【整形外科医監修】コロナ下でテレワーク腰痛が増えている!?

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

腰痛でお悩みの方へ。

最近調子はどうですか?

新型コロナウイルス感染拡大が皆さんの生活に大きな影響を及ぼしています。
同時に皆さんの体調に変化を起こしています。

ここでは、最近の腰痛事情についてみていきます。新時代の腰痛対策、一緒に考えていきましょう!

もくじ

腰痛は増えている。原因は?

事実として、腰痛を感じている方は増えています。なぜでしょう?

コロナウイルス感染拡大が腰痛に及ぼす影響について、国内で1000人規模のアンケートが行われました。

コロナ後に腰痛が発症または悪化しましたか?

という問いに対して26.9%の人がyesと答えています。

2020年10月に発表された最新の研究では、

463人の方を調査し、感染拡大前は腰痛を感じていた方は全体の38.8%だったが、拡大後は43.8%に上昇していた

とのことでした。

そして痛みを特に感じていたのが

  • 35-49歳の年代
  • 肥満の方
  • ストレスを強く感じていた方
  • 長時間座ることが多い方
  • 活動量が十分でない方
  • テレワーク、リモート授業となった方

となっています。

テレワークで通勤の手間が減るのはいいけど、座る時間が多くてつらい、イライラして食べる量も多く少し太ったかな・・というような方が腰痛になる。

イメージしやすい結果ですね。

日本の腰痛診療ガイドライン2019年版では、

  • 日常的な運動実施群に比べ、運動していないと腰痛発症リスクが増大する
  • 腰痛の遷延化には、心理社会的因子が強く関連する

と記載されています。

新しい生活様式では、どうしても運動不足となり、様々な要因からストレスを感じる事が避けられません。

最近増えている腰痛には、活動量の減少と、生活環境の変化により感じる心理的因子が関係していると考えられます。

これらは、新型コロナウイルス感染拡大による二次的な健康被害であるといえます。

まさにコロナ腰痛ともいうべきものです。

腰痛とコロナの直接関係

少し見方を変えて、新型コロナウイルスに感染すると腰痛になるのか?

ということを考えてみましょう。

直接の関連はあるのか? ということですね。

答えは、「ありえる」です。

意外でしょうか?

海外での研究で、

210人の新型コロナウイルス感染患者さんの調査をしたところ、33人(25%)の人は腰痛を自覚していた

との報告があります。多くの感染患者さんが腰痛を感じています。「ありえる」としたのはそれが理由です。

ウイルスが腰に回って痛みをだす?なんて考えると少し怖いですね。

しかし、幸いそのような事実は確認されていません。

厚生労働省や、国際感染症センターの情報提供にも、腰痛は新型コロナウイルス感染の症状としては挙げられていません。

コロナウイルス感染患者さんの腰痛は、他の多くのウイルス感染の時にもみられるように、発熱に伴う症状と考えられます。

感染拡大による環境変化が起こす腰痛であるコロナ腰痛、その対策を考えていきましょう。

コロナ腰痛の対策その1

やっぱり運動

腰痛対策には、やっぱり運動が必要です。

維持したい活動量の基準としては、厚生労働省から目安が出されていて

  1. 歩行以上の強度で身体活動を毎日60分
  2. 息が弾み汗をかく程度の運動を週60分

とされています(1+2)

言い換えると、通勤や通学片道30分程度+週1-2回ウォーキングやジョギングをする、というようなことになります。

しかしテレワークやリモート授業になり通勤、通学がなくなってしまった場合、それを運動で取り戻さなくてはなりません。

実は、「歩行以上の身体活動を毎日60分(週7回)」は「息が弾む程度の運動60分」の実に5倍程度の活動量になります。

通勤、通学の活動量を運動で取り戻すのは中々に大変だということが分かります。

新しい生活様式での実践方法

まず、日常生活で動くことを意識しましょう。

日常の活動量を運動で取り戻すのは、中々に大変、ということを書きました。

活動量を維持するには日常の生活内で、こまめに動くことが重要になります。

具体的には、デスクワークの合間にこまめに立ち上がる、掃除や片付けなどの家事を積極的にする、階段を上り下りする、などです。

これらの一見何でもなさそうなことを常に意識して生活することで、活動量はグンと増えます。

スポーツ庁から運動・スポーツの実施啓発リーフレットが配布されており、上記の内容がStep1として紹介されています。その上で、

Step2 ヨガや筋トレ等の動画を見ながら行うストレッチングや軽い体操

Step3 ウォーキング・ジョギングなど

と掲載されています。

腰痛対策として運動、というとまず腰痛体操などを思い浮かべると思います。

それももちろん重要ですが、この新時代では、まず活動量を維持する

そこから始めていきましょう。

なお、運動にあたっては感染対策について心配される方も多いことと思います。

しかし、過敏になる必要はありません。

スポーツ庁のリーフレットには

スポーツクラブなどで汗をかくのもGood!

と書かれていますし、日本臨床スポーツ医学会は

屋外運動時のマスクは基本的に推奨しない(2mのソーシャルディスタンスを保つ)

と声明をだしています。

手洗い、うがいといった基本的で正しい対策をしっかりして、その上で運動する。

コロナに負けないために、腰痛対策のために。

日常生活での活動量維持、運動を今日から実践しましょう。

コロナ腰痛の対策その2:ストレスは腰痛の原因。科学的に証明されている。

ストレスは、腰痛の原因になります。

これは、科学的に証明され、腰痛診療ガイドラインにも記載された事実です。

ストレスによる腰痛対策の第一歩は、この事実を知り、理解することではないでしょうか?

感染への恐怖、将来への不安、職場環境の変化、家庭でのコミュニケーション、様々な要因でストレスを抱えている方が増えています。

コロナ腰痛の増加には、心理的要因が関わっているものと思われます。

ストレスを解消できること、何でもやりましょう。

運動が好きな方は、活動量の維持につながり一石二鳥ですが、運動でなくてもかまいません。

好きな本を読む、友人と話をする、入浴してリラックスする、あなたにあったストレス解消法を知っている方はその時間をとりましょう。

一つ、注意点があります。

ストレスを感じると頼りがちな飲酒、喫煙

これらは腰痛と関連があることが分かっています。

そして睡眠の質が落ちるなど、かえってストレス自体にも悪影響を及ぼす可能性があります。

解消法が分からない場合や解決できない場合は、他人の力を借りましょう。

厚生労働省では、以下に各種相談窓口の案内を掲載しています。

厚生労働省より引用

コロナ腰痛対策、自分のストレスを把握し受け入れていくことから始めていきましょう。

まとめ

最近増えている腰痛を、コロナ腰痛と称して解説しました。

腰痛は、多くの場合日常生活の中に原因と対策を見いだすことができます。

「よし、対策しよう」と身構える必要はありません。

頑張りすぎず、身の回りのことから取り組んでいきましょう。

ライター名(ランサーズ名):Dr. Ma

<経 歴>

医師免許、医学博士、整形外科専門医、スポーツドクターの資格をもつメディカルライターです。

実体験や患者さんのお話に基づき、身近な話題について解説します。

医学研究に携わり、和文論文8編、英文論文筆頭著者8編、共著者9編の執筆経験があります。

専門的な話題について情報収集し、最新のエビデンスや公的データに基づいた医療解説を行います。



カテゴリー:痛み, 医師【痛み】

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