【看護師監修】糖尿病を症例付きでわかりやすく解説します!

この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

糖尿病とは?

みなさん誰もが1度は聞いたことがある糖尿病という病気。

不摂生をした人がなる病気?いいえ、違います。

糖尿病は「1型糖尿病」と、「2型糖尿病」に大きく分ける事ができます。

1型糖尿病とは?

1型糖尿病はインスリンを作るすい臓の病気で、血糖を下げるために必要な「インスリン」を体の中で全く作る事ができなくなってしまい不摂生をしていなくてもなってしまう病気です。赤ちゃんからお年寄りまで誰もがなる可能性があります。

2型糖尿病とは?

2型糖尿病はインスリンをたくさん出すために働かせすぎてしまったり、負担をかけすぎる事で必要な量を作る事ができなくなってしまう病気で、この場合は不摂生をしている人がなりやすいとも言えます。多くはおとなの人がなりやすいのですが、最近はこども達にもみられるようになり大きな社会問題になっています。

おとなの6-8人に一人は2型糖尿病もしくは予備軍と言われていて、癌のようにすぐに命に関わるというイメージも少ないためか、「血糖値が高い」と言われても、積極的に病院に行く患者さんは多くはありません。糖尿病に一番なりやすい働き盛りの人ほど健康診断に行くことができなかったり、健康診断で血糖値が高い事を指摘されても受診できなかったり、途中で治療をやめてしまう事が多くなっています。糖尿病は自覚症状が出るようになってからではおそい病気です。はやめに発見して、治療をしていく事がとても大切です。

糖尿病の疫学

糖尿病は予備軍も含めると2000万人以上いると言われていて、おとなの6-8人に1人は糖尿病の可能性があるといわれています。女性よりも男性の方が1.5倍ほど多く、年齢が上がるにつれ患者さんが増える傾向にあります。

糖尿病の治療法

ここではおとなに多い2型糖尿病についてお話ししていきます。

糖尿病の治療で大切なことはヘモグロビンA1cと血糖値を目標の値に近づける事です。糖尿病になると注射をするイメージが強い人もいるかもしれませんね。実は「インスリン注射」ではなく「飲み薬」で治療をしている患者さんが多い事はご存知ですか?

飲み薬は毎年のようにたくさんの薬が発売されます。それくらい製薬会社も力を入れて研究していますし、医療の進歩によって新しい治療方法がわかってきた病気でもあります。

飲むみ薬をいくつかの種類に分けると

1)インスリンの効きをよくする薬

2)インスリンの分泌をよくする薬

3)食後高血糖を改善する薬

4)尿と一緒に糖を排泄させる薬 に大きくわける事ができます。

1)2)3)の薬は昔から使用されていた薬が多いのですが、その中でも3)4)の薬はここ10年程度で急速に新薬が発売され、大きな治療効果をもたらしています。今まで主流だった、インスリン注射をすることで血糖を下げるのではなく、できるだけ患者さん自身が持っている体のしくみをうまく利用して結果として血糖が下がり、ヘモグロビンA1cも下がっていくという状態を目指しています。たとえば、血糖値が上がるとすい臓からインスリンを分泌しやすくして血糖値をさげたり、血液中の糖が増えすぎた場合には尿と一緒に体の外に出して血糖値を下げたりしています。http://www.ikedaiin.com/img/senntaku2.gif

「糖尿病の薬を使うと低血糖になる」というイメージをもつ方も多いと思いますが、最近発売されたお薬は低血糖を起こしにくく、体に負担がないように工夫されている物がほとんどです。ご自身が飲んでいるお薬で、低血糖が心配だったり、体に優しいお薬を希望される場合は主治医に相談してみましょう。

また糖尿病の注射も飲み薬も、1日に何回も…とういうのが負担になって、医師の指示通りに治療を続けられないという患者さんもたくさんいます。最近では注射薬の場合には、1日1回や週1回、飲み薬でも1日1回という患者さんの負担を軽減して、治療を続けやすくする為の工夫がされているお薬も増えてきています。糖尿病の注射も1日1回であれば、会社勤めの方はランチや夜の会食・接待などでは糖尿病の注射を気にする事なく、皆さんと食事をすることができますよね。いずれにせよ、今の血糖値・ヘモグロビンA1cの値をよく知っている主治医と相談する事をおすすめします。

