【運営者ハル監修】薬の構造式から導かれる〜アルツハイマーの薬がパーキンソン病の治療に使える?〜

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薬の構造式に関する記事第2弾です。第1弾では抗アレルギー薬の構造式について記事をあげました。

今回はアルツハイマーとパーキンソン病についての記事になります。

アルツハイマーの薬とパーキンソン病の薬の中に、構造がとても似ているものがあります。その構造から薬理作用を紐解いてみましょう。

パーキンソン病の薬(アマンタジン)とは?

パーキンソン病の治療薬であるアマンタジンはインフルエンザや脳梗塞の治療薬としても使用されている薬であり、薬の構造式は以下のようなものになります。

アマンタジン

この構造を覚えておいてください。後に紹介するメマンチンの構造といかに類似しているかがわかるはずです。

また、この薬の作用機序は次のようなものになります。

アルツハイマーの薬(メマンチン)とは?

メマンチンの構造式は次のようなものになります。

メマンチン

アルツハイマー型認知症では、グルタミン酸神経が異常になることが原因であることが報告されています。

この薬はアルツハイマー型認知症の記憶の形成阻害の原因のシナプティックノイズを解消して記憶や学習障害の改善を目的とした薬になります。

メマンチンとアマンタジンの違いについて

上記の構造式を整理すると次のようになります。

アマンタジン

メマンチン

この構造式から、二つの薬の違いは炭素の数が2つだけであることが分かります。

この2つの炭素の違いが

・アマンタジン(抗インフルエンザ、パーキンソン病、脳梗塞治療薬)

・メマンチン(アルツハイマー型認知症)

という効能の違いを生んでいるなんて、とても不思議に思いませんか?

実際に、アマンタジンがメマンチンと同じNMDA受容体拮抗作用を持っていることが学術論文で発表されています。つまり、アマンタジンをアルツハイマー型認知症の人が服用することで、メマンチン服用によるシナプティックノイズを解消することができるということがわかってきたようなのです。(学術論文:Kornhuber J et al:Biol Psychiatry,41:135-144,1997)

薬剤師は薬の構造式に関してもプロです。そのため、薬の基本骨格が類似しているという時点で上記2つの薬の効能は類似するはずだ、と予想を立てることができます。

しかし、薬剤師として不思議に思うことは適応症にズレがあるということです。ここからは憶測ですが、適応症の臨床試験をしていないため、効能を追加することができていないのでないかと思っています。(なぜ臨床試験をしないのか。お金のせいか。。臨床試験についてMRさんと製薬会社開発部の方に詳しく書いてくださっていますのでそちらを参考にしてみてください。)

メマンチンとアマンタジンの構造が類似することから分かる不思議

例えば、薬の規格〜〜mgの部分)が50mgのシンメトレルと5mgのメマリーでわかるように、メマンチンに炭素鎖が2本追加されることで薬理作用が10倍変わってくるというのはとても不思議ですよね。

また、薬の価格(薬価)に関しても、アマンタジン(先発のシンメトレル50mg:13.6円)とメマンチン(先発のメマリーOD5mg:134.7円)と薬の規格が最小量のもので比べるとその差が約10倍。

なぜこれほど薬価に差が出てくるのか。これはアマンタジンが古い薬で、メマンチンが新しい薬であり、少ない量で効果を示せるからと言われることがあります。それだけではない気がしますが(製薬会社の開発費回収などがあるのでは?)

少ない成分量で同程度の効果を示せることはすごいことですが、基本骨格が同じであるためもう少し値段を安くしても良いのではないかと思うことがあります。

まとめ

薬は以前作られた薬を参考に常に改良を重ね作られている事が多いです。

構造式を読み取ることで

・何をベースにしてこの薬は作られたのか?

・構造式の側鎖(周り)に色々と置換基を入れる事でどんなメリットを付与されているのか?、逆にどんなデメリットがついてしまっているのか?(水に溶けやすい、脳に移行しやすい、体を循環しやすい、分解されにくいetc…)

などなど様々な事を見出す事ができます。

「化学なんかわからん!」

「そもそも薬学学んでないし理解できない!」

と思う方がいるかと思います。

高校の範囲の知識だけでも薬の構造式について考える助けになります。

この機会にぜひ構造式という”言語”を学び直し、薬を選択する幅を広げられるようになってくれたらいいなって思い記事にしました。



カテゴリー:”薬”立つ情報, 薬剤師【薬】

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