(アミラーゼ、リパーゼ)が活性化するため高値を示します。

特にリパーゼの値が高ければ、膵炎の可能性が高くなります

 また、体内での炎症の有無を確認するため白血球数やCRP(炎症がおきると高くなるタンパク)も検査します。

急性膵炎

胆石が原因と疑われる時は、肝胆道系酵素(AST,ALT,γ-GTP、ALP、T-BIL)を測定します。

慢性膵炎

慢性膵炎が疑われる時は、血糖、ヘモグロビンA1Cを検査して糖尿病の合併を確認します。

《尿検査》

膵炎が疑われるのに血中アミラーゼが正常値の場合に行われます。

・急性膵炎

尿中アミラーゼが血中アミラーゼよりも著明に高い値を示します。

・慢性膵炎

慢性膵炎は長期にわたり炎症を繰り返して起こし、膵臓の細胞を徐々に破壊していくという病気の性質があります。

そのため、血中アミラーゼ、リパーゼの値が必ずしも上昇しないのと同様、尿中アミラーゼの値もあまり参考になりません。

そのため、尿検査では判断ができません。

画像検査法

《腹部エコー検査》

 膵臓の形状(形・大きさ)、実質(内部エコー)、膵管を中心に観察して炎症変化を確認します。

・急性膵炎のエコー

膵臓の形状:膵臓が腫大して辺縁が凹凸不整に見えます。

実質:膵臓が腫れているため、周囲より実質が暗く映ります。

膵管:拡張しませんが、胆道結石が原因の時は膵管の拡張が認められます。

*デメリットとしては、重症になると腸管内にガスが貯まることで観察ができないこともあります。

・慢性膵炎のエコー

膵石または膵臓全体に複数の石灰化が認められると、慢性膵炎の確定診断所見となります。 

タンパク質が濃くなったタンパク栓を認めることがあります。

膵臓の形状:病気が進行して線維化が進むと膵臓が萎縮して辺縁が凹凸不整に見えます。

膵管:不整な拡張が認められます。

《CT検査(造影CT)》

・急性膵炎のCT

 重症度診断に有用です。

 膵臓の大きさ、周囲臓器への炎症の影響、液体貯留、胆石などの評価をします。

・慢性膵炎のCT

 膵管の不規則な拡張と辺縁の凹凸不整を認めます。

《MRCP検査(MRI胆管膵管撮影)》

・急性膵炎のMRCP

 胆石や膵管の拡張を認めます。

・慢性膵炎のMRCP

 膵管の不規則な拡張と膵石、タンパク栓を認めます。

治療中の検査

治療中も定期的に検査をおこなって経過観察をしていきます。

・急性膵炎

血液検査(アミラーゼ、リパーゼ、白血球数、CRP)をして、炎症の程度を観察することで治療効果をみていきます。

腹部エコー、CT、MRCPで、合併症(のう胞)の確認や総胆管結石の有無などを確認します。

・慢性膵炎

血糖やヘモグロビンA1Cの値が高ければ、経口糖負荷試験をおこなって糖尿病を合併しているかを診断します。

膵液がどのくらい分泌されているかの分泌機能を確認するために便中エステラーゼ検査をします。


以上が膵炎に関する診断検査と治療経過検査になります。

まとめ

膵炎は、3大激痛の1つです。

そして、急性膵炎は重症度が高くなると致命率も上がり、慢性膵炎は今の医療では完治できません。

膵炎を発症して病院に運ばれてきた患者さんは、激しい痛みで苦しんでいる状態で来院するので、見ているだけで酷い状態という事が伝わってきます。

また、それを見るたびに検査をしながら自分自身も生活を改めて、体に優しい生活を送らないといけないと考えさせられます。

膵炎は、大量のアルコール摂取が原因となることが多いので、適度な飲酒を心掛けることが大切です。

また、暴飲暴食やストレスも発症のリスクを上げてしまいます。

日常の生活に気をつけて健康で豊かな生活を送りましょう!

ライター名(ランサーズ名):まさざね君

<経 歴>

臨床検査技師の国家資格を2000年に取得。

臨床経験は、総合病院で15年、癌・肺疾患専門病院で5年目になります。

臨床現場では、健診から救急患者まで生理検査を中心に従事しています。

臨床検査技師は、血液などの検査値だけでなく、細菌培養、画像診断、細胞や組織などについても検査して報告しています。

これらの検査を通して、病気の原因、検査、治療、予防など分かり易くお伝えしていきます。

気になるは病気について、少しでもお役に立てれば幸いです。



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