【理学療法士監修】意外と知らない筋筋膜性疼痛【医師も見逃す恐れあり】

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

皆さんは手足のしびれや痛みといった症状が出現し、我慢できないくらい辛いなーと思った時、どんな疾患を考えるでしょうか?

肩や首の痛みであれば五十肩、頚椎症、関節の石灰化などが一般的です。
腰痛や足の痛み・しびれであればヘルニアや脊柱管狭窄症を思い浮かべるかも知れません。

こういった症状に関しては、整形外科を受診することでレントゲン等の画像所見からある程度疾患名を確定することができます。

一方で、受診したにも関わらずはっきりと診断名がつかず、とりあえず痛み止めの注射をして、湿布と痛み止めを処方されるという場合は、

筋筋膜性疼痛

が原因となっているケースが非常に多くみられます。

今回の記事ではそんな筋筋膜性疼痛についてお話したいと思います。

筋筋膜性疼痛とは?

筋筋膜性疼痛とは、筋肉や筋膜、腱、靱帯、脂肪組織といった軟部組織の異常が原因となって痛みやしびれなどの症状を引き起こすものです。

痛みやしびれが生じると多くの場合、痛い部分に原因があると思われがちですが、実際はそうとは限りません。

上述した軟部組織というものは、それぞれが繋がりを持ち、影響し合っています。例えば重いものを持って腰に負担がかかったとしたら、その負担は腰と繋がる背中周りの筋肉にも影響し、肩や首にも波及するのです。

原因としては、軟部組織の

  • 循環障害
  • 柔軟性、滑走性、粘弾性の低下
  • 組織間の癒着
  • 栄養の不足

等が考えられています。

筋筋膜性疼痛の所見はレントゲン等の画像に現れにくく、症状の詳細を把握していない医師も少なくありません。
結果として、正しい診断がされず対処法もしっかりと教えてもらえないケースが非常に多いのが実状です。

どんな症状が起きる?

具体的には、筋肉や関節の

  • 痛み
  • しびれ
  • 重だるさ
  • こわばり

といったものが中心になりますが、部位や程度によってめまいや耳鳴り等の原因になっている場合もあります。

急に症状が出現するというケースもありますが、多くの場合は筋肉や関節に徐々に負担が積み重なっていき、少しずつ症状が現れてきます。

現れる症状から、よく

  • 五十肩
  • 腱板損傷
  • 椎間板ヘルニア
  • 脊柱管狭窄症
  • 変形性膝関節症
  • 変形性股関節症
  • 腱鞘炎
  • テニス肘
  • 半月板損傷

等と間違われることがあるため、注意が必要です。

治療法は?

筋筋膜性疼痛に対する治療としては

  • ストレッチ
  • マッサージ
  • 服薬
  • 注射

等が多く選択されます。

一般的に痛みやしびれがある場合は薬を飲んで湿布を貼って…といった対応を選びがちですが、筋筋膜性疼痛の治療に有効な内服薬というものはまだ存在していません
したがって、服薬をする場合は痛みを緩和する薬、炎症を抑える薬、精神をリラックスさせる薬等が選択されますが、それはあくまで一時的に症状を鎮静化させているに過ぎません。
湿布薬に関しても、局所的に鎮痛作用が働き症状は緩和するかもしれませんが、こちらもあくまで一時的な効果に留まります。

根本的な治療として必要なアプローチは、原因となっている軟部組織を見つけ出し、ストレッチマッサージでその軟部組織のコンディションを整えてあげる事です。

原因となっている軟部組織というのは、必ずしも症状が出現している部位とは限りません。
股関節の痛みに悩んでいたとしても根本の原因は背中にあるかも知れませんし、手指のしびれの原因が肩や首にあるということも少なくありません。

いずれにせよ、そういった判別は医師よりも理学療法士や柔道整復師、整体師の方が得意であることが多いです。
病院で満足のいく診断・アドバイスがもらえず、筋筋膜性疼痛に関わる症状かも知れない、と思ったら理学療法士柔道整復師がいる整骨院や整体等に足を運んでみるのもひとつの選択肢です。

疾患例

具体的な症例をひとつご紹介します。


首から肩にかけて慢性的な痛みが強く、五十肩かも知れないと整形外科を受診したAさん。
長年のデスクワークで肩まわりはガチガチでした。
医師からは、運動不足で肩の動きが悪く血の巡りも良くないから無理のない範囲で肩を動かしてくださいとの指示。
特に炎症などは見られず、レントゲンにも目立った所見は見られませんでした。
その日は湿布痛み止めの薬を処方してもらい帰宅。
それから数日は言われた通りに肩の運動を続けていました。
痛み止めの服薬と湿布を併用していたこともあり、1週間程度で症状は軽減。
しかし服薬をやめると、肩の運動を続けているのに以前の痛みが再発してしまいました。

実際、Aさんに施術させて頂いたところ、肩そのものというより、肩甲骨の下の部分にある棘下筋という部分が硬くなり、硬結部位が出来ていました。

肩、というより背中に近い部分にある筋肉です。
この筋肉に対してアプローチし、その後肩甲骨と肩周りの可動性を確保してみると肩の痛みは完全に消失、服薬や湿布は必要なくなり嘘のように肩が動かしやすくなりました。

もちろん、セルフケアとしてある程度は肩回りの運動を行なう必要はありましたが、数か月経った現在もAさんは肩の痛みに悩まされることなく生活を送っています。

おわりに

多くの人が悩まされる腰痛。
この腰痛も、厚生労働省によれば約85%はその原因を特定できないとされています。
この原因不明の85%の中に、筋筋膜性疼痛が関わっている比率というのは決して低い数字ではありません。

こういった症状は検査データとして数値化することが難しいため、現代医学で根拠のある治療として示すことが難しいという背景もあり、病院での医師の診断だけでは正しい治療を提供できない場合が多く見受けられます。

原因を正しく認識し然るべき対応をすれば、症状が軽減するケースは沢山あります。

病院に行っても症状が改善しなかった、という方は是非、理学療法士柔道整復師を頼ってみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ライター名(ランサーズ名):寺澤 慶大(テラサワ ヨシヒロ)

<経 歴>

急性期脳神経外科病院のリハビリ科で6年勤務

リハビリ特化型デイサービスで1年半勤務

脳神経外科病院併設のデイケアで4年半勤務

現在はデイサービスで機能訓練を行いながら自費診療で自身のクライアントのフィジカルケア、医療系コラムを中心としたWebライターのお仕事もさせて頂いています。



カテゴリー:理学療法士【痛み】, 痛み

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木村彰男
木村彰男
4 months ago

筋筋膜性疼痛とコンパートメント症候群は関係あるのでしょうか?
仕事上、1日6時間以上はキーボードから入力しています。
痛みやしびれはなかったのですが、ある日しびれから、手首からひじが腫れて、痛みが我慢できない状態になりました。アスピリンを飲み出したところですので、出血を疑って、慢性心不全の主治医に連絡したところ、救急外来にきてくれと言うことでした。
CT検査の結果、筋肉から出血により、腫れているのでコンパートメント症候群と診断され、緊急手術になりました。コンパートメント症候群は骨折などが原因でおこるときいていました。急な出血ですので、アスピリンによるものかとも考えましたが、症例報告さえありませんでした。
今回の記事を読ませていただき筋筋膜性疼痛を知りました。Fasciaから出血がおこる可能性はありますか?

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