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もくじ
Iga腎症の特徴
Iga腎症は慢性糸球体腎炎の一つで、もっともよくある腎炎とされています。
特徴としては、
●尿検査で血尿や蛋白尿が見られること
●風邪を引いた後に赤茶色の血尿が出ること
が挙げられます。

異変
腎炎は、学校や職場の健診の尿検査で血尿や蛋白尿が出ることで見つかることが多い病気です。
筆者も14歳のとき、学校の健診で血尿(3+)が出て精密検査を受けることになりました。
その時は血尿のみだったため、半年に一度の定期健診で様子を見ることになり、26歳までは良くなることも悪くなることもなく症状は安定していました。
もちろん、熱が出た後は驚くほどのコーラ色の赤茶色の血尿が出ることは当たり前でした。
転機
26歳の夏頃、赤茶色の血尿が出たことをきっかけに病院へ行ったところ、血尿だけでなく蛋白尿が出ていることが判明しました。
そのため、まずは厳しい食事制限(タンパク質制限+減塩)を行い、どの程度蛋白尿が減るか様子を見ました。
しかし、一向に減る気配はなく、そこで初めて医師からIga腎症の可能性を告げられました。
検査入院
Iga腎症か調べるために、うつ伏せになり超音波で腎臓の位置を確かめながら腎臓に針を刺して細胞を取り出して検査する「腎生検」を行うことになりました。

血管の豊富な臓器である腎臓に針を刺して行う検査なので、検査後は必ず出血があります。
うつ伏せのまましばらく圧迫して出血を止めますが、その後も安静が必要となり検査終了後6~12時間くらいは仰向けの姿勢を維持し、針を刺した場所に砂袋をあてて、絶対安静を守らなければなりません。
12時間は下半身を動かすことは一切許されず、手のみ動かすことが許されました。
腎生検は病気の確定には非常に有効な手段ではありますが、このように身体的に負担が高いものであるため、小児で行うことは難しいそうです。
病気の確定
検査の結果、Iga腎症であることが確定し、区分としては
「中等リスク群」(未治療の場合、約10年で末期腎不全に至る可能性が高い)
であることが判明しました。
医師からは一刻も早く治療に入ることを勧められました。

Iga腎症には3段階の進行度があります。
①寛解を期待できる積極的な治療介入段階
②寛解は期待できず、進行を遅らせる治療に専念する段階
③もはや透析のみしか治療ができない段階
筆者はこの内の①に該当すると告げられました。
治療
治療方法は病院によって異なるそうですが、筆者の病院では「扁摘パルス療法」という治療方法を積極的に行っていました。

~扁摘パルス療法~
①慢性的な炎症の原因となっている扁桃を摘出する・・・扁桃摘出手術
②現在腎臓で起きている炎症を鎮める・・・ステロイド治療(免疫抑制剤を使用)
⇒上記①②を組み合わせた治療により、寛解(治癒)を目指します。
※Iga腎症における寛解とは、尿蛋白1日0.2g以下、血尿の消失を指します。
治療スケジュール
治療スケジュールは以下の通りです。
①扁桃摘出手術・・・耳鼻咽喉科にて手術を行う。入院期間約10日。 ※Iga腎症の患者は扁桃が化膿していて摘出が困難な場合が多く、医師の話によれば、私の場合も出血量が多く手術は大変だったそうです。
②ステロイド治療・・・扁桃摘出後、1週間以上空けてから開始。
入院での治療は約10日(点滴3日→投薬4日→点滴3日)⇒その後は、通院のみで1年間ステロイド剤を経口投与することになります。
治療期間

扁摘パルス療法におけるステロイド投与は、最長でも1年(寛解かどうかに関わらず)とされています。
1年後に寛解がみられない場合は、別の治療法を再検討するか、進行を遅らせる治療へシフトへすることになります。
なお、各種臨床報告から、尿蛋白が1日1g以下の場合、寛解の可能性が高いとされているそうです。
私の尿蛋白量等から見て、寛解が期待できる時期であり、治療の意義はあるとのことでしたので、治療することを決心しました。
ステロイドの副作用
ステロイド投与に伴っては、
『感染症にかかりやすい、胃潰瘍、糖尿病、精神障害、高血圧、白内障、ニキビ、ムーンフェイス 』
など様々な副作用がありますが、いずれも投薬中にのみ起きるもので、投薬を終了すれば改善するものです。
これらの副作用を予防するために、ステロイド剤(免疫抑制剤)と併わせて各種予防薬を服用していきます。
幸い私はどの副作用もなく、治療期間を終えることができました。
まとめ
腎臓は物言わぬ臓器と言われるように、腎臓の機能が落ちていたり、蛋白が出ていても痛くも痒くもありません。
だからこそ定期的な健診は非常に大切です。
私も定期的に検査を受け続けていてよかったと思いました。
あのとき病気に気付いていなかったら、今頃人工透析の生活になっていたかと思うとぞっとします。
現在のこのような状況下で、病院での定期健診をためらってしまうことも多いかもしれませんが、ご自身の健康のため、ぜひ定期的な検査をおすすめします。
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