【骨粗しょう症】医師と患者の対話形式記事①【診断編】

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

今回の記事は患者さんが医師を受診した場合、

どんな会話をする事になるのか。

どのような治療方針を示してくれるのか。

・診断からどのような処方が出されるのか。

といった受診をするときの心構え、治療を理解する手助けになるよう記事を作成しましたのでご覧ください(今回初めてなので少しずつ改良していきます。)

骨粗しょう症の疑いがある患者さん(74歳)の症例を提供してくださいました。

参考にご覧ください。


こんにちは。(74歳)
先日骨密度の検査を受けたところ、骨密度が低下しており骨粗しょう症の疑いがあると言われました。
病院の受診を勧められたので、今日受診しました。

健康診断で骨密度の検査を受けられたのですね。
なるほど、骨密度が若年成人と比較して68%となっています。確かに低下しているようですね。詳しく調べていきましょう。

よろしくお願いします。

ポイント

骨密度の検査では

「若年成人の骨密度平均値と比較してどれくらいの骨密度があるか」

で治療の必要性を判定していきます。

これまでに、骨折を起こしたことがありますか?

はい、20歳の頃にテニスをやっていて、足を強く捻って骨折したことがあります。

なるほど。他にはありますか?
軽い力で骨折した、例えば歩行中に転倒して足の付け根を骨折した、尻もちをついて腰を骨折した、などということはありませんか?

ありません。

ポイント

軽い力で骨折することを脆弱性骨折といいます。テニスで強く捻った骨折は脆弱性骨折ではありません。

骨粗しょう症の診断で最も重視されるのは、「以前に脆弱性骨折(小さな力で起こしてしまう骨折)を起こしたことがあるかどうか」、です。

脆弱性骨折の中でも、足の付け根の骨折(大腿骨近位部骨折)や背骨の骨折(脊椎椎体骨折)を起こしたことがある方は、それだけで骨粗しょう症と診断されます。

 

タバコ、お酒はどれくらいやりますか?

タバコは吸いません。
お酒は時々、付き合い程度です。

ご家族に足の付け根や背骨の骨折を起こした方はいらっしゃいますか?

そういえば、私の母が80歳の頃に足の付け根の骨折を起こしました。

ポイント

骨粗しょう症が原因で起こる骨折のリスク因子には、年齢や低骨密度、これまでに起こした骨折の数、喫煙、過度の飲酒、骨折の家族歴などがあります。

これらのリスク因子が多いほど、骨折を起こしてしまう可能性が高くなります。

分かりました。それでは、レントゲンと骨密度の検査を行いましょう。

骨密度の検査はもうやりましたが?

ポイント

骨密度の検査にはX線や超音波を使ったいくつかの方法があります。

最も正確とされているのは、腰椎と大腿骨近位部にX線を照射して調べるDXA(デキサ)という方法です。

健康診断では超音波がよく使われていますので、病院で再度骨密度検査を行うこともあります。

また、気付かないうちに背骨の骨折を起こしてしまっていることもあるため、脊椎レントゲンを撮って骨折の跡がないかどうか調べます。

検査お疲れ様でした。
レントゲンでは明らかな骨折の跡はありませんでした。
骨密度の検査では骨密度は若年成人の72%となっていました。骨量減少という状態ですね。

どういうことでしょうか?

骨密度検査の結果により骨密度が低い順から骨粗しょう症、骨量減少、正常と診断されます。

分かりました。
治療は必要なのでしょうか?

下の図をご覧ください。

出典:骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインhttp://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf

BMD: 骨密度 YAM: 若年成人の骨密度平均値と比較した時の比率

あなたの場合、脆弱性骨折を起こしたことはありませんが、骨密度が80%未満でありお母さんが足の付け根の骨折を起こしているので、薬物治療を開始する基準を満たしているということになります。
下の赤で囲んだ部分になりますね。

骨粗鬆症には色々な薬があります。
薬の種類を選ぶために、採血検査・尿検査を行いましょう。

分かりました。

ポイント

骨粗しょう症の薬は大まかに分けると

・骨の破壊を抑える薬

・骨を作る薬

・骨の破壊を抑え、骨を作る薬

・骨の材料を補う薬

の4種類があります。

採血検査や尿検査で骨の代謝状況を調べて、適切な薬剤が選択されます。

検査の結果、あなたは「高回転型」骨粗しょう症という状況であることが分かりました。

高回転型とは何ですか?

骨が破壊され吸収される速度が、骨を作る速度を上回ってしまい、骨が弱くなっている状態です。
そのため、骨の破壊を抑える薬が適していると考えられます。
下の通り処方を出しますので、内服を開始してください。
2週間後に副作用がないかどうか、確認しますのでまた受診してください。

分かりました。
ありがとうございました。

処方

アレンドロン酸ナトリウム水和物錠

1日1回 1錠 起床時 (週1回内服) 2日分

エルデカルシトールカプセル(0.75μg)

1日1回 1錠 朝食後 14日分

ライター名(ランサーズ名):Dr. Ma

<経 歴>

医師免許、医学博士、整形外科専門医、スポーツドクターの資格をもつメディカルライターです。

実体験や患者さんのお話に基づき、身近な話題について解説します。

医学研究に携わり、和文論文8編、英文論文筆頭著者8編、共著者9編の執筆経験があります。

専門的な話題について情報収集し、最新のエビデンスや公的データに基づいた医療解説を行います。


運営から、記事を見てくださりありがとうございました。

まずは受診〜診断までの記事でした。

このあと、薬局に行き薬剤師から薬の説明を受けます。初回の患者さんを想定した内容になりますので薬の説明を同様の形式で詳しく紹介できればと思っています。

お読みくださりありがとうございました。



カテゴリー:診断, 診断【骨粗しょう症】

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