【介護福祉士】脳梗塞と向き合う【3種の後遺症】

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

脳梗塞の後遺症というと、どのようなものを思い浮かべますか?

杖を突いた姿、言葉が出にくい様子、車いすに乗っているといったものを挙げる方が多いのではないでしょうか。

一般的な脳梗塞のイメージに大きな間違いはありませんが、脳梗塞の後遺症には様々な種類と程度があります。

外見からはわかりにくい障害を抱えている方もいるのです。

今回は、脳梗塞の後遺症と向き合う人々についてをお話しします。

もくじ

後遺症の種類

脳梗塞の後遺症は損傷を受けた脳の箇所によって異なりますが、体系として考えると以下の3つに分けられます。

  • 身体の麻痺
  • 脳血管性認知症
  • 高次脳機能障害

どのような症状か、ひとつずつご説明します。

身体の麻痺

身体の麻痺には全麻痺と片麻痺があり、片麻痺には右片麻痺と左片麻痺があります。

麻痺を放置すると、拘縮とよばれる関節が固くなる、伸びたり縮んだ形で固まるという症状を引き起こすので日々のケアが不可欠です。

麻痺の出現に深く関係しているのは、脳が損傷を受けた箇所や範囲です。

全麻痺(四肢麻痺)

脳の多くの部分に障害を負ってしまった場合、全麻痺(四肢麻痺)という重症の麻痺が出現します。

意味のある言葉を発することは難しく、口から食事をとれる方もいますが、嚥下機能障害から誤嚥性肺炎のリスクが大きいため、胃ろうなどで生命を繋ぐことが多く見受けられます。

褥瘡予防の体位交換などを含めた身辺の世話を受けて生活しなくてはなりません。

片麻痺

脳の損傷箇所により、体の片側だけに麻痺が出現するものです。

脳の神経は首で交差しているため、右脳を損傷すると左側の体に、左脳を損傷すると右側の体に麻痺が生じます。

上肢と下肢両方に麻痺が生じることがほとんどですが、麻痺の強さは同じとは限りません。

右片麻痺

左脳の損傷による後遺症で、右側の体の麻痺だけでなく、失語といって左脳がつかさどる言語や論理といった部分に障害が出ることが特徴です。

右利きの方が多いため、麻痺により利き手を奪われる感覚と、思うように意思疎通ができないもどかしさを覚える方が多いです。

また、スムーズな動きがしにくい失行という症状も出現します。

「歩いて!」と言われると最初の一歩が出しにくい、体は動くのに服をうまく着ることができないといったものです。

左麻痺

右脳の損傷による後遺症で、左側の体の麻痺に加え、右脳がつかさどる情緒や認識などに障害が出ます。

認識の部分の障害を失認といい、さまざまな症状が現れます。

  • 目は見えているが認識しないため、左側を食べ残す、すぐ物にぶつかるなどのアクシデントが絶えない
  • 大きくふらついたまま歩く、粗雑な動作が目立つなど注意不足で危なっかしく見える
  • 左半身を無視しやすく、服の袖を通すのを忘れる、ぶつけたりしても気にしない

また、情緒のコントロールにも障害が出て、性格がきつくなったように感じたり、怒りっぽくなるなどの性格の変化も現れます。

脳血管性認知症

脳血管性の疾病がもとで脳に損傷を受けたことによる認知機能障害です。

認知症の発生率としては、アルツハイマー型認知症に次ぐものとなっています。

物忘れが始まって検査をしてみると、小さな脳梗塞の跡が見つかることも少なくありません。

多発性脳梗塞で小さな損傷を繰り返すことで認知機能が低下していく場合もありますが、脳血管性認知症はほかの認知症に比べて進行は穏やかだといわれています。

失行や失認を伴いますが、病識がある場合が多く、正常な面もたくさん持ち合わせているためまだらボケという呼び名もあります。

高次脳機能障害

明らかな麻痺がなくても、生活するのが難しくなる症状が出現する場合があります。

主な症状は下の通りです。

  • 記憶障害 新しいことを覚えられない、何度も同じことを聞く
  • 注意障害 ぼーっとして集中しない、マルチタスクができない
  • 遂行機能障害 順序だてて行動や作業ができない、時間が守れない
  • 社会行動障害 すぐに声を荒げて怒る、興奮しやすい

失認や失行、失語を合わせ持つ場合もあります。

高次脳機能障害は、生まれつきではなく、けがや病気がもとで脳にダメージを受け、病気やケガが治った後にも社会生活に支障がでている場合に診断されます。

外見からはわかりにくい障害があることで、障害を持つ本人だけなく家族も大きな心理的負担となる場合があります。

高次脳機能障害本人と家族の会などの自助や、介護保険や障害の制度などの公助を利用することをおすすめします。

後遺症があっても

私は介護士として介護を要する方のお宅に出向いています。

その中で感じていることは、後遺症があってもOKだということです。

もちろん、後遺症やそもそもの疾病がないに越したことはありません。

障害を受けたご本人やそのご家族にも、煮え湯を飲まされるような苦難があったことだろうと思います。

そんな中、たいへん無責任かもしれませんが、お世話やお手伝いをさせていただいている素直な感想は

「本当にすごい!」

です。

後遺症を持ちながらもリハビリを乗り越え、日々の生活を送ることに尽力している姿に清々しさすら感じることがあります。

また、脳梗塞の体験談として大変印象的な記事をご紹介いたします。

ぜひぜひお読みくださいませ。

ライター名(ランサーズ名):石塚もここ

<経 歴>

音楽大学中退後、介護福祉士・介護支援専門員として自転車に乗り地域を奔走する3児の母。

ライター業も加わり4足のわらじを履いている。

通所リハビリで取り組んだ音楽療法ではお年寄りと一緒に本気で歌謡曲を熱唱していた。

介護へのナーバスな印象を払拭したい思いで介護関連の記事を書いている。



カテゴリー:脳梗塞, 介護, 介護福祉士【脳梗塞】, 介護福祉士【介護】

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