糖尿病の症例

今回は2型糖尿病をもつサラリーマンFさんの症例をご紹介します。Fさんは、ご自身で会社経営をしながら1か月のうち半分は海外出張をしている方でした。糖尿病と診断されて5年がたっていましたが、多忙な中でも外来だけは忘れずに来院されていました。

ある時の看護師面談で、Fさんは最近疲れやすい事、腎臓が悪くなってきているからどうにかしたいと思っていることを話してくださいました。お話をよくよく伺っていくと、食事摂取は若いころと変わっていない事、出張や仕事のボリューム・責任が増えストレスが増えたこと、海外出張が増えたり会食が増えたことで実はインスリンを打っていない事がわかりました。

面談を進めていくと、時差がある事でいつ・どのインスリンを打てばいいのかわからなかったり、渡航先によっては医薬品の持ち込みの手続きかわずらわしいと思っている事がわかりました。会食や接待などでは、食事のタイミングに合わせて注射をすることが難しい事も、インスリンが指示通り打てない原因にもなっていました。

そして、採血結果ではインスリンを打っていないのに、HbA1c6.8と値が高くなかった事もFさんがインスリンを打っていない事の発覚が遅くなった要因の一つでした。

その時のインスリン注射はノボラピッドフレックスペン朝4単位、昼4単位、夜4単位と、レベミルフレックスペン寝る前3単位の2種類でしたが、海外に行っているときや会食の時など実際は1か月のうちの2/3も打てていません。血糖値も測っていませんでした。

早速医師に相談し、まずは食事療法・お酒の種類の選択を指導し、運動が好きな患者さんであったのでできるだけ歩く習慣をつけていただくように生活の改善を行いました。ほとんど打てっていなかったインスリンは、週1回なら注射はできるとの事でトルリシティに変更しました。

1か月後の診察でFさんと看護師面談を行いました。指導の通り、お酒には注意して、深酒や暴飲暴食も減ったとのこと。毎日1万歩を意識して歩くようになり体重は2kg減量していました。

インスリン注射をしなくてはならないストレスからも解放され、気持ちが楽になったとお話しされる半面、週1回の注射であれば続けられるという自信もお持ちでした。これからは、薬に頼って血糖値を下げるのではなく、食事・運動に気をつける事で、薬をやめたいとも話されていました。この日のHbA1c7.0と大きく変化はありませんでしたが、継続できている事・長期的に薬をやめるという目標を立てていくことにしました。

半年後。

FさんのHbA1cは5.5-6と大きく低下しました。尿酸値やコレステロール値も下がってきていて、生活習慣の改善が大きく認められるようになりました。医師からトルリシティも中止する指示が出て、Fさんは半年で「薬に頼らない」という目標を達成する事が出来ました。

薬をやめるには、「薬を使わなくても血糖値を安定させる」ことが重要です。そのためには、食事にも注意が必要ですが摂取した糖分を、運動や日常生活できちんと消費できる体をつくっていく必要があります。最終的にFさんは食事・運動に注意することで、糖尿病の薬をやめる事ができましたが、きっかけは薬を指示通りに使っていない事を医師や看護師に話したことでした。

もし、糖尿病の治療で困っている事や、心配な事があれば担当の医師に相談して、一緒に考えていく事がとても大切だと思います。

まとめ

糖尿病ははやめにみつけてきちんと治療をすることで、インスリン注射にたよらずに飲み薬だけでも普通に生活ができる病気ですし、Fさんのようにお薬自体を辞める事も可能です。きちんと治療をすることで、心臓や脳の血管の病気、全身の合併症を防ぐことができます。一生涯でかかる医療費も抑えることができ、長生きにも繋がります。

「血糖値が高い」時はサプリメントや民間療法に頼るのではなく、医師の診察をうけて、体に優しい、ご自身にあった治療を行っていくことをおすすめします。

ライター名(ランサーズ名):Akari

<経 歴>

都内某病院で、糖尿病患者さんの指導専門の看護師として勤務しています。

いつでもにこにこ、患者さんのそばに居る、そんな看護師を目標にコロナにも負けずに働いています。



カテゴリー:看護師【糖尿病】, 糖尿病

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