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はじめに
2019年統計データによると、脳卒中と心疾患の死亡率が全体の20%占めており、そのほとんどが自宅で発症しています。
このデータは決して他人事ではなく、だれにでも急変のリスクがあるということです。
もしもあなたの目の前で家族や友人に、脳卒中が起こったらどうしますか?
その時あなたは、適切な対処ができますか?
胸をはって「できます!」と言える人はほとんどいないと思います。
少しの知識であなたの大切な家族を救えるのだとしたら、、、
これからも幸せな日々を大切な人と過ごすために、急変が起こった時の対処法を看護師がまとめたので、ぜひご覧になってください。
もくじ
緊急性が高い状態とは?
まず緊急度とはある時間内に適切な治療を行うことで、命を救うことができたり、体の障害や損傷を回避できたりなど時間的な余裕の程度を示すものです。
すなわち緊急性が高いということは、命を救うことができる時間的な余裕が短いということです。
身近で起こる緊急度が高い状態に、脳梗塞や心筋梗塞などがあります。
脳梗塞は発症後4時間半以内に、心筋梗塞は発症後2時間以内に治療を開始できれば、ほとんどが後遺症を残さずに治ると言われています。
まさに時間との戦いであり、たった数時間の間にその人の一生がかかっています。
起こりうる緊急時の症状
緊急時の対処を知る前に、まず知っておくべきは緊急時の症状です。
一番重要で覚えていただきたいのが、「いつもと違う」です。
普段の様子と何か違う、どこかおかしい、この気づきはとても重要で、急変のサインをだしている可能性が大です。
寝ているだけかと思ったら、呼吸をしていないなんてこともあります。
またもう少し症状について詳しく説明すると、顔や手足のしびれ、言葉がうまくしゃべれなくなった、頭痛、めまいや歩行障害、これに当てはまる症状があれば脳卒中を疑ってください。
また、急な胸の痛みや締め付けられるような圧迫感は心筋梗塞の可能性があります。
先ほども言いましたが、緊急時は時間との戦いであるため、様子の変化に気づいた時点でこの後に紹介する対処法を迷わず実践してください。
救急車の利用について
最近では悪質な救急車の利用が増えてきていると、ニュースで話題になっています。
例を挙げると、救急車をタクシー代わりに利用したり、蚊に刺されたから呼んだりなど、救急車の必要性が疑われることが増加してきています。
それにより本当に救急の場面で遅れてしまうといったケースも増えてきています。
またそういった悪質なニュースが取り上げられているせいで、救急車を呼ぶことを躊躇していまい、手遅れになってしまうこともあるようです。
ここで伝えたいことは、命の危険を感じた時には迷わず救急車を呼んでください
ということです。
悪質な利用と、そうでない利用は考えれば区別はつきますし、そこを躊躇してしまい、もしものことがあってからでは一生後悔します。
「なにもなくてよかった」が一番の幸せの形であると思うので、ぜひ救急車の利用についても考え直してみてください。
緊急時の対処法
●いつもと様子が違う
①まず症状を聞く
いつからどんな症状が手始めたのか、頭をうってしまってないかなどを確認しましょう。
②119番通報
あきらかに様子が変だと感じたら、119番通報をしましょう。先ほど確認した症状なども伝えられるといいです。
命にかかわることの可能性があるので、少しでも迷ったら119番に通報しましょう。
●倒れている場合
①意識の確認を行う
肩をたたきながら、名前を呼んでください。
それで反応がない場合にはかなり危険な状態です。
②人手を集める
近くに家族がいれば、助けを求めましょう
一人でできることには限りがあるので、とにかく人手を集めて協力し助け合いましょう。
③119番通報とAEDの確保
これはできれば自分ではなく、他の人にお願いしましょう。
④呼吸をしているかを確認する
呼吸をしていない、普段の呼吸と違う(しゃくりあげるような呼吸)をしていたら、心停止の可能性が大です。
⑤胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸を開始する
胸骨圧迫のリズムは1分間に100回で、胸の沈む深さは5~6㎝、人工呼吸との比率は30:2と言われていますが、専門職種や講習を受けている人以外は急変時には焦ってしまって忘れてしまうと思います。
基本ももちろん大切ですが
「できるだけ直ちに胸骨圧迫を始める」
これが一番重要です。
心臓が止まってから1分経過するごとに助かる確率は約10%低下し、8分後には救命率20%にまで低下すると言われています。
ですが胸骨圧迫を行うことで、救命率が約50%まで上昇するとも言われています。
そのため何をしていいかわからないときは、とりあえず胸骨圧迫を行い救急隊が到着するのを待ちましょう。
⑥AEDの活用
AEDが到着次第、電源を入れてパッドを体に貼り付けます。
貼り付ける場所は、バッドに表示されているのでそれに従い貼り付けてください。
あとは音声メッセージに従い対応してください。
救急隊と連絡がつながっている場合には、その指示通りに行動してください。
体験談
わたしの近所の人で、実際に家族が脳梗塞で救急車で運ばれた経験を持つ人がいます。
奥様から話をきくと旦那さんの呂律が急に回らなくなって、顔色も悪かったから、なんかおかしいと思って救急車を呼んだとのことでした。
さらっと言っていますが、完璧な対応ですよね。
普段一緒にいる奥様が感じた、「なにかおかしい」はとても重要なポイントであり、迷わず救急車を呼んだため、幸いにも後遺症などもなく完治したとのことでした。
やはり普段から一緒にいる家族だからこそ分かることはたくさんあり、あとは少しの知識と行動の方法を知っているか、知らないかの違いだということを改めて感じました。
筆者の看護師としての取り組み
私は日常生活の場面で、急変している場面に遭遇したことがありません。
目の前で倒れている人を見つけた想像したときに、間違いなく焦るだろうなと思います。
医療従事者の私でさえそう思うのであれば、一般の人からしたらそれ以上だと思います。
そのことも踏まえたうえで、私が先陣をきって助けに向かいたいと常日頃から考えています。
職場の病院から出ても私は看護師であり、医療従事者であります。
一人の大切な命を救えるような、そんな行動をしていきたいと思います。
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