【ep28】パニック障害と関係がある?経験者が語る、嘔吐恐怖症は克服できる!

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

恐怖症というと”高所恐怖症”などを思い浮かべると思いますが、嘔吐を連想する状況や映像などに強い恐怖感を抱く症状のことを”嘔吐恐怖症”と言います。

嘔吐は普通の人でも嫌な気持ちになるものなので、恐怖症の不安感や恐怖心はなかなか周囲の人には理解しづらく、「嫌な気持ちになるのは当たり前」「弱いからだ」という言葉で「自分が悪いんだ」と追い込まれてしまう人も中にはいます。

私自身、嘔吐恐怖症に悩み、何気ない言葉に傷ついたこともありますが、現在は外出や外食も出来るようになり、日常生活も問題なく過ごせるまでに回復しています。

本記事では、私の経験の交えながら、嘔吐恐怖症の概要や治療法などを解説しています。

もくじ

嘔吐恐怖症とは

嘔吐恐怖症は、吐き気や嘔吐をすること、嘔吐を連想させる音や場面などに強い恐怖心や不安感を抱く症状です。

吐いてしまうのではないかという強い不安もそうですが、気分が悪そうな人・酔っている人などをなるべく回避したいと思うようになり、乗り物に乗ることや外食をすることも困難になります。

また、重度になると生ものや吐いてしまう恐れのある食品は摂取しなくなり、外出するとその場面に出くわしてしまうのではないかと不安になり、外出出来なくなるなど日常生活にも支障が出てきます


嘔吐恐怖症の原因

現在、明確な原因は解明されていませんが、長年の臨床経験により徐々に傾向はわかってきています。

南平岸内科クリニックの野呂浩史院長らが考案した分類法では下記の3つに分けられます。

  • 「パニック発作の症状で発症するもの」
  • 「風邪や胃腸炎による身体症状で発症するもの」
  • 「過去に嘔吐した際に羞恥心や他者に拒絶された経験(トラウマ)によって発症するもの」

著者が嘔吐恐怖症になったきっかけ

私は小学校4年生のころからパニック障害を患っており、嘔吐に関して強い不安感を感じたのは、高校に上がった頃からでした。

恐らく、上記の分類でいうと私の場合は、「パニック発作の症状で発症するもの」に分類されるのだと今は理解しています。

高校生の頃から数年間は、気分が悪くなる時はいつもすぐにパニック発作を起こしたり、パニック発作を起こして気分が悪くなったりと常にパニック発作と嘔吐恐怖はセットという印象がありました。

しかし、当時は”嘔吐恐怖症”という言葉も知らず、「私の身体はどこか悪いんじゃないか」と検査しても何も異常はなく、「私はおかしいんじゃないか」と憂鬱な気分になることが度々ありました。

私の場合、乗り物に乗車することや外出は元々のパニック障害が原因で辛いものでしたが、嘔吐恐怖症を発症してから何よりも辛かったのは外食です。

友人や家族などに外食へ誘われても、「外食いこうよ!」という言葉を聞くだけで身体が強張るほどでした。

それは、「自分が吐いてしまったらどうしよう」「相手が吐いてしまうのではないか」と強い不安から恐怖心へすぐに変貌し、対処の仕方もわからなかったので、約6年間は外食へ誘われても行かないか、一緒に行っても飲み物だけを頼むようにしていました。

補足として、嘔吐恐怖症と似ている症状に”会食恐怖症”というものがあります。

外出や人前で食事をすることなどが難しい方は会食恐怖症に分類される事もあります。

私は恐らく嘔吐恐怖症と会食恐怖症のどちらも発症していたのですが、現在は嘔吐恐怖症は寛解に近づき、会食恐怖症は克服しています。


嘔吐恐怖症の治療

嘔吐恐怖症の治療法は「薬物療法」と「暴露療法」の大きく分けて2種類あります。

薬物療法による治療

抗不安剤やSSRIなどの抗うつ剤を用います。

しかし、あくまでも不安な気持ちを少しでも軽くするためのものなので、根本的な治療ではないと言われています。

嘔吐恐怖症により憂鬱な気分から抜け出せない方などは、医師へ相談してみましょう。

暴露療法による治療

嘔吐恐怖症に有効とされているのが、暴露療法です。

暴露療法は経過を見ながら、嘔吐に関する文字や絵、映像を見て徐々に嘔吐に対する恐怖心を克服していく方法です。

治療は嘔吐に関する知識や暴露療法の理解、呼吸法などのリラックス方法を学んだうえで段階的に行います。

最初は身構えてしまいますが、医師の下で少しずつステップアップしていくので安心して治療が行えます。


著者の治療過程

私は、パニック障害の症状もあったので薬物療法と暴露療法のどちらも行いました。

現在症状は落ち着いているので、薬物療法の治療は終わり、暴露療法は引き続き行っています。

嘔吐恐怖症の暴露療法を出来るクリニックはまだ少なく、私が住んでいる地域にも暴露療法の治療が出来るクリニックがないため、自分でやり方を勉強して独自で少しずつ行っていました。

しかし、やはり医師の下で行う方が安全なので独自の方法はおすすめはしません。

ただ、大切なのは嘔吐や吐くという行為は、悪いことではなく恐ろしいものでもないという考えを再度認識する必要があるということです。

私は最初、”嘔吐”や”吐く”という文字を見ることさえできませんでしたが、今は家族が体調不良を起こしても動揺せず対応できるようになりました。

また、日にちを決めて心の準備をすれば、問題なく外出や外食に行けるまでに症状は安定しています。

嘔吐恐怖症を克服するのは不可能ではない

ある報告では、パニック障害と嘔吐恐怖症が併存している場合、治りにくいと言われておりますが、続けていれば快方に向かい、克服も夢ではないように感じます。

暴露療法は初めのころ相当勇気がいりましたが、ショッピング帰りに美味しいご飯を食べてバスに乗って帰れる日が来るとは思ってもいませんでした。

焦らず少しずつ治療していくことが最も大切だと感じます。

最後に、きっとこの記事を覗いている方の中に、嘔吐恐怖症で悩んでいる方もいると思いますが、本記事は嘔吐などの関連する言葉が多い中、最後まで読めたのは素晴らしいことです。

少しずつでも治療を続けましょう。



カテゴリー:体験談

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