【腰部脊柱管狭窄症】医師と患者の対話形式②【診断編】

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

今回は「腰部脊柱管狭窄症」についての症例をいただきましたので情報共有させ

ていただきます。

文章が長くなっている部分はポイントを別枠で挟み後日修正版をアップします。


こんにちは。今日はどうされましたか?

両脚が最近しびれるんです。しばらく歩いているとだんだんと力が入らなくなります。

いつごろからそのような症状がありますか?
痛みではなく、しびれですか?
転んだり何かきっかけはありませんか?

半年くらい前から徐々に症状が進んできました。ここ1カ月は特に辛くて。

そうですね、痛みというより正座した後の足のようなビリビリとした感覚で、触った感覚が鈍くなっています。

しびれているのはお尻から太ももの裏にかけて、ひざ下ではすねのあたりがしびれます。

転んだりはしていません。

腰痛はありませんか?

おしっこやうんちは通常通り出ますか?

また、トイレットペーパーで拭く時の感覚は鈍くないですか?

腰痛は以前からありますが、日常生活は問題ない範囲で、この半年悪くはなっていないです。

おしっこやうんちは問題なくできています。触った感覚もちゃんとあります。

歩いているうちに歩行が難しくなる症状を間欠性跛行といいます。

また、両下肢がしびれる症状から腰部脊柱管狭窄症という病気が疑われます。

腰部脊柱管狭窄症は高齢の男女に発生することの多い加齢性の疾患です。

加齢性変化により椎間板ヘルニア、黄色靭帯骨化などにより脊柱管がせばまり、脚の運動や知覚をつかさどる馬尾神経が入った袋(硬膜嚢)を圧迫することにより発症します。

背景には腰椎変性すべり症や変形性腰椎症、変性側弯症といった加齢性変化がこれらの増悪要素になることがあります。その場合、必発ではありませんが、腰痛を呈することがあります。

高齢者での有病率は10%程度といわれ、そのうちの何割かがこれらの症状を呈します。

脚の力は入りますか?

脚の力は入りますが、1㎞くらい歩いているともう脚が前に進まなくなってきます。

少し休むとよくなります。

その症状が間欠性跛行です。狭窄の程度によっては歩かずとも筋力が弱ることがあります。

また、狭窄された部位に一致する皮膚領域でしびれが生じることが特徴です。

今回の場合、第4,5腰椎の間で第5腰椎の神経が圧迫されていることが予想されます。

確認のためレントゲン写真とMRI画像を撮ってみましょう。

   

お願いします。

MRI後

お疲れ様でした。レントゲンでは加齢性の変化により骨の棘や腰椎同士の関節の骨硬化があります。
変形性腰椎症の状態です。

MRIでは予想通り、第4,5腰椎の間で第5腰椎の神経が圧迫されおり症状の原因としてはやはり腰部脊柱管狭窄症が考えられます。

どのように治療するのでしょうか?手術は怖いです。

治療法については主に薬剤やリハビリ、コルセットといった保存治療、狭窄された脊柱管を除圧するための椎弓形成術、その他場合によっては金属製のインプラントを使用し腰椎を固定する腰椎の除圧固定術などの手術治療の2つが大まかに考えられます。

原則としては緊急を要しない状態であればまずは保存治療が選択されます。

まずは保存治療なんですね。
緊急を要するとはどういった状態でしょうか?あるいはどうなると手術治療をすることがあるのですか?

   

手術は高度な麻痺で下肢の力が入らない、しびれがどうしても耐えられない、保存治療を行ったが効果が不十分な場合、それらによって日常生活の動作が困難になってきた場合に行います。

日常生活の活動性低下のことをActivities of Daily Livingの略でADLの低下といいます。

また急激に症状が増悪することもあり、手術を検討することもあります。

膀胱直腸障害といって、会陰の知覚低下や頻尿、排尿困難、肛門の知覚低下、便意の低下など排泄に関する異常が急激に出現した場合、手術をしないと不可逆的な障害になることもあるため、手術を検討することがあります。

   

なるほど、私の場合、今のところそれには当てはまらなさそうです。

保存治療を進めていきたいのですが、何から始めるのでしょうか?

今回の場合、レントゲン画像上、加齢性の変性変化はありますが、腰椎の不安定性はないように見受けられます。そして、それらが原因と思われる腰痛もなさそうですね。そのため、コルセットは必要なさそうです。

また少しの間は歩けており、診察上は下肢の力も維持されていますね。下肢の筋力低下があると、手術をしても筋力がなくて思うようにリハビリが進まないこともあるためリハビリに通う必要もあるかとは思います。施設によっては腰椎の牽引なども検討します。

今回の場合は薬剤治療を開始します。

   

なるほど、お薬をはじめるのですね。

どういったお薬なのでしょうか?

ほんの10年前までは今回のような神経痛に特異的な薬剤はありませんでした。

2013年にリリカというお薬が神経障害性疼痛に対しての処方が承認され、現在ではこのほかにもサインバルタ、タリージェなどの選択肢があります。

いくつか高血圧などで薬を飲んでいるのですが、副作用や飲み合わせの悪さなどはないのでしょうか?

リリカやタリージェではめまいや眠気、ふらつきなどの副作用が出る方もおり、あまり車を運転したり日中仕事をしている方には不向きです。腎機能低下がある患者さんには投与量に制限が出てきます。

サインバルタはむかつきや嘔気の副作用が出ることがあります。うつ病にも使用される成分が使用されており精神科関連の内服歴のある患者さんでは慎重になる必要があります。

今回は一番最近に承認された国産製剤のタリージェから開始しようと思います。

わかりました。

処方

タリージェ(5mg)

1日 2回 朝・夕食後 14日分

ライター名(クラウドワークス名):北海道在住 整形外科医(ばちお)

<経 歴>

北海道の勤務医、医師5年目、整形外科専攻です。


運営から、記事を見てくださりありがとうございました。

まずは受診〜診断までの記事でした。

このあと、薬局に行き薬剤師から薬の説明を受けます。初回の患者さんを想定した内容になりますので薬の説明を同様の形式で詳しく紹介できればと思っています。

お読みくださりありがとうございました。



カテゴリー:診断, 診断【脊柱管狭窄症】

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