【歯科衛生士】親知らずは抜歯したほうがいい?【抜いたほうがいい症例とリスクを解説】

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

親知らずは抜いたほうがいいの?と疑問に思う方は多いかと思います。

親知らずが生えてくることで痛みを感じたり、腫れたりする原因にもなります。

この記事では親知らずについて抜歯した方ががいい症例などを詳しく解説していきたいと思います。

もくじ

親知らずとは

親知らずとは一番最後に生えてくる歯で、前から数えて8番目の歯になります。

正式名は「第三大臼歯」といい、「智歯(ちし)」とも呼ばれています。

永久歯は基本的に12~13歳で28本全て生え揃いますが、親知らずは10代後半~20代後半に生えてくるといわれています。

親知らずを全て入れると歯の本数は全部で32本になります。

基本的に30歳ぐらいまでは親知らずは動くといわれていますが、稀に30歳を過ぎた後でも親知らずが生えてきたという方もいます。

親知らずは元々ない方もいますが、骨や歯肉に埋まったまま生えてこないという方もたくさんいます。

お口の中を見てみて、親知らずがないと思っていても、レントゲン写真を撮ってみると実は歯茎や骨の中に埋まっていたということがあります。

まずはレントゲン写真を撮ってみて親知らずの有無を確認しておくことをおすすめします。

親知らずは抜歯した方がいい?

「親知らずが生えてきたけど抜いたほうがいいですか?」という声をよく耳にします。

親知らずを抜歯するというケースはとても多いですが、答えはyesとは一概に言えません。

親知らずを抜歯する主な理由は、

  • 虫歯になりやすい
  • 他の歯に影響を及ぼす
  • 痛みや腫れの症状がでた
  • 歯並びが乱れる原因になる

などです。

親知らずは一番奥に生えてきますが、生えるスペースがないと斜めや横方向に生えてくることがあります。

一番奥ということで歯ブラシも届きづらく、清掃不良になり、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。

また親知らずが斜めや横方向に生えてくることで、他の歯などに悪影響を及ぼす恐れがあります。

親知らずが虫歯になることで手前の歯まで虫歯になることがあります。

図のように手前の歯の根に近い部分が虫歯になり、治療する際には歯の神経を取ることになる恐れがあります。

虫歯が進行してしまうと最悪の場合、手前の歯まで抜歯ということもあり得るのです。

また虫歯だけではなく、親知らずが横向きに生えることで隣の歯をグイグイと押し、歯並びが乱れる原因にもなります。

手前の歯も横に押されることで根が親知らずに吸収されてしまうということもありますので、その際には抜歯が必要です。

また、親知らずが原因で腫れや痛みが出たという方は多いです。

親知らずに腫れなどの炎症がでることを「智歯周囲炎」といいます。

智歯周囲炎は歯と歯茎の隙間から汚れや細菌が入り込むことによっておきます。

親知らずは生えきっていなくても、歯肉から少しでも頭を出した時点で智歯周囲炎の恐れがあります。

また親知らずが頭を出しておらず、骨に埋まった状態でもレントゲン写真を撮ってみると歯の周りに袋のような影を確認することがあります。

これは「含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)」といい、基本的に痛みや腫れなどの症状はありませんが、放置していると嚢胞が大きくなり、神経や骨を圧迫し悪影響を及ぼします。

親知らずが埋伏していても抜歯が必要な場合がありますので、注意が必要です。

【参考情報】「親知らず」について|口腔外科相談室|日本口腔外科学会

親知らずを抜歯しなくてもいいケース

上記のような理由により親知らずは悪影響を及ぼす可能性が高いため抜歯するというケースが多いです。

ですが、必ず抜歯しなければいけないということはありません。

親知らずがまっすぐ綺麗に生えてきて、上下ともしっかり噛み合っている場合には抜歯を必要としません。

もちろん痛みや虫歯などがないことが前提です。

他にも、歯肉や顎骨内に埋まったままの状態で嚢胞がなく、痛みや隣の歯に影響がなければそままにしておくというケースが多いです。

また矯正治療や、歯を失った際に用いられるブリッジ治療などを行う場合、親知らずを活用するというケースがあります。

無理に抜歯しないことで、他の治療の際に親知らずを活用できるのでそのまま温存しておくということも少なくはないです。

親知らずを抜歯する際のリスク

親知らずは生えている位置などによって抜歯する際にリスクを生じる場合があります。

下の顎骨には太くて大きい神経がいくつか通っています。

その中でも一番多いとされるリスクが下歯槽神経麻痺です。

下歯槽神経は下顎の真ん中を通っており、この神経を抜歯の際に傷つけてしまうと下唇や下顎辺りに麻痺やしびれが残ります。

他にも舌神経麻痺などで舌にしびれや味覚障害などを伴うリスクもあります。

また上顎の親知らずの場合も、上顎洞に近い場合などは抜歯時に力を加えることで上顎洞に穴が空いてしまうというリスクがありますので、抜歯する際には親知らずの位置を調べた上で、大学病院や外科専門の医院を勧められる場合があります。

どのような症例でも、抜歯後は腫れや痛みがでることがあります。

下顎の親知らずの抜歯は上顎に比べて腫れやすい傾向にあります。

個人差や抜歯の状況にもよりますが、顔がパンパンに腫れてしまったという方もいます。

仕事や生活支障がでないよう、スケジュールをしっかりと立てた上で抜歯することをおすすめします。

まとめ

親知らずは抜歯した方がいいかは症状やレントゲンを撮ってからの判断となります。

親知らずは根が完成する前など、早い段階で抜歯した方がスムーズに抜歯できます。

また、虫歯が進行してから抜歯すると抜歯途中で歯が割れやすくなってしまい、抜歯が大変になってしまうこともあります。

親知らずや症例によっては大がかりになることもありますので、抜歯をする際には、タイミングやリスクを主治医としっかり相談した上での抜歯をおすすめします。



カテゴリー:抜歯, 歯科衛生士【親知らず】

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