【臨床検査技師監修】 階段を登ると「息がハカハカする」と感じたら(COPD)

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息切れ・息がハカハカする

息がハカハカするは、おもに東北地方で息切れの時などに使われる擬音語です。

呼吸状態がイメージしやすいため、私の勤める医療現場でもよく使われています。

息切れは、どうして起こるのでしょうか?

健康な人でも山登りや激しい運動をすると、普通に歩いている時より多くのエネルギーを必要とします。

多くのエネルギーを使うためには、体内に多くの酸素を取り入れる必要があるので、脳が体内に多くの酸素を取り入れるように命令することで息が切れます。

しかし、健康体であれば、少しの階段や坂道などを登るくらいで息切れをすることはありません。

もし、以前なかった「息がハカハカする」という症状が、最近になって明らかに感じ始めたら、体のどこかが悲鳴をあげている危険信号かもしれません。

息切れの原因となる病気には、呼吸器系の病気を最初に思い浮かべますが、他に心臓、血液、神経、筋肉などの病気の時もあります。

階段や坂道による息切れの場合は、呼吸器や心臓の疾患が強く疑われます。

呼吸器疾患では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と間質性肺炎、心臓疾患では心不全などが当てはまります。

今回は、息切れの代表的な病気である慢性閉塞性肺疾患(COPD)についてお伝えします。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは

長期間にわたってタバコなどの煙などの有害物質を吸入することで、肺の中の気管支に炎症がおきて、咳や痰が頻繁に出るようになります。また、気管支が炎症で細くなることで空気の流れが低下してしまうために階段を登る程度の動作で息切れを起こす病気です。

この病気は、喫煙習慣と大きな関わりがあり、肺気腫や慢性気管支炎を総称して慢性閉塞性肺疾患(以下をCOPD)と呼んでいます。

日本でCOPDを発症している患者数は、40歳以上が530万人70歳以上が210万人といわれています。

症状

COPDは、発症すると徐々に進行していくので、病気の進行具合によって症状が異なります。

◆初期のCOPD

40~50代で発症すると、痰が絡んだ軽い咳がでるようになります。

普段の生活では息切れを覚えることはありませんが、運動中に息切れを感じる事があり、加齢や運動不足が原因だろうと自己判断して、運動量などを減らしていく傾向があります。

気管支炎に感染すると痰の色は、透明や白色から黄色や緑色に変化します。

◆中等度のCOPD

COPDを発症してから60代後半になると運動のような動作での息切れが悪化し、喫煙を続けている場合は、更に息切れが酷い状態になります。

また、肺炎などの感染症を頻繁に発症するようにもなり、息切れも悪化の傾向を辿るようになります。

◆重度のCOPD

約3分の1の患者さんに、大幅な体重減少がみられます。

原因として考えられるのは、悪化した息切れで食事が困難というのが挙げられます。

◆急性増悪

咳、痰の増加によって、息切れなどの症状が悪化します。

息切れがひどい時は、安静時でも息切れを訴えることもあるので入院を必要とする場合があります。

急性増悪を引き起こす原因として、ウイルスや細菌感染、大気汚染などが挙げられます。

呼吸状態が悪化すると、急性呼吸不全になることもあるので注意が必要です。

診断と検査

長期の喫煙歴、慢性的な咳・痰、労作時の息切れ(呼吸困難)が有れば、COPDが最も疑われるので、呼吸機能検査を行って診断していきます。

呼吸機能検査では、肺活量測定後に行う努力性肺活量測定がCOPDの診断に重要となってきます。

努力性肺活量測定とは、吐く力と吸う力を調べる検査になります。

COPDの肺は、喫煙などによって気管支が炎症を起こして狭くなります。

また、気管支の末端にあるブドウ房状の肺胞が壊されて、弾力のない大きな袋状になってしまいます。

そのため、肺を膨らませる(吸う力)があるが吐き出す力がなくて、肺が常に膨らんだ状態の『過膨張』という特徴がみられます。

努力性肺活量測定では、最大吸気後に最大努力で呼出した肺活量(努力性肺活量)と最初の1秒間に吐ける量から1秒率(1秒量÷努力性肺活量)を求めます。

COPDの場合、吸う力はあっても気道が狭く肺胞も壊れているため、吐く力(1秒量)が低下しています。

ですので、努力性肺活量測定では、肺活量は減りませんが1秒率は基準値より低下してしまう閉塞性換気障害に分類されます。

そして、その他の閉塞性肝障害疾患を除外できればCOPDと診断されます。

他にもCOPDの検査には、胸部レントゲン検査、CT検査があります。

しかし、早期診断が困難だったり、診断に閉塞性換気障害の有無が必要だったりします。

まとめ

COPDは急性増悪を繰り返すと進行が早くなりますので、増悪予防のためにインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種をお勧めします。

タバコは、昔から『百害あって一利なし』と言われています。

また、タバコの煙は、自分だけでなく周囲の人たちにも確実に害を与えます。

一度壊れてしまった肺胞は、元には戻りません。

そして、COPDの治療の基本は禁煙です。

COPDが進行して末期の状態になると、気管挿入人工呼吸器が必要になる可能性があり、一度装着すると取り外すことはほぼ困難となり、死亡するまでつけている場合もあります。

そうならないためにも、現在も喫煙中の方は禁煙または禁煙外来受診をお勧めします。

健康寿命を延ばして楽しい人生を送りましょう!

ライター名(ランサーズ名):まさざね君

<経 歴>

臨床検査技師の国家資格を2000年に取得。

臨床経験は、総合病院で15年、癌・肺疾患専門病院で5年目になります。

臨床現場では、健診から救急患者まで生理検査を中心に従事しています。

臨床検査技師は、血液などの検査値だけでなく、細菌培養、画像診断、細胞や組織などについても検査して報告しています。

これらの検査を通して、病気の原因、検査、治療、予防など分かり易くお伝えしていきます。

気になるは病気について、少しでもお役に立てれば幸いです。



カテゴリー:臨床検査技師【検査値】, 検査値

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