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お子さんがいる方だと誰もが気になる子供の虫歯…。
甘いお菓子やジュースなど控え、歯磨きを頑張っていても、虫歯になってしまった!という声をよく聞きます。
実は乳歯は永久歯よりも虫歯のリスクが高いのです。
なぜ乳歯が虫歯になりやすいのか、その原因と予防法について、乳歯虫歯について詳しく解説していきたいと思います。
乳歯虫歯の原因
乳歯はよく虫歯になりやすいと聞きますよね。
その原因は永久歯も同じで、虫歯菌(ミュータンス菌)+砂糖などの糖質(ショ糖)+歯の質、この3つが合わさり時間が関係することによって虫歯ができるとされています。
歯垢などの汚れの中にいる虫歯菌が砂糖などの糖質を餌とし、酸を放出します。
この酸が歯を溶かすことにより虫歯ができるのです。

上記の理由から食事することにより、お口の中が酸性に傾きやすくなります。(脱灰)
唾液には自浄作用があり、酸性に傾いたお口の中を元に戻す力があります。
この作用(再石灰化)を促すことで虫歯を抑制することができるのですが、そこで重要になってくるのがダラダラ食べです。
ダラダラと間食や食事を行うことにより、お口の中が常に酸性に傾いてしまします。
同じ糖質の量でも、時間を決めて食べるのと時間を決めずに間食をするのとでは虫歯リスクも変わってきます。
砂糖などの糖質の過剰摂取を控えることや、歯磨きはもちろん重要ですが、間食などの時間にも気を付ける必要があります。
乳歯は永久歯よりも虫歯になりやすい?
乳歯は永久歯よりも虫歯になりやすいです。
その原因は歯の質の違いにあります。

永久歯より乳歯の方が歯質が柔らかく酸に弱いです。
厚みも永久歯の半分程しかないため虫歯の進行度も早く、気付いた頃には大きな虫歯になっていたということもあります。
また永久歯も生えたての頃は歯質が完全に完成しておらず、虫歯になりやすい傾向があります。
特に6歳臼歯は溝も深く虫歯になりやすいため、生えてきた頃には注意が必要です。
基本的に歯は虫歯になりやすい場所や、なりづらい場所があります。
特に歯磨きを行う際はここは気を付けて磨いた方がいいよ!という箇所がありますので紹介していきます。
乳歯虫歯の好発部位
・上の前歯(歯の付け根部分、歯と歯の間)
・上下奥歯(噛む面の溝、横の面の溝、歯と歯の間)
少しわかりづらいかもしれませんが、写真の赤色で示した箇所が虫歯の好発部位になります。
(奥歯は永久歯の写真になりますが、乳歯も同じと思っていただいて大丈夫です。)
全体をしっかりと磨くことは大切ですが、特にこの部位はしっかりと磨いてください。
歯と歯の間は歯ブラシでは汚れが落としづらいので、糸ようじやフロスなどの補助用具を使用することをおすすめします。
また虫歯といえば黒いイメージを持たれることが多いですが、乳歯虫歯は白く濁ったような状態から始まり、進行するにつれて黄色っぽい色になり穴が空いてきます。
ほぼ白いまま進行するので、虫歯に気付かないというケースが多いです。
よく注意して観察する必要があります。
乳歯虫歯の永久歯への影響
乳歯は生え変わるから虫歯になっても大丈夫じゃないの?思われる方もいるかもしれません。
しかし、乳歯が虫歯になることによって永久歯への影響もでてきます。
・永久歯の虫歯リスクが高くなる
・歯並びが乱れる原因になる
・変色した永久歯が生えてくる
乳歯が虫歯になっている時点でお口の中には、虫歯菌がたくさんいます。
虫歯の歯があると、永久歯の虫歯リスクが非常に高くなるのです。
また虫歯になった乳歯を治療をせずに放置していると、根の先に膿が溜まります。
永久歯は乳歯の根を少しずつ吸収しながら生えてくるのですが、乳歯の根の下で形成される永久歯に膿(虫歯菌)が影響し、変色した歯や形成不全(形が凸凹している)の歯が生えてくる可能性があるのです。
また、乳歯は永久歯がちゃんとした場所に生えてくる目印でもあります。

虫歯により乳歯が早い段階で喪失したり、虫歯菌が原因で乳歯の根が正常に吸収されず残ってしまうことがあります。
その結果永久歯が正常な位置から生えず、歯並びが乱れる原因の一つになるのです。
お子さんの顎の骨はまだまだ成長期にあります。
虫歯が痛くて噛む方向が偏っていることで、顎の骨の発達にも影響がでる可能性もあります。
これらのように乳歯虫歯は、いろんな影響を及ぼします。
「永久歯に生え変わるから大丈夫」とは思わずに、虫歯になった際はしっかり歯医者さんで治療してもらうことが必要です。
乳歯虫歯の予防法
乳歯虫歯を予防するためには原因をしっかりと理解し、
・甘いお菓子を極力控える
・間食の時間を決め、ダラダラ食べをしない
・歯磨きをしっかりと行う(糸ようじ・フロスも必須)
以上が大切だということがわかりました。
歯磨きもしっかりと磨いているつもりでも磨けていない可能性があります。
特に虫歯の好発部位はしっかりと磨くことを意識し、歯医者さんでのブラッシング指導を受けることをおすすめします。
また虫歯予防にはフッ素塗布が効果的です。

脱灰(歯が解ける)⇔再石灰化(歯が固まる)
フッ素はこのときに働き、歯の質を強くするとのこと。(熊澤歯科クリニックより)
フッ素を塗布することによって、歯が強くなり虫歯予防になります。
現在は歯磨き粉にフッ素が含まれている物が多いので、そちらを使用していただいてもいいですし、うがいが出来ないお子さんにはフッ素ジェルというものもあります。
「フッ素は体に悪い」と心配される方も多いですが、容量をしっかりと守れば問題はありません。
歯医者さんでは高濃度のフッ素を塗布してくれる事が多いので、家でもフッ素を使用しつつ歯医者さんでもお願いするのがいいでしょう。
万が一虫歯になってしまった場合も、早期に治療することにより虫歯菌を減らすことができます。
虫歯を見逃さないためにも、歯医者さんでの定期的な検診をおすすめします。
ライター名(ランサーズ名):まめ
<経 歴>
平成27年 歯科衛生士専門学校 卒業
とある歯科医院で3年間勤務
妊娠・出産を機に一度離れ、現在はまた歯科衛生士として復帰
主に予防歯科メインに活躍中