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もくじ
早期の受診が早期回復の鍵
水ぶくれをつぶすと、治りにくくなるので、つぶしてはダメですよ。
帯状疱疹は、発見したらなるべく早く皮膚科に受診して、医師の診察をうけましょう。
発疹の程度により、内服か、点滴と、軟膏処置になります。
できるだけ早く抗ウィルス剤で治療することが特に大切です!
治療や処置が遅れると、神経症状が残るなどの、後遺症になることがあります

痛みの経過
発疹が出る7日前〜ピリピリした痛み
発疹ができ始めるとヒリヒリ・熱っぽい感じ
発疹が出るとヒリヒリ・ズキズキ、または、体を裂くようなピリピリとした痛み
帯状疱疹後神経痛になると、疼くような、電気が走るような、肌に何か張り付いているような痛み
帯状疱疹とは
みずぼうそうの菌に感染した数十年後、体の弱った時に現れる、プツプツとした発疹を帯状疱疹と呼びます。
体の免疫機能の衰える50代に発症する方が多いです。
帯状疱疹の治療方法は?
最初に抗ウィルス薬、鎮痛薬、痛み止めなど、が使われます。
抗ウィルス薬は水ぼうそうのウィルスの増殖をおさえることに働くため、炎症の拡がりをおさえることができます。
そのためこの抗ウィルス薬をとにかく早く飲んで欲しいのです!

痛みが強い、おさまらない時
さらに強い随伴症状がある場合には、ステロイド薬、神経ブロック注射を行います。
ステロイド薬は、炎症をすばやく抑え、痛みを和らげます。
帯状疱疹が耳などに拡がって合併症を起こしそうな場合などに使用します。
神経ブロック注射は、内服の鎮痛剤ではとれない痛みがある場合に使用します。
神経に直接作用します。
帯状疱疹が重症化しており、後遺症に移行するのを防ぐ目的で検討されます。
皮膚症状が悪化した時
抗ウィルス薬だけでは皮膚症状が治まらない時には、抗菌薬や皮膚潰瘍治療薬を使います。
皮膚は治ったのに痛みがなかなかとれない時
帯状疱疹後神経痛の対応になっていきます。
抗鬱薬、プレカバリン、オピオイド鎮痛薬、神経ブロックを使います。
プレカバリンはけいれんを鎮めたり、神経に作用する薬です。
オピオイド鎮痛薬は、鎮通作用の最も強い薬です。
抗鬱剤は、気分の落ち込みを改善しますが、痛み緩和にも効果があります。

それでも痛みが残ったら、帯状疱疹後神経痛かもしれません
帯状疱疹神経痛の定義は、発疹から3ヶ月経っても痛みが消えないことですが
治療の1、2ヶ月後に痛みがある場合には大事をとって受診しましょう。
後遺症を除く治療法
抗鬱薬、プレカバリン、オピオイド鎮痛薬、局所麻酔薬の塗り薬、などのお薬
神経ブロックの注射低出力レーザー、漢方薬などの使用もあります。
帯状疱疹の合併症について
普段使っている目薬や、コンタクトレンズは中止してください。
目から感染して合併症を起こす可能性があります。
目や耳にウィルスがうつると合併症につながります。
感染すると目の痛みのあとに角膜炎やぶどう膜炎にかかります。
合併症は目や耳の症状のほか、膀胱直腸障害、腹筋麻痺、脳炎脳梗塞などがあります。
どの部位でも共通しているのは、ウィルスの増殖を早くとめ、炎症を押さえる事ができれば合併症を防ぐ事ができます。

ホームケアのポイント
帯状疱疹はホームケアが大切
水疱はつぶすと治りにくくなる場合があります。
自分でやらないようにしましょう。
皮膚に触れるとピリピリするので、軟膏をつけてガーゼなどで保護しましょう。
つぶれてしまったら、周りの人にうつさないようにしないといけません。
用具の使い方・・・患者さん本人が使ったものをさけましょう。
患部のケア・・・つぶれた水ぶくれを触るとウィルスが感染する可能性がありますので、患部のケアは本人や感染の危険のない人が行いましょう。
皮膚が治れば安心・・皮膚の症状がなくなって、急性期をすぎれば感染の可能性はなくなります。
日常生活の見直しを
帯状疱疹になってしまったら、免疫力が低下していると考え、日常の生活を振り返ってみましょう。
免疫力の低下を引き起こす、ストレスや生活習慣はありませんか?
栄養補給と栄養価のの高い食事を心がけてゆっくり体を休めてくださいね。

周りに感染さないように気をつけましょう
水ぼうそう未感染者に水ぼうそうとしてうつります。
帯状疱疹が帯状疱疹としてはうつることは少ないですが、過去に水ぼうそうに感染した人には感染しません。
帯状疱疹に感染した人から、水ぼうそうの感染としてもらった場合は、数十年後に帯状疱疹にかかる可能性はあります。
妊婦にうつると奇形児の出産リスクが高まります。
高齢者は免疫力が低下しているため、感染リスクが高いので、接触しないよう気をつけましょう。
帯状疱疹にはどれくらいの人がかかるの?
1997年から2014年に帯状疱疹を発症した患者総数は93、088人で、18年間の平均年間発症率は⒋50人/千人/年でした。
最年少は3ヶ月の女児、最高齢は103歳の女性でした。
これだけ多くの人が帯状疱疹になっていることをご存知でしたか?
また、老若男女問わずかかってしまうポピュラーな病気ではありますが、発症から時間が経って重症化してしまうと、後遺症や合併症につながる怖い病気でもあります。
帯状疱疹になったかなと思ったら、早めの受診をするように、みんながこの病気をきちんと知って、気をつけていきたいですね。

看護師として帯状疱疹に関わって思ったこと
看護師として勤務する中で、帯状疱疹に発症され、ケアをした方がいます。
水泡ができ、つぶれてしまっていたのですが、水疱が破けると、浸出液と言って、黄色い液体がでてきます。
そこから、粘膜を介して感染が広がるので、予防衣と手袋をつけて、浸出液に注意して処置をしました。
帯状疱疹が出現している部位は、どこも触ると痛そうでした。
皮膚の傷は、清潔に保つことが大切なので、自宅でも毎日ガーゼを綺麗にしてもらいました。
その方の創部は左背部の広範囲でしたので、自分ではできませんでした。奥様がいらっしゃったのでお願いしました。
処置をしていると、受診の度によくなっているのが伺え、傷はしっかりと完治しました。
この症例から学べたのは、傷の清潔を保って毎日ガーゼを変えてあげることで、皮膚症状はきちんと改善するということです。
帯状疱疹の後遺症で悩む方へ
帯状疱疹後の後遺症としての神経症状というのは、傷の痛みより辛いものです。
自分の痛みは、自分にしかわからないこともありますね。
痛いと感じたら、無理することなく、対症療法をうけましょう。
気にしすぎる場合に症状が強くなっていることもあります。
その場合はまた、対処法も変わります。
我慢せず、いろいろな治療をためしてみましょう。
また、周りの方で帯状疱疹の後遺症に悩む方がいらっしゃいましたら
その方の苦しい気持ちを聞いてあげるだけでも、ご本人は楽になることもあります。
どうか気にしすぎ、と思うことがあっても、本人は本当に辛いかもしれません。
お話しを聞いて頂くことも治療の一助になります。
ご自分にあった方法をとりいれて、少しでも症状を緩和することができ
毎日が安楽に過ごせますように応援しています。
