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こんにちは。運営です。2020年もあと少しといったところまできましたね。
今年は色々なことがあって環境の変化に慣れるのが大変だったように思います。私個人の意見ですが皆さんはどうだったでしょう?
今回は鍼灸師さんから医薬品ではなく「痺れ」の症状を取る方法を教えていただきましたのでご紹介します。
もくじ
鍼灸治療の対象となりうる疾患、症状
痺れは、筋肉の凝りや姿勢不良などに由来する神経の圧迫、血流障害があれば容易に起こりえると考えられています。
具体的な疾患としては、
【坐骨神経痛・手根管症候群・脳血管障害・腫瘍・頚椎症・糖尿病】
などの内科性疾患だけでなく、薬剤に由来するものなど幅広く報告されています。
WHO(世界保健機関)は鍼灸の適応症として、神経麻痺や神経痛を認めており痺れもここに含まれます。
鍼灸の世界では、具体的な診断名が無くても自覚症状があれば体の不調として捉えることができます。
診断があってから治療となる西洋医学とは大きく異なる点です!

現代医学からみたしびれとは
痺れはマヒの一種と言われており、何らかの原因により血管内の血流が滞ると中枢神経や末梢神経に障害が起こり
●力が入らない
●体のある部分にビリビリ、ジンジンするような異常な感覚が続く
などの症状が起こるようになります。

異様な感覚というのは、正座の後に足が痺れる経験というのは誰でもしたことがあると思いますが、あのような感覚が体の他の部分で起こるということを想像してもらうと分かりやすいかと思います。
正座のように一時的に収まる症状だけではなく、脳血管障害後などのように痺れを長時間訴えることもあり、痺れといえど症状にはかなり幅が見られます。
東洋医学からみたしびれとは
東洋医学には『不通則痛(通じなければ即ち痛む)』という考え方があり、体の中で流れが滞っている部分に痛みが生じるとされています。
体をぶつけたり転んだ時にアザができてしばらく消えなかったことは誰でも経験があると思います。
あのアザができている個所はまさに流れが滞っているところです。
『不通則痛』の考え方はよく川の流れに例えられますが、流れが滞ってくるとそこから先でだんだんと痛みが発生し、流れが無くなった先から痺れが起こると考えられています。
しびれに対する鍼灸治療について
痺れの症状を解消、軽減するには、該当箇所周辺の血流を改善することと体全体の血流を改善することが必要です。
あるいは、流れている血液の絶対量が足りていないと判断した場合には、血液を作りやすくなるように胃腸の状態を整えたり、また精神的に安定を保てるようにする鍼灸治療を行います。

鍼を体に刺すとごくわずかに傷がつきますが、そこに血液が集まってきたり免疫系が働き傷を治そうとするため、血行促進作用があります。
また、鍼は体にとっては異物ですので、それを除去しようとするため、免疫の活性化作用もあります。

お灸は皮膚の上に直接あるいは間接的に『艾(もぐさ)』を据えて燃やすことで温熱刺激を体に与えます。
燃焼温度にもよりますが、体に「やけどをした⁉」と勘違いをさせることで該当箇所を治そうと体の免疫を活性化させる方法です。
悪いことをするとお灸をすえられる!といったイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、現在のお灸はやけどを起こさないように施術者側が配慮をすることはもちろん、市販のお灸もそのように工夫されて作られていますのでご安心下さい!!
筋肉が固くなり神経が圧迫されることで、そこから先に痺れが生じています。
鍼やお灸で筋肉をほぐすことで、圧迫されていた神経が解放され、しびれの軽減を図ることができます。
代替え療法としての鍼灸治療を!
それでは実際に筆者が行った坐骨神経痛に対する鍼灸治療の症例をご紹介します。
患者さん:高齢の男性
主訴:坐骨神経痛に伴う右のお尻から足の小指側までの痺れ
背景:趣味での運動量はとても多いが、運動時以外はほぼ座って過ごすことが多い
鍼灸治療の経験はすでにあったものの、坐骨神経はお尻の奥のほうにあります。
坐骨神経付近に鍼を刺鍼するには(体系にもよりますが)7~10㎝ほどの長さの鍼をする必要があります。
筋肉はミルフィーユのように何層にも複雑に重なり合っています。
そこで体の中でも厚い筋肉が重なり合っているお尻に関しては、鍼を使い表層の筋肉から数センチ鍼をして硬さを取り除いていくことにしました。

それと同時に、血流改善のための鍼もしていくことにしました。
坐骨神経は足先に向かいにつれて脛骨神経あるいは総腓骨神経へと分岐していきます。
これらの神経に栄養を送る血管の血流を改善していくと、元である坐骨神経の血流も改善していくことがわかっているので、膝から下の神経分岐部付近にも鍼をしました。
また東洋医学的なツボである「金門」などは坐骨神経痛に対するツボとして効果があるとされているため、筆者はここに対してはお灸を施しました。
その他にも膝の裏にある「委中」にもお灸を施しています。
施術ペースは症状の辛さに応じて週に1~2回を2か月間行い、症状はほとんど消失しました。
現在では完治に向けて月に1,2回施術を継続しています。
痺れや痛みが軽減するにつれて日常生活でのストレスも少なくなっていったようです。
最初のころは足を引きずるように歩いておりとても辛そうでしたが、現在では足取り軽く歩けるようにまで回復しました。
まとめ
痺れの症状があり、薬を続けているが中々改善が見られないという方もいらっしゃるかと思います。
そんな時、東洋医学の《鍼灸》という治療方法もあり、イメージしているものよりもずっと受けやすい治療だと、一人でも多くの方に知っていただければ幸いです。

記事作成者名(ランサーズ)
Den(hulk-ggg)
<経歴>
鍼灸あん摩マッサージ指圧師の国家資格取得後、さらに鍼灸の教員養成課程で2年間学びながら幅広い治療法や知識、技術を身につける。
また、養成課程在学中や卒業後に治療院の立ち上げを経験、その他自費診療の治療院や保険が使える鍼灸接骨院、訪問マッサージなどで働き現在はフリーランスの鍼灸として活動している。