【骨粗しょう症】医師と患者の対話記事① 【治療編】

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

【診断編】で骨粗しょう症に対して処方を受けた患者さん。【薬局編】ではお薬の説明を聞いて、お薬を飲みました。

そしてまた受診にきた患者さん。さて、どのように治療が進められていくのでしょうか?

こんにちは。先日は、骨粗しょう症に対するお薬を処方しました。何か問題はありましたか?

薬局では胃腸の調子に影響がでる可能性があると説明を受けました。私には特にそのような症状はでませんでした。

ポイント

今回処方した骨粗しょう症のお薬では、胃の痛みや膨満感、吐き気など胃腸の副作用が出現することがあります。もともと胃炎や潰瘍などの病気をお持ちの方はそれを悪化させるおそれがありますので注意が必要です。

また、腎臓が悪い方では薬の効果が強くなりすぎて副作用を起こす可能性があります。何か気になることがあれば遠慮なく聞くようにしましょう。

それでは、しばらく現在のお薬を続けて効果をみていくこととしましょう。

どのようにして効果をみていくのですか?

主に骨密度と骨代謝マーカーの検査を定期的に行い、その変化をみていきます。

ポイント

骨粗しょう症のお薬を飲んでも、骨密度がすぐに上昇するわけではありません。骨密度の変化は年単位で追っていく必要があります。

骨代謝マーカーは骨の代謝の状態を採血や尿検査で調べます。骨密度の値よりも早い段階で変化がでるため、薬が効いているかどうか、早く判定することができます。治療前と治療開始後6ヵ月以内に検査を行い、値を比較します。

処方

アレンドロン酸ナトリウム水和物錠

1日1回 1錠 起床時 (週1回内服) 6日分

エルデカルシトールカプセル(0.75μg)

1日1回 1錠 朝食後 42日分


・・2ヵ月後

さて、2ヵ月が経過しました。何か体調の変化はありますか?

特に変わりはありません。

今日は、骨代謝マーカーの検査を行いました。しかし思ったような効果がでていないようです。何か思い当たることはありますか?

実は、仕事の曜日が不定期なのもあって、週に1度の内服を忘れてしまうことが何回かありました・・。

ポイント

骨粗しょう症の薬の効果が出づらい場合、様々な原因が考えられます。中でも重要とされているのは、正しく内服できているかどうかの確認です。

不安がある場合には診察の時や、薬局でお薬をもらう時に繰り返し確認するようにしましょう。

なるほど。原因の一つである可能性がありますね。骨粗しょう症の薬剤には週1度のものだけではなく、毎日のもの、月1回のものなど多くの種類があります。

できれば、変えてもらいたいと思っています。

分かりました。それでは、同じく骨の破壊を抑えるお薬で、半年に1回病院で注射を行うというお薬がありますが、いかがでしょうか?

それなら飲み忘れるということはなくなりますね。切り替えをお願いします。

ポイント

骨の破壊を抑えるお薬には、以下のような種類があります。

・ビスホスホネート薬:初めに処方したアレンドロン酸ナトリウムなどのお薬がこれにあたります。骨折を抑制する効果が広く認められています。内服方法がやや煩雑なため、正しい使用ができているかどうかの確認が重要です。

・デノスマブ:骨粗しょう症に対しては2013年から使用可能となった比較的新しい薬剤で、半年に1回皮下注射を行うお薬です。骨密度の高い上昇効果があり、骨折を抑制する効果が認められています。低カルシウム血症を起こす可能性があるため採血検査を定期的に行ったり、予防のためカルシウムやビタミンD製剤の内服を併用したりすることが多いです。

・SERM(サームと読みます):女性ホルモンと似た作用で骨の破壊を抑えるお薬です。1日1回食後に内服します。比較的骨折リスクの低い、50-60歳代の女性に使用されることが多いです。

この患者さんでは、ビスホスホネート薬では適切な治療を続けづらい状況であると考えて、デノスマブへの切り替えを行いました。

処方

デノスマブ(60mg)皮下注(病院で注射)

エルデカルシトールカプセル(0.75μg)

1日1回 1錠 朝食後 84日分

・・3ヵ月後

今回のお薬では、順調に効果がでているようです。

今後はどのように治療していくのでしょうか?

治療開始後約6ヵ月になったら、骨密度検査を行います。お薬の効果を最大限に得るために、日常生活での心がけも重要です。

ポイント

骨粗しょう症の治療は、食事・運動・お薬をセットとして考えましょう。

食事では、カルシウムやビタミンDは確かに重要ですが、骨の健康に関わる成分は多岐に渡ります。高齢になると食事量が減少しがちですので、3食をバランス良く、しっかり量を確保することが重要になります。

運動では、ウォーキングなどの有酸素運動も、筋トレなどの少し強めの運動のどちらも骨密度維持に有効であるとされています。しっかり安全を確保できる状況で行うことが重要です。

処方

エルデカルシトールカプセル(0.75μg)

1日1回 1錠 朝食後 84日分

・・さらに3ヵ月後

今日は治療開始後6ヵ月になったので、骨密度検査を行いました。前回は若年成人平均と比較して72%でしたが、今日は73%という結果でした。

少しだけ上がっていますね。これはいい結果ですか?

骨密度は適切な治療を継続して行うと、1年をこえて2,3年と徐々に上昇していくことが期待できます。半年で上昇傾向にあることは、順調な経過と捉えて良いと思います。

治療はいつまで続くのでしょうか?

骨粗しょう症の治療は中止すると、また徐々に元の骨代謝に戻っていくと考えられています。あなたは高回転型の骨粗しょう症なので、骨が吸収されて少しずつ骨が弱くなっていきます。ですから、治療に終わりはないものと考えた方がよいでしょう。

分かりました。

骨密度が若年成人の80%まで戻った場合や、骨代謝マーカーの値(骨吸収マーカー)が強く抑えられている場合などには、一時的に薬を中止できることもあります。その場合でも、中止後に定期的な検査を受けることが必要となります。一緒にがんばりましょう。

ポイント

骨粗しょう症の治療では、元々自覚症状がないので、治療効果を実感しづらいという特徴があります。定期的な受診、検査を行うことで治療の効果を確認することができます。


以上、現場でよく行われている骨粗しょう症治療の1例を紹介しました。

骨粗しょう症の病態は人により様々で、適切な治療が異なる場合があります。

医師、薬剤師とよく相談し、自分が納得できる、そして長期に継続可能な治療を受けられるようにしましょう。



カテゴリー:診断, 診断【骨粗しょう症】

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